写真:潮 佳澄
地図を見る神戸の中心街・三ノ宮から阪急電車で3駅目の王子公園駅。パンダのいる動物園として親しまれる王子動物園がある灘の街は、横尾忠則現代美術館や兵庫県立美術館などミュージアムが集まるエリアでもあります。
駅から歩いて5分ほど、王子動物園のすぐ隣に突然、森の中の洋館のように優美な姿を現すのが「神戸文学館」です。
谷崎潤一郎、横溝正史、稲垣足穂、竹中郁…神戸ゆかりの42人の作家たちについて、明治・大正・昭和・平成の時代ごとに分けて作品や資料が展示されています。
文学館の正面へと向かうとその全体像を見渡すことができます。神戸文学館の建物は、1904(明治37)年、現在の関西学院大学のチャペルとして建てられたものです。神戸市にのこるレンガ造り平屋建て教会建築としては最古。
文学館として開館されるまでの歴史は長く、戦後には現代の日本の図書館の源流になったとされるCIE図書館から移行したアメリカ文化センター(ACC)として利用された後、神戸市立中央図書館の分館として開館されるなど、チャペルとしての役目を終えてから、神戸の学問・文学と深い関わりを持ちながら現代までこの地にあり続けたという歴史があります。
写真:潮 佳澄
地図を見るチャペルの尖塔は、長く戦災で失われたままとなっていました。平成5年、明治から日本で数多くの西洋建築を手がけたV.M.ヴォーリズの想いを継承する一粒社ヴォーリズ建築事務所によって、建築当時の姿へと修復が行われ、現在は文学館への入口となっています。
写真:潮 佳澄
地図を見るレンガは創立当時のものと修復時のレンガが使用され、日が差して輝くステンドグラスは豪華なものではなく、清貧でノスタルジックな雰囲気を漂わせています。
残念ながら館内撮影はできませんが、館内に入って左側がサロンスペース、右側が展示室となっています。常設展示ゾーン・企画展示ゾーンに分かれている展示室では、神戸ゆかりの作家たちについて知ると同時に、各作品が書きあげられた当時の神戸を写真で見られるようになっています。
サロンスペースは、コーヒー・紅茶の販売もしていて展示を観た後に窓辺でのんびりと過ごしたくなるようなスペース。神戸で活躍する作家の本を中心に集めた"神戸の本棚"のコーナーもあるので、手にとって読書の時間を過ごすのもおすすめです。
写真:潮 佳澄
地図を見る文学館周辺はミュージアムロードと言われるエリア。向かいには横尾忠則美術館、海側に歩いて20分以内の場所にはBBプラザ美術館、兵庫県立美術館があります。そして、阪急高架周辺には個性的なショップが集まっていて、まち歩きも楽しめます。ギャラリーを併設したカフェ、リトルプレス・古本の販売をする本屋「古本屋ワールドエンズ・ガーデン」や工房もかねて家具職人が手がけた家具・インテリア雑貨を販売する「Magical Furniture」など、立ち寄ってみたくなるお店が多くあります。
阪急 王子公園駅からJR灘駅にかけては、繁華街や観光地というわけではなく、街に住む人とアートスポットが溶け込んでいるような雰囲気があるエリアです。繁華街である三ノ宮・元町エリアの散策とはひと味違う隠れた刺激があふれる街、灘で神戸ゆかりの作家たちの作品にふれてみてほしい。
※ページ下部[関連MEMO]に「神戸「古本屋ワールドエンズ・ガーデン」本との出会いを味わう」詳しい店舗紹介があります。
住所:兵庫県神戸市灘区王子町3-1-2
電話番号:078-882-2028
アクセス:JR神戸線 灘駅、阪急電車 王子公園駅から徒歩約10分
入場料:無料
開館時間:平日 10:00〜18:00 / 土・日・祝 9:00〜17:00
定休日:水(祝日の場合は翌日)
休業情報については公式サイトにてご確認ください。
2020年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事の関連MEMO
この記事を書いたナビゲーター
潮 佳澄
図書館の人ってインドアだと思っていませんか?本を片手に旅する司書(図書館員)です。たくさんの本を知ると物語の先にある土地、文化、歴史、ありとあらゆるものに触れたくなります。そして、旅先で得たものを活か…
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
旅行ガイドを検索!
(2025/2/19更新)
- 広告 -