横須賀沖1.7キロにある猿島は、周囲1.6キロの小さな無人島。人工島ばかりの東京湾にあって、唯一自然にできた島です。
幕末期、日本近海に外国船が現れるようになり、東京湾の入り口にある猿島にお台場を設置。明治14年になると、陸軍が要塞の建設をはじめました。長らく軍事施設だったため民間人の立ち入りが規制され、戦後も開発の手が入らなかったため自然も残されています。
写真:みなみ じゅん
地図を見る猿島上陸! 島へは、日露戦争で活躍した記念艦「三笠」のすぐ右手にある三笠桟橋から、クルーズ船で渡ります。出航時間は8時30分から16時30分まで1時間に1本ずつ。所要時間は約10分です。
ところで、猿島と言っても現在猿がいるわけではありません。1253年、日蓮上人が房総から鎌倉へ渡る途中嵐に遭い、小さな島に避難したところ一匹の白い猿が現れて、島の奥へ案内したという言い伝えから、猿島と呼ばれるようになったという説があります。
写真:みなみ じゅん
地図を見る島に着いたら最初のオススメが、土日祝日に遺跡を巡る無人島探検ツアー。1日4回行われます。「TOKYO BAY Navigator」のガイドが500円で案内。予約不要で、下船したら管理棟多目的ホールで申し込み。要塞の歴史や島の見どころを教えてもらえます。地図を指さしているのは、ナビゲーターのエリックかばやさんです。
ツアーを終えたら、今度はマイペースで巡りましょう。レンガの建物や苔など、ファンタジー映画に登場しそうなフォトジェニックな風景を、たっぷり眺めて写真におさめる。ツアーに参加すれば猿島を何倍も楽しめますよ。
写真:みなみ じゅん
地図を見るレンガ造りの煙突と建物が残る発電所。明治28年にサーチライトに送電するため、造られました。当時は石炭で発電したため煙突がありますが、現在は軽油を燃料として島の電気をまかないます。
写真:みなみ じゅん
地図を見る砲台の主要道路である切通しは、150メートルほどある直線の道です。明治14年から17年にかけて手掘りで造られました。左右の壁は、千葉県の鋸山付近で産出する房総石です。
レンガの建造物は棲息掩蔽部と呼ばれる兵舎です。砲兵が待機したり、砲撃から身を隠したりという目的で造られました。
写真:みなみ じゅん
地図を見る切通しにある砲側弾薬庫。大きな入口が弾薬庫で、狭い方は照明専用の点灯室。弾薬庫内でランプを灯すと危ないので、横に小部屋を設け、窓を作ってガラスで仕切り、間接的に照らしました。
建物はレンガの長い面と短い面を交互に並べる「フランス積み」という積み方。日本はこの後、先に紹介した発電所のようにイギリス積みを採用するため、国内に現存するフランス積みの建物は、富岡製糸場など数少ない貴重なものです。軍事施設としては初めて国の史跡に指定されました。
写真:みなみ じゅん
地図を見るラピュタ感たっぷりの構造物は、緑に呑みこまれるようにして立つ第二棲息掩蔽部。上に砲座があったため階段が設けられ、駆け上がれるようになっています。レンガの壁は苔やつる草に覆われて、まるで古代遺跡のようです。
写真:みなみ じゅん
地図を見る日本離れした雰囲気が人気の「三叉路」。切通しに囲まれた広い空間に、ふたつのトンネルが見られます。右側が100メートルほどあるレンガ造りの通称「愛のトンネル」。左奥は素掘りの短いトンネルです。
レンガトンネルの建設方法は、山を掘って切通しを作り、そこへレンガを積んだ後、埋め戻しをしました。
写真:みなみ じゅん
地図を見るレンガ造りのトンネルは全長100メートルほど。中は薄暗く、カップルが入ると、出てくるときには手をつないでいると言われることから「愛のトンネル」と呼ばれます。
現在は立ち入り禁止ですが、トンネルの西側には数か所入口があり、2階建ての地下室となっています。弾薬庫や倉庫として使われたと考えられます。
写真:みなみ じゅん
地図を見る明治時代に陸軍が造った弾薬庫。左手にある扉の向こうは、砲弾を地上の砲台へ吊り上げるため、井戸が掘られています。
壁には照明専用の点灯室の窓があります。庫内を明るく見せるため、壁の色は白。漆喰を5度も塗り重ねてある珍しい造りで、砲弾を湿気から守るためと言われます。
写真:みなみ じゅん
地図を見る海軍が造った高角砲跡。コンクリートの構造物は、砲弾を収納した弾室と兵員待機所に通じる交通路。ツタの絡まる太い木が、戦後70年の時間を物語っています。
写真:みなみ じゅん
地図を見る島の一番高い場所にある「展望広場」は海抜35メートル。今も残る見張り台は、島が「仮面ライダー」のロケ地になったとき、ショッカーのアジトとして登場。「ラピュタには、ショッカーの秘密基地があった!」という驚愕の新事実です。
島では海水浴や釣りなどのアクティビティも楽しめます。売店では、よこすか海軍カレーをはじめ、名物の猿島丼や、ビール、ソフトドリンクも売られます。
砂浜でバーベキューをするのなら、食材は島に渡る前に各自調達。市の条例でコンロ、炭、着火剤などの島内持ち込みができない代わりに、BBQセット一式が島でレンタル可能です。返却は汚れたままで手間いらず。オーシャンビューのBBQが楽しめます!
写真:みなみ じゅん
地図を見る桟橋前の広場にある管理棟多目的ホールは、普段はフリースペースになっていて、食事や休憩に使えます。シャワールームやコインロッカー、島唯一のトイレもここにあります。
東京駅から最寄りの京急横須賀中央駅まで、わずか1時間ちょっと。島では、東南アジアのジャングルで遺跡探検をしている気分を味わえます。雰囲気満点の廃墟を撮影に来る人も多く、インスタ映えも間違えなし。とりわけ女性はオシャレをすれば、映える写真が撮れますよ。東京湾のラピュタの島へ、冒険の旅へ出かけよう!
三笠桟橋住所:神奈川県横須賀市小川町
アクセス:京急横須賀中央駅より徒歩15分。船で約10分
電話番号:046-825-7144(トライアングル)
往復乗船料:大人1,400円、小学生700円、小学生未満無料
猿島公園入園料:15歳以上(中学生除く)200円、小・中学生100円
駐車場:周辺には三笠公園駐車場をはじめパーキングがあります
2020年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2025/2/7更新)
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