凌雲閣は、松之山温泉街から少し離れた高台にあります。木造3階建ての本館建物は、昭和13年(1938年)に建築され、豪雪地帯の建築技術が残されているため、国の登録有形文化財に登録されています。玄関の床や天然木の柱は、磨き上げられ黒光りしています。
客室は、本館に14室の和室と、隣接する新館に2室の和室と1室の和洋室があります。本館の客室は2階と3階。エレベーターが設置されていますが、自然木の手摺と黒く輝く階段も趣きがあります。
本館1階には、フロントとラウンジ、売店があります。2メートル近くある置時計が時刻を知らせる音も懐かしい響きです。
客室の廊下側には、それぞれに違った飾り障子があり、部屋からは光の中の飾り影が楽しめます。部屋の入り口にも、自然木や茅葺屋根の庇が付いています。
本館3階の客室は、群馬県渋川の宮大工がそれぞれ1室を任され、工夫を凝らした部屋になっています。皇族も宿泊した「管領」をはじめ、「桜」や「白樺」など7室。室内は、次の間、本間、広縁の3間あり、凌雲閣ならではの間取りになっています。洗面所やトイレなどの水回りは共同ですがリフォームされ、各部屋で無線Wi−Fiが使えます。
角部屋の「管領」は、入口から広縁に続く長い廊下があり、障子はガラスがはめ込まれた“雪見障子”。次の間は和傘のような天井に、竹垣根を思わせる欄間など、細部までこだわっています。本間と広縁の境にある障子は、枝に止まる鳥や空を飛ぶ鳥が施され、広縁側には屋根が付けられ家に見立てています。
広縁はカーペットが引かれ、座り心地の良いソファーにリビングテーブル置かれた洋風な造り。純和風の次の間や本間とのギャップも楽しい1間になっています。
広縁の飾り窓は、松や舟、鳥など濃く見える影の内戸と、薄く見える星や樹を思わせる外細工の2つが重なって描かれたもの。内戸を開けると別の模様が現れます。
浴場は、時間で男女が入れ替わる大浴場と中浴場と、空いていれば何時でも利用できる家族風呂があります。大・中浴場は、自家源泉の「鏡の湯」。泉温は78.2度、水素イオンのPH値は7.39の“ナトリウム・カルシウムー塩化物泉(高張性中性高温泉)”、温泉1キログラムを蒸発させた後に残る、蒸発残留物は15.9グラム/1キログラムと温泉成分の多い温泉です。
皮膚の角質を柔らかくするナトリウムや、鎮静効果があるカルシウム、殺菌作用や保温効果がある塩素イオンや、メタホウ酸、メタケイ酸などが高いため、日本三大薬湯のひとつと言われています。「鏡の湯」は、湧出時は無色透明ですが、時間と共に美しい薄緑色に変ります。
大浴場と中浴場は、写真の78.2度の源泉湯出口と循環濾過後の湯出口がある“新湯注入循環方式”。
家族風呂は内鍵式で、開いていればいつでも入れます。温泉は、松之山温泉共用源泉の「鷹の湯」。泉温は97.5度と更に高温の“弱アルカリ性高張性高温泉”。循環していないため、水面が熱くなっているので入浴時には“湯もみ”が必要です。
夕食は、山菜やキノコなど季節の地元食材が、趣のある器に盛られてテーブルに広がります。前菜は、十日町市のブランド豚を松之山温泉でローストした湯治豚や、2色卵、胡麻豆腐など5品の前菜をはじめ、ナラタケの玉子豆腐、フキノトウの酢味噌和え等、山菜やキノコが、素材の味を生かして様々に調理されています。
キノコ鍋は、肉団子や、帆立、お豆腐にキノコの出汁が染みた美味しいお鍋。この他、野菜やシイタケ、豆腐などの郷土料理のけんちん汁や、うなぎの蒲焼と続きます。かなりのボリュームですが、最後まで美味しくいただけます。
料理は季節によって変わります。山菜やキノコ、新米の季節も楽しみですね。
うなぎの蒲焼は肉厚で濃い目のタレがよく合います。食事は、十日町市産のコシヒカリに鯉のお味噌汁。鯉は臭みがなく淡白なのでお味噌とよく合います。
新潟県は、灘の兵庫県、伏見の京都府に次ぐ酒どころ。利き酒セットは、魚沼市の八海山や、十日町市の松乃井、上越市の雪中梅などから3種類のお酒を飲み比べできます。
星空を楽しむためには、都市圏の人口的な光や街灯の光が影響します。松之山温泉は、標高300〜1000メートルの丘陵が続く東頸城城丘陵にあり、街灯も少ないためプラネタリウムのような星空が広がります。晴れた日の星空は旅のご褒美です。
魚沼産コシヒカリは、美味しいお米のブランド。十日町市は、肥沃な土地と、豊かな雪解け水、昼夜の温度差から、美味しいお米の産地です。朝食は、十日町市産コシヒカリが主役。艶々でふっくらと炊かれたご飯と、ナメコとお豆腐の味噌汁、湧水を使った湯豆腐や車麩とゼンマイの煮物など、地元食材の料理がご飯を引き立てます。
松之山温泉周辺では至る処で湧水が流れています。清流で作られたお豆腐を少し甘めの出汁で頂く湯豆腐は一味違います。
松之山温泉は、マグマによって高温に熱せられた太古の海水が、断層を通って急激に湧出する“ジオプレッシャー型温泉”といわれている非常に珍しい温泉。豊かな自然の里山では、山菜やキノコなどの山の幸が豊富です。また、有形文化財の建物は木のぬくもりがあり、宮大工が競い合った部屋は、それぞれに個性があり、施された細工はいつまで見ても飽きません。有形文化財に泊まれる凌雲閣で、四季折々の松之山の味を楽しんでください。
2020年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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