トンネルを抜けるとそこは…という小説がありましたが、宝塚駅から約10分の所にある武田尾駅は、ちょうど山の中を流れる武庫川の上に造られた無人の秘境駅。大阪からなら約40分、神戸からは約50分で行け、賑やかな宝塚駅と同じ市内とは思えない程別世界が広がっています。電車から降りると、空気の違いで感じることが出来るでしょう。
「武田尾温泉」の開湯は江戸時代初期。1640年ころに豊臣氏に仕えていた武田尾家の武士が、湧出していた温泉を発見した事から始まったと言われています。
現在営業している温泉宿は、今回ご紹介する「紅葉館別邸あざれ」と「元湯」の2軒のみ。うち「元湯」は日帰り入浴のみの利用で、宿泊は「紅葉館別邸あざれ」1軒だけです。
武田尾駅から、武庫川沿いに歩くこと約7分。
はっきり言って、ここに来るまで何もありません。お土産屋もそれ以外の商業施設も何も。本当に観光化されていない秘境と呼ぶに相応しい場所なのです。
入り口を入ると正面にフロントがあり、左手にラウンジ、その奥に温泉場。右手に食事処と、更に奥に行くと離れになっている客室があります。全体的に和モダンで落ち着いた雰囲気があり、こんな山奥にこんな素敵な場所があるなんて、と驚かされます。
共同の温泉施設は男女別に分かれた大浴場と露天風呂があります。どちらも源泉かけ流しで、泉質は、ラドン含泉、ナトリウム・カルシウム塩化物温泉。関西ではちょっと珍しい泉質で、心と身体が潤いで満たされます。
内湯は2面に窓が穿たれ、豊かな緑に囲まれた風景は、まさに癒しそのもの。高台にあるので、立ち上がると武庫川も見ることが出来ます。
露天風呂も小さいながら、とてもお洒落に造られています。
風の音、川のせせらぎ、鳥の鳴き声。こんな贅沢なシチュエーションを運が良ければ、お湯に浸かりながら独り占め出来るんです。
また、全客室に半露天風呂が付いているのもこちらの大きな魅力。メゾネットスタイルの「温泉ひとりじめタイプ」という客室もあって、もちろん宿泊だけでなく日帰りプランでも使うことが可能です。
こちらのもう1つの目玉は食事。こちらの食事処は、関西を代表する料理人・神田川俊郎氏がプロデュースする「神田川道場茶寮 心 shin」。特選創作会席料理や郷土料理のぼたん鍋、すき焼き、しゃぶしゃぶなどを頂くことが出来ますが、リーズナブルなランチコースもおススメです。
食事処は個室化されていて、プライバシーが守られているのもまた贅沢。
ランチメニューは3種類。写真は「もみじ」というコース。八寸、天ぷら、刺身、茶わん蒸し、香の物、ご飯。味も見た目の彩りも良く、さすが和食の達人神田川俊郎プロデュース。
窓から見える風景と共に、更に至福の時が味わえます。
コースの最後に出てくるのは、黒豆を使った「黒豆肉うどん」。そう、兵庫県の特産物である丹波の黒豆を使ったもの。丹波市とも比較的近いこともあって、名物の黒豆を使った料理が出てくるのです。
(コースによって変わります)
温泉と美味しい料理の2つが揃っていて、しかも遠くまで行かなくても済み、かなりの穴場スポット。ここは、日頃の疲れをリフレッシュするには格好の場所と言え、客室を貸し切れば、日帰りでもかなり充実&贅沢な旅が出来ます。おひとり様でも、ファミリーでも、楽しみ方は色々。
また近くには、JR福知山線廃線敷があり、ハイキングにも適している場所です。
2020年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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