写真:風祭 哲哉
地図を見る渡世人の寅さんなので、似合うのはやっぱり「さいはて」の番外地。
第11作「寅次郎忘れな草」で、寅さんにとって生涯のマドンナとなるリリー(浅丘ルリ子)と出会うのも網走の港。
当時、札幌から網走まで走っていた夜行急行「大雪」。その中でそっと涙するリリーを見つけたのが、この悲しい恋のはじまりでした。
網走駅の蒸気機関車やまだ賑やかだった商店街など、そこには昭和の元気な北海道の姿があります。
提供元:知床斜里町観光協会
https://www.shiretoko.asia/網走からさらに果てへと進んだ先にある知床半島。第38作「知床慕情」では、寅さんがこの知床の大自然の中に飛び込んでいきます。
森繁久彌の「知床旅情」のメロディーとともにウトロの温泉街やオシンコシンの滝、知床連山や知床自然センターなどがスクリーンに登場し、「男はつらいよ」シリーズの中でも1,2を争う絶景作品に仕上がっています。
提供元:知床斜里町観光協会
https://www.shiretoko.asia/寅さんはマドンナのりん子(竹下景子)と友達の船長の船に乗ったり、バードウォッチングをしたり。「カムイワッカの滝」と紹介されて「カムチャッカ?」と口走ったり、バードオチングと変なアクセントで話したりと相変わらずですが、知床の厳しい自然と共に暮らす人々なども描かれています。
当時の知床は、まだ世界遺産登録の前でしたが、観光客が増え始めていた頃なのでしょう。寅さんの友達が「知床の自然を守る会」という活動をする様子も登場します。
提供元:北海道釧路総合振興局商工労働観光課
http://www.kushiro.pref.hokkaido.lg.jp/ss/srk/kank…不思議なことに北海道で最も「さいはて」感のある稚内・宗谷地方は「男はつらいよ」には登場しません。その代わりに寅さんが歩くもう一つの最果ては釧路から根室にかけての根釧原野。
第33作「夜霧にむせぶ寅次郎」は、タイトル通り霧で有名な釧路から物語がはじまります。寅さんがマドンナの風子(中原理恵)と出会うのは釧路の幣舞(ぬさまい)橋。世界3大夕日が見られる場所としても有名です。
写真:風祭 哲哉
地図を見る寅さんは、自らフーテンと称する風子と意気投合し一緒に旅に出ることになり、行きついた場所は日本の東の果て、根室。
根室の見どころは北方領土が目の前に見える納沙布岬や日本最東端の駅「東根室駅」などがありますが、映画に出てくるのは根室市内の理髪店に勤める風子の日常が中心です。
写真:風祭 哲哉
地図を見るそれでも釧路から根室に向かう根室本線の車窓から見える別寒辺牛湿原や、途中立ち寄った霧多布の町、ラストシーンの養老牛温泉など、根釧原野の大自然がところどころに登場する作品となっています。
提供元:一般社団法人札幌観光協会
http://www.sapporo.travel/sightseeing.photolibrary…「男はつらいよ」に初めて出てくる北海道の場所はやっぱり「札幌」。
第5作「望郷編」では、寅さんの親分が入院する病院を訪ねるシーンから始まり、大通公園やテレビ塔、札幌市電などが登場します。
その後も第15作「寅次郎相合い傘」で寅さんが万年筆の泣き売をしたり、「知床慕情」で、ゴッホの複製画などを啖呵売するシーンで大通公園がたびたび登場します。
写真:風祭 哲哉
地図を見る北海道の古都、小樽。寅さんはこの北海道の港町もお好きなようで、小樽は「望郷編」、「寅次郎相合い傘」など初期の作品のロケ地となっていて、市内では小樽運河や外人坂などが登場します。
また「望郷編」では小樽築港機関区から出発したSLを追いかけて、寅さんが銀山駅や小沢駅まで足を延ばします。「山線」と呼ばれる函館本線の山岳区間を、D51が疾走するシーンは圧巻です。
写真:風祭 哲哉
地図を見る北島三郎に「函館の女(ひと)」と唄われた道南の中心地、函館。坂と港のこの情緒あふれる街にも寅さんは姿を現しますが、意外とあっさり通り過ぎてしまい、あまり観光地的なスポットは登場しません。
第26作「寅次郎かもめ歌」のロケ地となったのは道南の江差町とそこからフェリーで渡った「奥尻島」。江差町内のシーンでは江差追分全国大会の様子が描かれています。
提供元:写真AC
https://www.photo-ac.com/奥尻島は北海道の南西部、江差からフェリーで2時間半ほどの場所にある周囲84キロの島。寅さんの亡きテキヤ仲間の娘、すみれ(伊藤蘭)が住む島として登場します。
奥尻島は利尻や礼文のようなメジャーな観光地ではありませんが、ドーナツ型のユニークな形をした「鍋釣岩」や西海岸の奇岩群など、手つかずの自然の恵みあふれる島です。
提供元:千歳市公式ホームページ
https://www.welcome-to-chitose.jp/千歳市にある支笏湖は日本最北の不凍湖で、最大水深は360m。秋田県の田沢湖に次いで日本で2番目に深い湖ですが、透明度も日本有数と言われています。
寅さんがこの支笏湖にやってきたのは第23作「翔んでる寅次郎」。マドンナの桃井かおりが地元の若者に襲われそうになるのを助けたのがこの場所でした。
提供元:千歳市公式ホームページ
https://www.welcome-to-chitose.jp/日本中の温泉宿に泊まり歩いている寅さんですが、北海道では支笏湖畔の「丸駒温泉旅館」に泊まっています。
ここは実際に存在する大正4年創業の老舗温泉旅館で、湖を望む絶景が人気の秘湯。映画ではマドンナの桃井かおりを襲った男(湯原昌幸)がここの若旦那だったという設定で、寅さんはその弱みに付け込んで、ここでたっぷりと長逗留しています。
映画「男はつらいよ」は全48作プラス特別編が2作で合計50作。その中で北海道がロケ地になっているものはなんと7作品もあります。
北海道の大自然の中を寅さんが歩いていると、映画を見ているだけでも旅気分になれますよね。
そんな気分になったら、いつの日か寅さんの歩いた道をたどって、風の向くまま、気の向くまま、あてのない旅をしてみたいものですね。
2020年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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