オーストリアのと国民食ともいわれるもシュニッツェル。特にヴィーナーシュニッツェルはウィーンの名物料理として旅人にも愛されています。お皿からはみ出すほどの大きなシュニッツェルは、まるでワラジのよう。
筆者が初めてウィーンでヴィーナーシュニッツェルを食べたとき、巨大なシュニッツェルに思わずのけぞりましたが、肉も衣も薄いので胃にももたれることもなく完食!以来、大好きなメニューになりました。
シュニッツェルは北イタリアが起源と言われ、オーストリアのみならずドイツやスイス、オランダ、トルコやイスラエルなどでもレストランや家庭の定番料理。仔牛肉を使った定番のヴィーナーシュニッツェル、豚肉を使ったシュニッツェル・ヴィーナーアルト、シュヴァインシュニッツェル、七面鳥や鶏肉を使ったシュニツェル、チーズやハムを挟んだもの、ソースをかけていただくものなど、実にバリエーション豊か。
また、シュニッツェルは肉をたたいて薄くのばすため安い肉でも柔らかく仕上がり、さらに火もすぐに通るため、あっという間に調理できるという嬉しいお料理なんです。
それでは最初に、基本のヴィーナーシュニッツェルの作り方からご紹介しましょう。
作り方はとっても簡単。
1.仔牛肉(牛肉でもOK)を叩いて薄くのばし、筋には包丁で軽く切れ目を入れる。
2.塩コショウをふって小麦粉をまぶし余分な粉を落とす。
3.溶き卵にくぐらせパン粉(目が細かい方が美味しい)をつけ、肉が浸るくらいの油で焼く。
4.油をきり皿に盛り、レモン汁をたっぷりかけて食べる。
本場ではラードやバターを使って焼くことが多いようですが、少々重いので、筆者はオリーブオイルにバターを1:1で混ぜて焼いています。こうすると風味もよくヘルシー!いただくときはぜひ、ウィンナーワルツを聞きながら!
こちらの写真はエッツ谷の見事な壁絵の歴史ある旅籠「Stern」。シュテルンは16世紀に建てられた歴史ある旅籠。美しい壁絵、何百年も大切に使われている調度品など、お宿まるごと博物館のよう。お部屋は質素ですがチロルの雰囲気があふれていて、超おすすめのお宿です。
筆者がシュニッツェルにジャムという、驚くべき取り合わせに出逢ったのはこの宿。ジャムの甘さと酸味が肉のうまみを引き立てとっても美味しいんですよ。メニューに「チロル風シュニッツェル」とあったので、ジャムをかけて食べるのはチロルのみかと思ったら、ごくごく一般的な食べ方のようです。
こちらの写真はチロル地方アッへンゼーのホテル「トラベル チャーム フュルステンハウス」のシュニッツェル。大きなシュニッツェルが2枚も!黒すぐりのジャムとトマトソースが付いていました。
よく付け合わされるジャムは、カシス、コケモモ、ラズベリー、黒すぐりなど。これらのジャムが手に入らない時はブルーベリージャムでもOK。ただし酸味と香りが少々物足らないので、ジャムにレモン汁とブランデー少々を混ぜると美味しいです。
シュニッツェルはまた、ソースをかけても楽しめます。お店によってさまざまなバリエーションがありますが、代表的な2つのソースは「イエーガー(狩人風)ソース」と「ツィゴイナー(ジプシー風)ソース」。こちらのソースも簡単に作れますよ。以下はイエーガーソースの作り方です。
作り方
1.みじん切りにした玉ねぎ(中1個)と薄切りにしたマッシュルーム5個ほどを炒める。
2.ふるいにかけた小麦粉大さじ3を炒めた玉ねぎとマッシュルームに混ぜる。
3.ブイヨン120ccを入れ生クリーム大さじ3を加える(牛乳150ccに粉のスープの素を味を見ながら加えてもOK)。
4.味を見ながら塩コショウでお好みの味に調整。
ピリ辛が好きな方にはツィゴイナーソースがおすすめ。情熱的な赤と刺激的なスパイスが目も味覚も楽しませてくれます。
作り方
1.バターまたはオリーブオイルでみじん切りにしたニンニクを炒め、香りを出す。
2.玉ねぎ・マッシュルームを薄切りに、パプリカを角切りにして、1に加えて炒める。この時に白ワインを振りかけると香りとコクが出ます。
3.ブイヨン200ccにトマトペースト少々(またはブイヨン100ccにトマト缶100cc)、砂糖と塩少々、パプリカパウダーとカイエンペッパー少々、ローリエの葉を1枚入れて煮込みます。
スイスのホテルやレストランでよく目にするのが生ハム(ハム)とチーズを挟んだリッチなシュニッツェル。コルドン・ブルー(Cordon bleu)とも言います。
作り方
1.肉(牛・豚など)を2枚薄く叩き、セージの葉(セージパウダーでもOK)をそれぞれの肉の片面に2〜3枚置き、その上に生ハム(またはハム)を置く。
2.さらに1の上にナチュラルチーズを置く(エメンタールチーズが美味しいけれど、とろけるチーズでもOK)。
3.2の上に1をかぶせ肉の周りを肉たたきで再び叩き中身が出ないように閉じる。
4.小麦粉をまぶし、溶き卵にくぐらせ、パン粉をつけて焼く。
生ハムとチーズに塩気があるので、肉にふる塩は控えめに。こちらのシュニッツェルは、食べる前に二つに切って中を見せて盛り付けると美味しそうです。
筆者がスイス・エメンタールのホテルで出会ったシュニッツェルはハム、チーズのみならずマッシュポテトも挟まれていたんです! これはもう絶対に家でも作りたくて、作り方を脳内イメージしながら食べました(笑)。
作り方
1.じゃがいもを茹でる、または蒸す。
2.じゃがいもをつぶして裏ごしし、バターと牛乳(または生クリーム)を少々を混ぜ、弱火にかけながら練り上げる。
3.肉の上にマッシュポテトとチーズ(エメンタール・アッペンツェル、またはとろけるチーズ)をのせ、肉たたきで回りを閉じ、粉をふり、とき卵にぐぐらせ、パン粉をつけて焼く。
オーストリアのシュニッツェルは北イタリアからもたらされたものと言われています。ミラノの有名なカツレツ「ミラノ風カツレツ(cotoletta alla milanese)」は、そんなシュニッツェルのご先祖と言われているカツ。
作り方はヴィーナーシュニッツェルとほとんど同じですが、衣に削ったパルミジャーノレッジャーノを混ぜることもあります。削ったパルミジャーノは、小麦粉をまぶした肉をくぐらす卵に入れても、パン粉2に対し1の割合で混ぜてもOK!
焼きあがったシュニッツェルは、そのまま食べても美味しいですが、ルッコラや炒めたトマトを乗せても美味しい!パルミジャーノの香りが肉のコクを引き立てます。イタリア旅行ででミラノ風カツレツを食べている映像をイメージしながら食べてくださいね。
いかがでしたか? 今回は塊肉を薄く延ばすレシピでご紹介しましたが、肉たたきがないときには、薄切り肉を数枚重ね麺棒でコロコロして伸ばしても大丈夫。いつか訪れたい、かの地を心に巡らせながら、レストランやホテルでのランチやディナーをシュミレーションしながら、ぜひシュニッツェル作りにチャレンジしてみてくださいね。
この記事を書いたナビゲーター
フルリーナ YOC
『私が絵を描く本来の意義は、道端にも小さな奇跡が発見できると人に伝えることにある』 大好きなスイスの画家、アロイス・カリジェの言葉です。私も、この言葉のように、旅先や日常の中で発見した小さな奇跡や感動…
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