写真:モノホシ ダン
地図を見る熊野速玉大社は、熊野那智大社、熊野本宮大社と並ぶ熊野三山のひとつです。また、日本全国に、約5000社ある熊野神社の総本社で、ユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の成資としても登録されています。
また、世界的に著名なガイドブック『ロンリープラネット』の「BEST in travel 2018」で、「紀伊半島」が世界の観光地ベスト5に選ばれました。
平安時代中期頃から始まった熊野三山へ向かうブーム、いわゆる熊野詣では、907年(延喜7年)の宇多法皇から1281年(弘安4年)の亀山上皇までの374年の間に、およそ141度の法皇・上皇による熊野御幸が行われました。写真は、巨大な注連縄がかかる神門です。
写真:モノホシ ダン
地図を見る神門をくぐると、朱塗りの社殿が厳かに立ち並んでいます。社殿には、熊野速玉大神(いざなぎのみこと)、熊野夫須大神(いざなみのみこと)の夫婦神を主神とする18柱が祀られています。
ご祭神は、はじめ現在の神倉神社のゴトビキ岩に降臨し、第12代景行天皇の時代に現在の社地に社殿を築いて神迎えしたとされます。そのため、神倉神社を元宮、速玉大社を新宮と称するようになり、それが「新宮」の名のおこりになったといわれています。
現在の社殿は、1953年(昭和28年)に再建されたもので、主祭神が夫婦神のため、縁結びにも御神徳があります。
写真:モノホシ ダン
地図を見るほかにぜひ見ておきたいのが、境内にある平家一門の平重盛(たいらのしげもり)のお手植えと伝えられる「梛(ナギ)の大樹」。1159年(平治元年)、熊野詣のため切目王子に差し掛かった平清盛・重盛親子のもとに、源義朝らによるクーデター(平治の乱)の知らせが届きました。
参詣を止め、直ちに京都に引き返すことを決めた重盛は、切目王子に戦勝を祈願して、熊野権現のご神木である梛の葉を鎧の左側の袖にさして京都に攻め入り、見事に乱を鎮圧、大勝利を収めました。
その後、重盛は自らの手で、ご神木を速玉大社の境内に植えました。推定樹齢1000年の梛の大樹は、国の天然記念物に指定されています。また、左右対称の葉の形から夫婦円満の御神徳があるとされています。
<熊野速玉大社の基本情報>
住所:和歌山県新宮市新宮1番地
電話番号: 0735-22-2533
拝観時間:8:00〜17:00
拝観料:境内自由(熊野神宝館 拝観は500円)
アクセス:JR紀勢線新宮駅から徒歩約15分 車利用の場合は、専用駐車場利用
写真:モノホシ ダン
地図を見る熊野速玉大社の摂社「神倉神社」は、新宮市街地の西方にそびえる神倉山(権現山)の中腹、標高100mほどのところにあります。熊野三山に祀られる熊野権現が、初めて地上に降臨したという伝承をもつ古社です。
ご神体は、「ゴトビキ岩」と呼ばれる巨岩で、高倉下命(たかくらじのみこと)と天照大神(あまてらすおおかみ)をご祭神としています。
ちなみに、高倉下命は、日本神話に登場する人物で、神武東征を援護し、大和への進軍を支援する役目を果たしました。『日本書紀』神武天皇紀に「熊野神邑ニ到リ 且天ノ磐盾ニ登ル」とあるのは、正にこの場所を指します。
写真:モノホシ ダン
地図を見る神倉神社へは、鳥居が立つ山麓から、源頼朝が寄進したと伝わる583段の石段を上ります。石段は、垂直に近いような傾斜で、よじ登らねばならないところもあり、最初の200段ほどが特にキツイです。また、下りはまるで崖から転げ落ちるような感覚で、転倒には要注意です。
高いところが苦手な方や、キツイ石段を回避したいという方は、鳥居をくぐってすぐ右手に「女坂」という緩い傾斜の坂がありますので、そちらを利用するようにしましょう。
写真:モノホシ ダン
地図を見る参道の途中にある「火神社」と「中ノ地蔵堂」までやってくると、石段の傾斜は緩やかになり、ゴトビキ岩まで、あとは比較的楽なコースとなります。なお、ここで「女坂」と合流します。
写真:モノホシ ダン
地図を見る神倉神社の山上の鳥居をくぐると大きな年代物の「手水鉢(ちょうずばち)」があります。新宮城主第2代水野重良が、下野国(現在の栃木県)那須城主大関家に嫁いだ姉の長寿と子孫繁栄を願って、1631年(寛永8年)に寄進したものです。
この手水鉢は、当地域で産出する黒雲母花崗斑岩の巨大な岩をくり抜いて仕上げられています。
写真:モノホシ ダン
地図を見る「ゴトビキ岩」は、神の磐座(いわくら)と崇拝されてきた巨岩で、古代から霊域として、または修験者の行場として栄えてきました。ゴトビキ岩の横には、高倉下命と天照大神が祀られている小さな社殿があります。
なお、岩にかけられている注連縄は、毎年2月6日に行われる「お燈まつり」の前に掛け替えられます。
お燈まつりとは、白装束をまとい、松明を手にした2000人ほどの男たちが、石段を一気に駆け下りる勇壮な火祭りです。燃え盛る炎が、まるで一筋の滝のようになって夜空を焦がす情景は、新宮節に「山は火の滝、下り龍」と歌われています。
写真:モノホシ ダン
地図を見るちなみに「ゴトビキ」とは、熊野地方の方言で「ひきがえる」の意です。午後になると、岩の樹幹から射す日光によって、神秘的な写真を撮ることもできます。
写真:モノホシ ダン
地図を見るまた、ゴトビキ岩は、新宮市随一のビュースポットです。市街地や熊野灘の雄大な眺めを心ゆくまで楽しんでください。
住所:和歌山県新宮市神倉1-13-8
電話番号:0735-22-2533(熊野速玉大社)
アクセス:JR紀勢線新宮駅から徒歩約15分 熊野速玉大社から徒歩約10分 車利用の場合は、専用駐車場利用
2020年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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この記事を書いたナビゲーター
モノホシ ダン
旅行業に30年以上携わってまいりまして、おもに団体旅行の手配・企画・添乗業務などをおこなってきました。お客様には、次回もご指名いただくために、新規の観光地や、穴場の名所・旧跡めぐりの開拓のため現地への…
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