横浜・三渓園で花と美術と建築を!! 深く味わうための3つのポイント

横浜・三渓園で花と美術と建築を!! 深く味わうための3つのポイント

更新日:2014/06/05 17:29

三渓園(さんけいえん)は、横浜の中でも古くから知られている観光名所で、バスツアーで団体が訪れることもあります。風光明媚で大きな庭園に目を奪われがちですが、訪問する前に知っておくことでより深い楽しみ方ができるようになります。そんな三渓園について、コアな話をお届けしましょう。

最初は文人や画家が集う場所だった

最初は文人や画家が集う場所だった
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三渓園は、生糸貿易で財を成した実業家、原三渓氏の所有する庭園がルーツで、1906年に一般の人に公開されました。氏は自ら書画を嗜む人物で、数多くの芸術家を支援したことでも知られています。ここを活動の地にした画家の中には、前田青邨、横山大観、下村観山などそうそうたる顔ぶれが挙げられます。

公開当時より、日本全国の様々な場所から当時としても美しい建築物を移設してきた歴史があります。しかし、関東大震災、東京大空襲の被害により、壊れた建物もあり、現在残っているものは少なくなっています。

横浜、本牧にある広大な庭園を訪れるには、横浜駅東口、JR根岸線根岸駅、あるいはみなとみらい線元町・中華街駅からそれぞれ三渓園行きのバスが運行されているので、そこから直接行くことができます。また、有料駐車場も用意されているので車で直接訪れても大丈夫です。

見所其の壱。喧噪から離れた優雅な庭園風景

見所其の壱。喧噪から離れた優雅な庭園風景
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三渓園のある本牧周辺は、工場が隣接していたり住宅地だったりするのですが、一歩ここに足を踏み入れると、その喧噪とは無縁の、美しい庭園を目にすることになります。ところどころにある順路の看板に従って園内を一周すれば、それだけでも魅力を楽しむことができます。

撮影は初夏、園内にある緑の丘が目に焼き付くほどの印象を与えます。季節によって趣が変わるのも魅力で、早春には梅の名所として、初夏にはツツジや菖蒲が満開となり、秋になれば美しい紅葉が訪れる人を楽しませてくれます。季節によって様々なイベントが行われているので、この機会を外さずに訪れると、よりいっそう三渓園の魅力を深く楽しむことができます。

本稿執筆時点では、6月初頭の蛍の夕べ、7月中旬から8月のお盆の時期まで開催される早朝観蓮会がオススメです。

見所其の弐。三渓記念館に収蔵されている美術品

見所其の弐。三渓記念館に収蔵されている美術品
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三渓記念館。ここには原三渓氏自らの書や絵画だけでなく、三渓園のゆかりのある日本画家や作家直筆の絵画や書などが展示されています。明治から大正、昭和初期にかけて名の通った画家の作品を見ることができますが、小学校や中学校の教科書で一度は目にしたことがある、「横山大観の直筆画」が常時展示されている、これを見ることを目的としても大いに満足できるでしょう。

それだけではありません。三渓園には古い建築物が残っていますが、建築当時のふすま絵、屏風なども展示されているので、当時の美術品を見ることもできるのです。狩野派の画家たちが描いたふすま絵や豊臣秀吉・秀次直筆の書状も見ることができます。

三渓記念館には、ミュージアムショップと抹茶処が併設されています。ミュージアムショップでは三渓園でしか購入できないお土産物、記念館の図録などが販売されています。また抹茶処では、1服500円、餡入り落雁付きのお茶を楽しめます。ここ以外にも三渓園の中には、お食事処が2軒あるのですが、すべて通常時16時閉店となっているので、午後から訪れる方は、気に留めといておいた方がよいでしょう。

見所其の参。全国各地から集められた多数の建築物

見所其の参。全国各地から集められた多数の建築物
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三渓園には日本各地から集められた古い建築物が存在し、バラエティに富んだ建築様式を観察することができます。その中には園内のどこからでも見ることのできる、旧燈明寺三重塔をはじめ、国の重要文化財に指定されているものもいくつかあります。

写真は、これも重要文化財になっている臨春閣。1649年の建築で豊臣秀吉の建てた聚楽第の一部とも、8代将軍徳川吉宗が幼少時に育った紀州徳川家の別荘ともいわれています。

それら貴重な建築物の中には、岐阜の白川郷から移設された合掌造りで藁葺き屋根の民家があります。「旧矢箆原(やのはら)家住宅」と呼ばれ、国の重要文化財となっています。この古民家は、内部まで一般公開されていて、かつての農家のたたずまいが残されており、当時の内部も展示されています。

なお、これらの建築物には、有料で一般の人も利用できます。会食、パーティ、撮影などの目的で利用されることがあります。

ここでひとつ情報を……。
三渓園の閉館時間は通常、17時までですが、6月上旬に開催される蛍の夕べの時など、夜間まで入場できる時期があります。そのとき、古い建築物にはライトアップが施され、幻想的な風景を見ることができるのです。

開演時間:9:00〜17:00(入園は閉園の30分前まで)
休園日:12月29日、30日、31日
入園料金:大人¥500

さらに三渓園についていろいろと……

景色の美しい三渓園は、観光目的で訪れる人だけではなく、七五三や結婚式の写真撮影にもよく使われ、筆者が取材をした当日も、平日であるにもかかわらず、2組のカップルが花嫁衣装、花婿衣装で撮影を行っていました。カメラ片手に1時間ほど園内を回ると、格好の被写体にいくつも遭遇することになるでしょう。そして年間を通じて開催されている様々な催し物の中には、普段公開されない建物の内部を見るチャンスでもあるので、是非とも押さえておきたいところ。可能であれば、1枚2500円の年間パスポートを購入し、1年を通じて季節の変化を楽しみながら散策したい場所なのです。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2014/05/12 訪問

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