「グロッターリエ」は、”イタリアのかかと”と呼ばれるプーリア州のターラント県にある人口約3万2千人の町です。
粘土が豊富に採れるため、紀元前から町の重要な産業として陶芸が発達。15世紀に最盛期を迎え、遠くトルコまで商品が輸出されました。この町の陶器は州内で唯一「D.O.C」(原産地認定)を獲得し、EU(欧州連合)から保護されています。
町の名前は洞窟(伊語グロッタ)に由来し、現在も数多くの洞窟が残ります。この街の洞窟に人が住み始めたのが10世紀、その後、14世紀にお城、15世紀に城壁が築かれました。
小高い丘の上にあるグロッターリエの町。頂きにはお城があり、そのお城に続く坂道に沿って陶器工房が軒を連ねます。このエリアが「陶器地区」と呼ばれる場所です。
町には約80軒の陶器工房が存在するといわれ、そのほとんどがこの陶器地区に集中しています。洞窟を窯や店舗として利用する店主が多く、この土地ならではの店構えです。
グロッターリエの職人は、従来、食器やワインの貯蔵瓶など生活必需品を作っていました。しかし、近年では芸術性の高いインテリアにも力を入れ、現在はヨーロッパで注目される陶芸家を輩出するまでに。
この町の陶器はカラフルで派手というより、素朴で落ち着いたタイプ。だからこそ、気軽に日常生活に取り込むことができます。
工房巡りでは自分のお気に入りを見つけるために、つい時間を忘れてはしごしちゃいます。よって、旅のスケジュールとお財布の管理はしっかりと!
陶器地区を歩くと、白い町並みに映える陶器の案内表示や表札、鉢植えなどが目に飛び込んできます。南欧の陶器の町に来た!と実感する瞬間です。
この地区でおすすめの1軒が、坂道のちょうど真ん中に店を構える「ファザーノ陶器店」。イタリア国内をはじめ、ヨーロッパ各国のTVや雑誌に町の顔として登場する巨匠ニコラ・ファザーノ氏のお店です。
洞窟を利用した店内には、ニコラ氏の作品がぎっしりと並びます。大量に購入する場合は日本への発送代行も可能。
注目すべきは、単色の不揃いな水玉柄。「マルモリザート」と呼ばれるインクを飛び散らしたような柄で、この町独特の技法です。オリーブの枝に塗料を付けて振ったことが起源といわれてます。伝統的な色は、青、緑、黄色の3色です。
<ファザーノ陶器店の基本情報>
住所:Via Francesco Crispi 6,74023 Grottaglie
電話番号:+39-099-566-1037
営業時間:9〜13時/16〜20時
定休日:日曜(夏季は営業)
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る工房には窯を併設するところも多く、希望すれば見学も可能。絵付けの作業を見たいなら、「ステファノ・モンテフォルテ陶器店」へ。かなりの確率でご主人の熟練した技を見学できます。
ステファノ氏の得意な柄は、レモンやオリーブなどのフルーツ柄や花柄。緻密に計算され描かれた絵皿は大小サイズが揃い、日本へのお土産にもぴったりです。
<ステファノ・モンテフォルテ陶器店の基本情報>
住所:Via Leone XIII 5,74023 Grottaglie
電話番号:+39-099-566-1849
営業時間:9〜13時/16〜20時30分
定休日:日曜(夏季は営業)
プーリアを代表する雄鶏が描かれた食器。昔から「雄鶏の泣声で邪気を払う」と信じられているため、地元で大人気。州内各地の郷土料理店で使われるので、旅行中に目にする機会も多いはず。
工房ごとに雄鶏の顔や体つきが異なるので、あなたのお気に入りを見つけてください。塩などを入れる小皿なら2ユーロ程度です。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る次は、「プーモ」(複数:プーミ)と呼ばれる、つぼみの形をした飾りです。
豊穣や子孫繁栄のシンボルとして好まれる、グロッターリエ発祥のラッキーアイテム。2つで1組としてバルコニーに飾るのが一般的です。町の散策時には、家々のバルコニーをぜひチェックしてください。お土産には、手のひらに乗るミニサイズやマグネットタイプもあります。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る最後は、ひげを蓄えた女性像「ドンナ・バッフータ」です。
中世の時代、この地には結婚初夜に花嫁を領主に捧げる習慣がありました。ある時、その習慣に不満をもつ花婿が身代わりになったのですが、変装する際にひげを剃り忘れた。という逸話からできた人形です。
この人形(写真)の色は「グロッターリエの白」と呼ばれ、町が誇る伝統の色。特に貴族など上流階級の人が好んだといわれてます。
陶器地区の上にそびえる、グロッターリエ城。14世紀の終わりに、領主であったターラントの大司教ジャコモ・ダートリにより建造されました。彼は聖母教会や城壁も造った人物です。
目を惹く高い塔は高さ28m、内部は4階建て。現在、お城の一部は「陶器博物館」になっています。工房巡りの合間に、この町ならではのスポットに立ち寄りましょう。
「陶器博物館」には、紀元前8世紀から現在までの約400点の陶器が、5つのテーマに分かれて展示されています。地元の人の生活に陶器が欠かせなかった歴史を見て、この地における陶器の偉大さをよく知ることができます。
毎年12月には、プレゼーペの特別展が開催されます。プレゼーペは、キリストが誕生した瞬間を再現したクリスマスの風物詩。陶芸作家の個性が光る迫力ある作品が盛りだくさんです。
イタリア語が分かる方には、博物館主催のガイドツアー(無料)をおすすめします。事前申込み必須です。詳細はページ下の「関連MEMO」で確認を。
<陶器博物館の基本情報>
住所:Largo Immacolata,74023 Grottaglie
電話番号:+39-099-562-3866
営業時間:10〜18時
定休日:なし
料金:4ユーロ/名
工房巡りの前後には、美しいマヨリカ焼きの屋根が輝く、町のシンボル「聖母教会」に立ち寄りましょう。旧市街のレジーナ・マルゲリータ広場に面して建つ、守護聖人”聖チーロ”を奉る教会です。
1372年に大司教ジャコモ・ダートリにより建造。建築家ドメニコ・ディ・マルティーナによって、後期ロマネスク様式で建てられました。
内部は荘厳な造りで、色大理石がふんだんに使われた「聖チーロの礼拝堂」は一見の価値あり。さらに、同礼拝堂には画家デ・マッテイス作の「ロザリオの聖母」が飾られ、こちらも必見です。
<大聖堂の基本情報>
住所:Piazza Regina Margherita,74023 Grottaglie
電話番号:+39-099-566-1047
営業時間:8時30分〜13時/17時30分〜21時
定休日:なし
グロッターリエへは、国鉄を利用するのが便利です。
・バーリ中央駅からは、ターラントまたはブリンディジ乗換えで到着。
(所要時間1時間45分〜2時間30分、料金は10.10ユーロ〜)
・ターラント駅からは、乗換えなしの1駅で到着。
(所要時間15分、料金は1.4ユーロ)
その他、オストゥーニからバスでも行けます。
グロッターリエ駅から陶器地区までは徒歩20分です。
2020年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/4/19更新)
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