写真:Mayumi Kawai
地図を見る約3300年前、新王国時代第19王朝ファラオ(王)にして古代エジプト最大のファラオと謳われたラムセス2世。その第一王妃として寵愛を受けたのがネフェルタリ(Nefertari)です。その寵愛ぶりは、ラムセス2世が建設したアスワンのアブ・シンベル神殿に見ることができます。
ネフェルタリに捧げたとされるアブ・シンベル小神殿。その正面には入口を挟んで左右に3体ずつ6体の巨像が並び、それぞれネフェルタリを中央に挟んでラムセス2世の像が建っています。通常、歴代王妃やその子どもたちは王の足元に小さく作られることが多いのですが、ネフェルタリはラムセス2世と同等の大きさで作られています。このことから、いかにラムセス2世にとって重要な存在であったかが伺えますね。
写真:Mayumi Kawai
地図を見るそんなネフェルタリの墓が、古代エジプトの王都テーベのあったルクソールの王妃の谷に存在します。画像はネフェルタリを表す古代文字ヒエログリフ。こんな事をチェックしながら、王妃ネフェルタリの墓を見ていきましょう。
写真:Mayumi Kawai
地図を見るルクソールを流れるナイル川西岸、王家の谷から南東へ約1.5kmの場所に建てられた王妃の谷。歴代ファラオの王妃やその王子、王女など主に王族が埋葬されています。
王家の谷に比べて規模が小さく、また古代エジプト最高峰といわしめるネフェルタリの墓の入場料が法外なことからしばしば観光ルートから外されるこの谷。それだけに観光客がまばらで穴場ともいえます。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る入場料は2020年4月現在で1400LE(エジプト・ポンド)、日本円でおよそ1万円まで跳ね上がっています。
これはネフェルタリの墓発見後、修復プロジェクトに携わったゲティ保存科学研究所とエジプト考古最高評議会との間で、壁画保存の観点から原則非公開とするものの、高額な入場料をもって限られた人数にのみ限定公開するという取り決めが交わされたことがはじまりです。
この桁外れな金額はエジプト人の平均月収のおよそ3分の1以上ともいわれ、それゆえに現地ガイドから敬遠されがちで、入口には軍隊がものものしく警護しています。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る王妃の谷には基本入場料100LE、別途ネフェルタリの墓入場料に1400LEで合計1500LE(約10,200円相当)が必要です。クレジットカードは取扱不可のため注意しましょう。
なお、大きな手荷物およびカメラの持込は禁止されています(写真撮影代別途300LEを支払えばネフェルタリ以外の墓の撮影可)。ただし、スマートフォンでの撮影のみ許可されているため、スマートフォンだけ持参して入口のセキュリティチェックを通過しましょう。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る1904年の発見当初、墓は湿気と塩で覆われ、バクテリアや菌類などの激しい損傷を受けていました。1986年から1992年に行われた修復プロジェクト以降、壁画保存の観点から遺跡内の湿度を一定に保つため、1日上限150名ならびに1人10分までの入場制限が課されています。
とはいえ、今では上限人数および10分の滞在時間も係員へのバクシーシ、いわゆるチップで5〜10分程度延長できるなど管理が甘くなっているのが現状です。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る入口の細い階段を降りてまず到着するのは前室です。3250年以上も時が経っているとは到底思えないほど色鮮やかなレリーフが壁一面に埋め尽くされ、一瞬で心奪われます。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る墓の内部は前室と側室、さらにその先に玄室と4本の柱、3つの側室というシンプルな構造になっています。墓には2名の係員が常駐し、時折片言の英語をまじえて壁画の説明をしてくれます。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る壁画の保存状態はすこぶるよく、その色彩は他の王墓と比べものにならないほど。まさに1万円出しても惜しくないほどプラチナ級の古代歴史遺産です。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る知恵の神であり書記の守護者を司るトキの頭をしたトト神。死者の審判においては、死者の生前の行いをすべて記録したリストをもって死者の罪を秤にかけ、その是非を判定する儀式を執り行うといわれています。そんな様子が描かれているのかもしれません。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る頭上に日輪を冠した母なる女神ハトホルと女神に供物を捧げる王妃ネフェルタリ。ヒエログリフの意味はわからずとも、その色彩豊かな壁画に想像が膨らんでワクワクしますね。
写真:Mayumi Kawai
地図を見るネフェルタリの墓のほか、2020年4月現在は、第20王朝ラムセス3世の息子アメンヘルケプシェフ王子の墓、それと第20王朝の初代ファラオ・セトナクトの娘であり、ラムセス3世の妻・ティティ王妃の墓が公開されています(公開される墓は変動する可能性があります)。
写真:Mayumi Kawai
地図を見るいずれも壁画はガラスに覆われ、特にティティ王妃の墓は非常に狭く壁画の剥落など激しい損傷が見られます。しかし、他の墓には見られない女性らしい優美なレリーフが数多くあり見応えがあります。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る一方、アメンヘルケプシェフ王子の墓は保存状態がきわめて良好で、15歳という若さで亡くなった王子を神々に引き合わせ、冥界へと導く父王ラムセス3世の姿が色彩豊かに描かれています。
いかがでしたでしょうか。
観光ルートからはずされがちな王妃の谷。しかし、高額な入場料を払っても得がたい感動が待っています。ぜひ今度ルクソールを訪れた際に王妃の谷も立ち寄ってみませんか?
住所:Valley of the Queens, Luxor, Egypt
入場料:王妃の谷入場料 100LE /ネフェルタリの墓 1400LE(別途)
営業時間:9:00〜17:00
アクセス:ルクソール市内から車・タクシーで約50分。王家の谷のすぐそば。王家の谷を含むルクソール日帰りツアーに参加してついでに立ち寄ってもらう方が便利でお得。
2020年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/9/14更新)
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