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地図を見る大覚寺(だいかくじ)は真言宗・大覚寺派の大本山。多くの観光スポットが集まる嵐山・嵯峨野エリアの端っこにあります。そんな大覚寺は旧嵯峨御所と呼ばれ、京都に多い皇室ゆかりの門跡寺院の一つ。
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地図を見るもともと嵯峨天皇の離宮・嵯峨院であった場所が後に寺になったのが大覚寺であり、明治初期まで代々皇族関係の方が住職を務めていたという格式高い寺院なのです。大覚寺の境内は高貴な雰囲気が漂っていて、まるで京都御所のような錯覚を覚えます。
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地図を見るそんな大覚寺は「いけばな嵯峨御流」の総支所でもあります。開祖はもちろん嵯峨天皇。嵯峨天皇が大覚寺境内の大沢池で舟遊びをしていた際に池にある菊ヶ島で咲いていた菊を摘み、いけたのが始まりとされています。
また当時兄である平城天皇に庭の花を瓶に挿し、献上したという記録も。嵯峨天皇は華道の普及に努め、その結果全国に嵯峨御流が広がったとされています。1200年後の今日でもその意志はこの地に根付き、拝観入口ではいつもいけばなが観光客を出迎えています。
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地図を見る大覚寺では毎年11月になると「嵯峨菊展」が開催されます。嵯峨菊は江戸菊や肥後菊と並ぶ日本を代表する古典菊の一つ。最も古い系統をひく古典菊として日本三大名菊ともされています。この嵯峨菊は境内にある大沢池の菊が島に咲いていた菊がルーツとされ、境内で大切に植えられてきたもの。いけばな嵯峨御流とも密接な関係があり、その育て方は実に様々な流儀があります。
まずは特徴的なその草丈の高さ。約2mの高さになるように仕立て上げられます。実はこの高さ、御殿の上から見てちょうど見やすい位置に花が来る高さ!嵯峨天皇も御殿の上から嵯峨菊を眺めたのでしょうか?
そして花の数は下から七輪、五輪、三輪の「七五三」に咲き並ぶようにされ、葉は下部を黄色、中程は緑、先端を淡緑とし四季を表しています。
花弁は平らで54弁程度、長さ約10cmの茶筅状が理想とされています。嵯峨天皇がその姿と香りを好まれたという菊。それを永年にわたって育成してきた格調高い菊こそが門外不出の「嵯峨菊」なのです。その姿は嵯峨天皇の離宮を起源とする大覚寺の風格ある佇まいを可憐に、優雅に彩るのです。
もちろんそんなディテールを知らなくても「嵯峨菊」の洗練された気品溢れる姿を見れば何かを感じることでしょう。
大覚寺嵯峨菊会の会員たちの手によって育まれた嵯峨菊は約800鉢。期間中は色とりどりの嵯峨菊が境内を彩ります。花の色は単色系が主で混植は避けられているそうです。
提供元:Fang ChunKai/PIXTA
https://pixta.jp/嵯峨菊は境内のいたるところに配置され、フォトジェニックなスポットが多数点在しています。広い境内をじっくりとめぐり、門外不出とされてきた王朝の菊「嵯峨菊」を心行くまで堪能してください。きっと素通りできない光景が待っているはずです。
提供元:sharman1121/PIXTA
https://pixta.jp/写真:bow
地図を見る2018年は大覚寺にとって60年に1度という大きな節目の「嵯峨天皇宸翰勅封般若心経1200年・戊戌開封法会」の年にあたります。漢字が難しいので平仮名で表記しますと「さがてんのうしんかんちょくふうはんにゃしんぎょう・ぼじゅつかいふうほうえ」となります。宸翰とは天皇直筆の意味。
1200年前は大覚寺の始祖である嵯峨天皇が時の天皇でした。しかし春に大干ばつが起こり全国に疫病が蔓延、嵯峨天皇は「朕の不徳にして多衆に何の罪かあらん(災害が起こるのは自分の不徳であり、民衆には何の罪もない)」と御所を離れ、離宮で質素倹約に勤めたそう。さらに弘法大師の勧めにより、御写経をされたところ疫病はたちまちに治まったのだとか。
提供元:京都フリー写真素材集
http://photo53.com/その嵯峨天皇宸翰般若心経は霊経とされ、勅封として厳重に秘蔵されることに。なお書写された弘仁9年が戊戌(ぼじゅつ・つちのえいぬ)の年であったため、干支が一巡して戊戌となる60年ごとに勅使により開封され、お披露目されてきました。今年は20回目の戊戌という非常におめでたい年にあたり、各方面から注目を集めています。60年に1度というなかなかない機会です、そのありがたい直筆の般若心経を目にしたいものですね。
既に11月の混雑は予想されていますので、詳細情報を公式ホームページでご覧いただいた上で訪ねてみてください。
住所:京都府京都市右京区嵯峨大沢町4
電話番号:075-871-0071
拝観料:通常500円 ※2018年10月〜11月は戊戌開封法会の期間にあたり拝観料1000円
アクセス:JR嵯峨野山陰線「嵯峨嵐山」下車徒歩約20分、市バス・京都バス「大覚寺」下車すぐ
2018年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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この記事を書いたナビゲーター
bow
京都生まれ、京都育ちの生粋の京都人です。仕事で全国を飛び回り、京都の良さを再認識したため、京都の観光に携わる仕事をしています。全国を旅した経験と、観光業界に生きる人間としての視点、更には京都人ならでは…
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