写真:木村 岳人
地図を見る洲本城は大永6年(1526年)に三好氏の重臣であった「安宅治興(あたぎはるおき)」によって築城されました。その後、豊臣秀吉の子飼いの武将であり賤ヶ岳の七本槍のひとりに数えられている「脇坂安治(わきざかやすはる)」が改修を行い、現在に見られる姿になりました。
洲本城の特徴は、三熊山(みくまやま)の山頂に位置する「上の城」と北麓に位置する「下の城」を、東西二条の「登石垣」で繋いで防御力を高めているところにあります。そのうち「下の城」は御殿が置かれていた政務の場。現在は「淡路文化史料館」などの公共施設が建っており、その周囲に幅の広い水堀と立派な石垣が残されています。
淡路文化史料館では洲本城の地図を配布していますので、まず最初に立ち寄りましょう。地図の入手だけなら入館料は不要ですが、館内には豊富な展示物があり見応えがありますので、時間があれば見学をオススメします。洲本城についてのみならず、淡路島の文化や歴史について、より深く知ることができるでしょう。
<淡路文化史料館の基本情報>
電話番号:0799-24-3331
開館時間:9時〜17時(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日と祝日の翌日
入館料:大人500円、高校生・大学生300円、中学生・小学生150円
写真:木村 岳人
地図を見るまた淡路文化史料館の西側にある「洲本八幡神社」の境内には、下の城の迎賓館として寛永18年(1641年)に建てられた「金天閣」が移築されています。現存する洲本城の建造物としては唯一のもので貴重な存在です。
写真:木村 岳人
地図を見る下の城から上の城へ行くには、「洲本税務署」の西側、あるいはホテル「夢海遊 淡路島」の東側からの登城路を上がります。その途中には山麓から山頂にかけて垂直に続く「登石垣」が残っていますので、見落とさないように注意しながら歩きましょう。
「登石垣」は敵が山の斜面を伝って侵入することを阻止する防御施設で、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に城の守りを固めるため考案されました。脇坂安治など朝鮮半島へ渡った武将ならではの築城技術であり、全国でも数例しか確認されておらず非常に珍しい遺構です。
写真:木村 岳人
地図を見る遊歩道を上り詰めると、上の城の裏門にあたる搦手口に到着します。そのまま本丸まで上がっても良いのですが、せっかくなので本丸の石垣をぐるりと東へ回り込み、正門にあたる大手口から上がるのが良いでしょう。
洲本城は全体に石垣を用いた総石垣で築かれており、どの曲輪も重厚で堅固な石垣がそびえています。その中でも大手口の「本丸大石段」は殊のほか規模が大きく、まさに本丸の入口にふさわしい威厳と風格を備えています。
写真:木村 岳人
地図を見る本丸にはさらに一段高く築かれた天守台があり、昭和3年(1928年)に昭和天皇の即位を記念して建てられた鉄筋コンクリート造の模擬天守が存在します。史実に基づいて再建されたものではありませんが、模擬天守として最古の例であり、洲本のシンボル的な存在として既に文化財的な価値を有していると言えます。
写真:木村 岳人
地図を見る天守台からは洲本の町並みを一望することができます。旧城下町地区は江戸時代前期に整備された碁盤目状の町割りが継承されており、今もなお整然と直線的に通る路地を目にすることができます。
また洲本では地域を象徴する風景として“洲本八景”を定めており、この天守台から大浜公園(海水浴場)を見下ろす眺めは「大浜を大観」としてその筆頭に選ばれています。まさに洲本を代表する展望所だと言えるでしょう。
写真:木村 岳人
地図を見る本丸の片隅には小さな社が祀られており、これには「芝右衛門狸(しばえもんたぬき)」の伝説が語られています。
かつて三熊山の頂上には芝右衛門という狸が住んでいました。身の丈6尺(約180cm)の大狸で、時には人間に化けて悪戯を働くこともありましたが、陽気に腹鼓を打ったり人助けをしたりと洲本の人々に親しまれていました。
ある日、芝右衛門は浪速で芝居があると聞き、人間に化けて船で浪速へ渡りました。木の葉のお金で何日も芝居を楽しんでいたのですが、木戸の番人が料金箱に木の葉が入っていることを不審に思い、犬を三匹連れて待ち構えていました。何も知らない芝右衛門は芝居に満足して洲本へ帰ろうとしたところ、犬に発見されて噛み殺されたのです。
写真:木村 岳人
地図を見る芝右衛門の死を悼んだ洲本の人々は三熊山に芝右衛門を祀り、いつしか焼物の芝右衛門狸も作られるようになりました。今でも洲本の町中には芝右衛門狸をモチーフとする焼物や石像があちらこちらに見られます。
写真:木村 岳人
地図を見る本丸の搦手口からは尾根沿いに「西の丸」へ出ることができます。西の丸には石を割るためにクサビを打ち込んだ痕である矢穴が残る岩が転がっています。これは何らかの事情で使用されずに放置された石材で「残念石」と呼ばれています。
写真:木村 岳人
地図を見る残念石の場所はちょっとした展望台になっており、本丸を眺めることができます。少し距離があるので訪れる人はまばらですが、本丸と同じ高さから海を背景に石垣と天守を一度に収めることができる最高のフォトスポットですので、ぜひともここまで足を運んでみてください。
住所:兵庫県洲本市小路谷1272
アクセス:
洲本バスセンターから淡路交通「由良線」で約5分「公園前バス停」下車、「上の城」まで徒歩約20分
洲本市街地から車で約10分
2020年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2025/2/17更新)
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