写真:乾口 達司
地図を見る国の史跡に指定されている「置塩城跡(おじおじょうあと/おきしおじょうあと)」は、兵庫県姫路市の山間部に位置する城跡。標高370メートルの山頂付近に築かれた山城で、応仁の乱勃発の翌年に当たる1469年(文明1)、播磨・備前・美作三国の守護であった赤松氏によって築かれました。以後、置塩城は百年以上にわたって赤松氏の居城としてあり続けました。
赤松氏は播磨国の豪族。室町時代以降、室町幕府の有力な守護大名となりますが、赤松満祐が第6代将軍・足利義教を暗殺した「嘉吉の乱」で幕府軍の追討を受け、没落。政則の代にようやく再興されました。しかし、その権力基盤はかつてのように盤石なものではなく、政則の跡を継いだ義村が家臣の浦上氏に暗殺されたように、赤松氏の守護としての権威と権力は失墜。領国は浦上氏や浦上氏の家臣であった宇喜多氏に奪われ、1577年(天正5)には播磨国に侵攻してきた羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)に降伏。これによって守護大名としての赤松氏の歴史は幕を閉じました。その後、置塩城は秀吉の命によって取り壊されますが、その意味でも置塩城は赤松氏の栄光と衰退の軌跡を見続けて来たお城であったといえます。
現在では、山麓からは山頂へとのびる登山道も整備されています。
写真:乾口 達司
地図を見る登山口には、ご覧のように案内板やパンフレットも設置されているので、利用しましょう。登山道は険しい急坂が続きます。自信のない方は写真のトレッキングポールを拝借しましょう。
写真:乾口 達司
地図を見る登山道には、1丁ごとに設けられた丁石も見られます。1丁は約110メートル。終点の丁石には「十八丁」と刻まれており、登山口から城郭の遺構が現れる山頂付近までの所要時間は40分から50分程度。それぞれの丁石を確認しながら、ゆっくり登りましょう。
写真:乾口 達司
地図を見る置塩城は城山の山頂部に位置する伝・本丸跡とその西側の尾根上に配置された主郭部とから成り、東西約600メートル、南北約400メートルという広大な敷地面積は播磨国最大の規模を誇ります。
写真は山頂付近に位置する伝・本丸跡。発掘調査の結果、天守に似た櫓状の建物が置かれていたことがわかっています。
写真:乾口 達司
地図を見る本丸跡を歩くと、あちらこちらに瓦の破片を見ることができます。これらは本丸に置かれていた施設の屋根を飾っていた瓦であると考えられます。
写真:乾口 達司
地図を見る伝・本丸跡から下ったところにあるのが、伝・二の丸跡。城主の赤松氏が日常生活を送っていたところと考えられており、削平された空間は広大。付近には屋敷を支えていたと思われる礎石も点在しています。
写真:乾口 達司
地図を見るその一角には、ご覧のような立石も見られます。屋敷内にしつらえられた庭石かも知れませんね。
写真:乾口 達司
地図を見る一段下がったところには、人工的に配置された列石も見られます。
写真:乾口 達司
地図を見るほかにも、かつての遺構が各所に見られます。
こちらは伝・三の丸跡。置塩城跡のなかでも最大の広さを持つ遺構で、発掘調査の結果、庭園や築地土塁を持つ屋敷跡などが確認されています。伝・二の丸跡が城主の生活空間であったのに対して、こちらは対外的・政治的な役割をになう公的な空間であったと考えられています。
写真:乾口 達司
地図を見る伝・二の丸跡の南側からは、茶室と思われる施設の遺構も発見されています。赤松氏も、当時、流行していた茶の湯を嗜んでいたのでしょう。
写真:乾口 達司
地図を見るこちらは「第X曲輪群」と呼ばれている南曲輪群。「曲輪(くるわ)」とは、城郭にあって人工的に削平・盛土された平面空間のこと。南曲輪群には城郭の南方を防衛するための施設が置かれていたと考えられますが、置塩城跡ではこういった曲輪が城郭の四方を何重にもわたって取り巻いています。
写真:乾口 達司
地図を見る廃城後、置塩城の部材は姫路城に移築されたといわれていますが、城郭内をめぐると、ご覧のように、あちらこちらに当時の石垣を見ることができます。
写真:乾口 達司
地図を見るとりわけ、西曲輪群の一角には「大石垣」と呼ばれる巨大な石垣が見られます。置塩城がいかに壮大な規模の城郭であったかが、ここからもわかりますよ。
写真:乾口 達司
地図を見る山城であるため、城郭からの眺望も抜群!写真は姫路の市街地方面を撮影したものですが、見えている山は、西国三十三所霊場の一つ・円教寺を擁する書写山。お天気が良ければ、瀬戸内海まで見渡せます。
置塩城跡がいかに壮大な規模の城郭跡であるか、おわかりいただけたでしょうか。置塩城の遺構をめぐり、守護大名でありながら、戦国乱世のなかで力を失っていった赤松氏の栄光と悲劇に思いを馳せてください。
住所:兵庫県姫路市宮置
アクセス:JR姫路駅寄りバスで約40分
2020年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事の関連MEMO
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索