茶室・庭園ファン必見!京都3本の川が出会う「大山崎&八幡」

茶室・庭園ファン必見!京都3本の川が出会う「大山崎&八幡」

更新日:2020/04/03 11:43

盆地である京の都は大きな水瓶になっており、その豊かで美味しい地下水は流れて八幡と大山崎あたりで自噴しています。茶の湯を好む文化人や関西の実業家・加賀正太郎が愛した大山崎と、川を挟んだ対岸の八幡市には、お茶と庭園好きにはたまらないおすすめスポットがあります。京都駅・大阪駅から約30分、京都に根ざしたお茶やお庭の文化をゆったりと感じられる、いつもと違う京都へでかけてみませんか?

大正ロマン感じる建築と庭園。アサヒビール大山崎山荘美術館

大正ロマン感じる建築と庭園。アサヒビール大山崎山荘美術館
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大山崎は京都府で最も面積の小さい市町村ですが、様々な歴史の舞台となってきた場所。まずはアサヒビール大山崎山荘美術館の庭園を散策してみましょう。アサヒビール大山崎山荘美術館は、朝ドラ「マッサン」にも登場した関西の実業家・加賀正太郎の別荘として大正から昭和にかけ建設された英国風山荘と、建築家・安藤忠雄設計の建物などで構成された美術館です。庭園入口には石造りの琅カン洞(ろうかんどう※)というトンネルがあり、そこから庭園が始まります。

写真はかつて車庫として使われていた建物で、美術館本館と同様に木骨を見せる外壁とその木組みの間に貼られた煉瓦を模したスクラッチタイルが印象的です。国の登録有形文化財となっています。今はレストハウスとして使われ、コインロッカーや自動販売機、トイレが完備。テーブルなどもあり、美術館を鑑賞する予定がなくても気軽に庭園を訪れた際、お弁当を持って行ってくつろげる場所となっています。

※琅カン洞のカンは王へんに干

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「地中の宝石箱」という名の安藤忠雄設計による地中館には、有名なモネの「睡蓮」が展示されています。その展示と合わせるように建物の近くには睡蓮が植えられ、6月〜8月にかけて絵画と同じように水面に浮かぶ睡蓮の花を楽しむことができます。地中館と庭園は互いに響き合い建物と庭園がまるで一つの作品のように美しい景色を作り出しています。

大正ロマン感じる建築と庭園。アサヒビール大山崎山荘美術館
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庭園は無料で開放されていて、四季折々の花や紅葉を楽しむことができます。美術館では年4回ほどの企画展が開かれ、陶磁器、日本画、西洋絵画、現代彫刻など幅広い作品が楽しめます。二階の喫茶室からの眺めは格別で、リーガロイヤルホテル京都とコラボし、企画展に合わせて製作されるオリジナルスイーツがおすすめです。

<アサヒビール大山崎山荘美術館の基本情報>
住所:京都府乙訓郡大山崎町銭原5-3
電話番号:075-957-3123(総合案内)
営業時間:10:00〜17:00(最終入館は午後4時30分まで)
入場料:一般900円、高・大学生500円、中学生以下無料
休館日:月曜日
アクセス:JR京都線山崎駅、阪急大山崎駅から徒歩約10分
名神高速道路 「大山崎IC」より車で5分。近隣にコインパーキングあり

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、令和2年2月22日(土)より当面の間、休館しています

事前申し込みで見学することができる「待庵(たいあん)」

事前申し込みで見学することができる「待庵(たいあん)」
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JR山崎駅すぐの場所には日本最古の茶室建造物で、千利休が作ったと言われている唯一の現存茶室「待庵」のある「妙喜庵」があります。現在国宝に指定されている茶室は3つあり、大徳寺龍光院の「密庵(みったん)」、愛知県犬山有楽苑の「如庵(じょあん)」と、ここ大山崎にある「待庵」です。約1か月前までに往復はがきによる予約が必要で、にじり口からの見学のみで内部に入ることはできませんが、貴重な利休の世界観を見ることができます。

待庵は1582年の「山崎合戦」のおり、羽柴(豊臣)秀吉の陣中に千利休によって建てられた茶室を解体し移築したとされています。待庵は事前申し込みが必要ですが、待庵から徒歩約5分の所にある大山崎町歴史資料館では、待庵の創建当時の姿の原寸大復元模型でいつでも見ることができます。

<ハガキの記載事項>
往信裏:拝観希望者の名前・住所・電話番号、希望日(時間の指定不可)、人数(最大10名)
往信表宛先:〒618-0071 京都府乙訓郡大山崎町竜光56 妙喜庵
返信裏白紙のまま。返信表拝観希望者の住所、氏名
※高校生以下の方は拝観できません

事前申し込みで見学することができる「待庵(たいあん)」

提供元:大山崎環境経済部商工観光課

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内部は二畳という究極の空間。それを感じさせないよう、床の間の柱を塗り込める室床、天井を斜めにデザイン、窓による光の演出などアイデアが随所に見られます。数寄屋造りの原点といわれ、わびさびの美意識や歴史について考えさせられるお茶室です。

<待庵の基本情報>
住所:京都府乙訓郡大山崎町大山崎小字龍光56
開館時間:事前に指定された時間に訪問
休館日:月・水曜日、年末年始(12月20日から1月15日くらいまで)
拝観料:志納金として1000円

※新型コロナウイルス感染症の影響により当面の間、拝観を休止しています

対岸にある八幡市・松花堂庭園もお庭と茶室がすごい!

対岸にある八幡市・松花堂庭園もお庭と茶室がすごい!
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木津川、宇治川、桂川の3つの川が出会い淀川となる大山崎の対岸、八幡市へは車で30分ほどで着くことができます。八幡市では川霧や肥沃な土がお茶の栽培に生かされ、浜茶という濃い緑の美しい色のお茶が栽培されています。水も豊かで茶文化が盛んな八幡市に素晴らしい庭園とお茶室があります。

松花堂庭園は約22,000平方mの広さに、竹や笹、四季折々の草木、苔が美しく調和し、竹垣や水琴窟など洗練された日本文化に触れることができます。園内には3つのお茶室があり、「梅隠」は千利休の孫、千宗旦の好みの茶室を再現してあり、待庵と比べながら見るのも楽しいですね。事前に予約してお願いすれば無料ガイド付きで見学することができます。

対岸にある八幡市・松花堂庭園もお庭と茶室がすごい!
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こちらは閑雲軒を再現した「松隠」。閑雲軒は、松花堂昭乗と小堀遠州によって瀧本坊の縁に作られた茶室。平成22年の発掘調査で高さ7mもの柱で支えられ、茶室の床面のほとんどが空中に迫り出した「空中茶室」であったことがわかり、当時画期的なお茶室であった様子が伺えます。「松隠」も茶室としては珍しく、床を高くし、手水鉢も背の高いものとなっています。

対岸にある八幡市・松花堂庭園もお庭と茶室がすごい!

提供元:松花堂庭園・美術館

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2020年3月現在、大阪北部地震による被害修復のため、内園は見学することができませんが、外園(写真)だけでもお庭の眺めは素晴らしく、お茶室と日本庭園を満喫することができます。

庭園併設のミュージアムショップでは八幡の美しい色のお抹茶や、オリジナル商品のお茶などを始め、お茶文化にまつわる商品も豊富に揃っています。

<松花堂庭園の基本情報>
住所:京都府八幡市八幡女郎花43番地の1
電話番号:075-981-0010
アクセス:京阪石清水八幡宮駅・樟葉駅・JR松井山手駅より、京阪バス「大芝・松花堂前」バス停下車すぐ
入園時間:9:00〜17:00
休園日:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌平日)及び12月27日〜1月4日
入園料:大人100円、学生80円、こども50円

茶室・庭園ファンなら納得の上質時間

3つの川が出会い、淀川となる珍しい地形の場所。京都市内とはまた一味違う広々とした庭園やお茶の世界がここ大山崎・八幡エリアにあります。質の高い本物に触れる旅、是非楽しんでみてください。

取材協力:乙訓・八幡広域観光連絡協議会

2020年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2019/11/19−2020/03/11 訪問

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