大阪府最大の“ため池”を見守る!岸和田市「久米田寺」

大阪府最大の“ため池”を見守る!岸和田市「久米田寺」

更新日:2020/05/24 15:40

モノホシ ダンのプロフィール写真 モノホシ ダン 総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
大阪府岸和田市にある「久米田池」は、聖武天皇の時代に灌漑用に造られた、府内最大の面積を持つ“ため池”です。そして、池を管理する施設として、隆池院という寺院が建てられました。これが現在の高野山真言宗の古刹・久米田寺です。江戸時代に再建された金堂や開山堂、法隆寺夢殿を模した靖霊殿などの堂塔伽藍が立ち並ぶ久米田寺で、1300年の歴史体験の旅を楽しんでみませんか?

大阪府内最大の面積を持つ「久米田池」とは

大阪府内最大の面積を持つ「久米田池」とは

写真:モノホシ ダン

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大阪府内最大の面積を持つ久米田池は、干ばつに苦しむ農民のために、聖武天皇が僧・行基に池の開削を命じ、14年の歳月をかけて738年(天平10年)に完成させました。広さは甲子園球場の約12倍にあたる45.6ha、周囲2.6km、総水量157万トンのため池で、大阪府「史跡・名勝」に指定されています。ほかに農林水産省「ため池百選」選定され、「世界かんがい施設遺産」にも登録されています。

また灌漑用だけでなく、泉州のため池で多く養殖されているカワチブナ(ヘラブナ)の養殖も行われています。さらに年間100種類以上の野鳥が訪れるため、「野鳥の国際空港」ともいわれ、バードウォッチングにも最適です。とくに近年では、兵庫県豊岡市などで放鳥されている野生のコウノトリがたびたび飛来し大きな話題となっています。

写真は、久米田寺門前から見た久米田池。遮るもののない広大な池越しに和泉葛城山系の大パノラマが展開します。池の周囲には遊歩道も整備されていますのでウォーキングを楽しむこともできます。

大阪府内最大の面積を持つ「久米田池」とは

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久米田寺は、行基が開削指導した久米田池の維持管理のため、738年(天平10年)に同じく行基によって建立された隆池院(りゅうちいん)に始まります。

戦国時代には、戦乱のため堂塔の多くが焼失しましたが、江戸時代中期に再興され、兵火を免れた『楠家文書』など多くの寺宝が、国の重要文化財に指定されています。

大阪府内最大の面積を持つ「久米田池」とは

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久米田池を望む位置に立つ「大門」は、1706年(宝永3年)の再建で、入母屋造の重層六脚門。上層部の花頭窓が印象的です。典雅な大門の佇まいは、1300年の歴史を感じさせます。

なお、掲げられている扁額の「龍臥山」の文字は、久米田寺の山号で、江戸時代中期から後期にかけての公卿・徳大寺実祖(とくだいじさねみ)の筆と伝わります。

岸和田十月祭礼で13町の“だんじり”が集合する「開山堂」

岸和田十月祭礼で13町の“だんじり”が集合する「開山堂」

写真:モノホシ ダン

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大門をくぐると、本堂にあたる「金堂」があります。江戸中期の1770年(明和7年)に再建されたもので、ご本尊の釈迦如来をお祀りしています。

岸和田十月祭礼で13町の“だんじり”が集合する「開山堂」

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金堂正面に掲げられた「隆池院」と書かれた扁額は、江戸時代の三大改革のひとつ“寛政の改革”で知られる老中・松平定信の揮毫と伝わります。

岸和田十月祭礼で13町の“だんじり”が集合する「開山堂」

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本堂の奥には、久米田寺を開基した行基菩薩の像を祀る「開山堂(行基堂)」があります。岸和田十月祭礼では、久米田池の恩恵にあずかる八木地区と山直地区の田治米町と今木町の「だんじり」13台が境内に乗り入れ、行基堂前に参集します。

これは、久米田池を開削した行基への感謝の念を込めた「行基参り」と呼ばれていて、境内を所狭しと埋め尽くすだんじりは圧巻のひとことです。

久米田寺の各種の御朱印がいただける「大師堂」

久米田寺の各種の御朱印がいただける「大師堂」

写真:モノホシ ダン

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金堂の右手に立つ「大師堂」は、諸堂の期間限定の公開日を除き、唯一開扉されているお堂で、弘法大師を中心に不動明王、毘沙門天を祀っています。

久米田寺の御朱印「本尊釈迦如来」と和泉西国霊場第23番札所の御朱印「千手観世音」は、こちらでいただくことができます。

久米田寺の各種の御朱印がいただける「大師堂」

写真:モノホシ ダン

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行基が災厄を除くため、40歳の時に自ら刻んだ千手観世音を祀っているのが「観音堂」です。1803年(享和3年)の再建で、扁額の文字は、大門と同じく徳大寺実祖の筆と伝わります。

ほかに境内西側には、「行基墓」も。奈良の喜光寺(菅原寺)で入滅した行基の遺骨が分骨され、この墓地に埋葬されたと伝わっています。

朱色が鮮やかな「多宝塔」と法隆寺の夢殿を模した「靖霊殿」

朱色が鮮やかな「多宝塔」と法隆寺の夢殿を模した「靖霊殿」

写真:モノホシ ダン

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金堂の東側に位置する朱色が鮮やかな「多宝塔」は、2003年(平成15年)に再建されたものです。非常に均整のとれた美しい多宝塔です。内部には、釈迦の遺骨である仏舎利をお祀りしています。

朱色が鮮やかな「多宝塔」と法隆寺の夢殿を模した「靖霊殿」

写真:モノホシ ダン

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さらに、多宝塔の北側には、長屋堂の中に「四国八十八箇所」の本尊の石仏が祀られていて、八十八ヶ所霊場巡りをすることができます。

朱色が鮮やかな「多宝塔」と法隆寺の夢殿を模した「靖霊殿」

写真:モノホシ ダン

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境内の伽藍で、いちばん西側にある「靖霊殿」は、法隆寺の国宝の夢殿を模して、1957年(昭和32年)に建立されました。

屋内には、和泉岸和田藩の末裔で、文部大臣を務めた岡部長景氏の援助により唐僧・玄奘三蔵法師の遺骨を祀り、さらに日清・日露戦争から太平洋戦争にいたる岸和田市出身戦没者の霊を合祀しています。

寺域内の4つの塔頭もお参りしたい

寺域内の4つの塔頭もお参りしたい

写真:モノホシ ダン

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ほかに、久米田寺の寺域内には、写真の「華厳院」を含め4つの塔頭があります。それぞれの塔頭は、厳かな佇まいで、訪れる人々に心安らぐひと時を感じさせてくれます。久米田寺にお参りの際には、あわせて訪れてみてはいかがでしょうか。

久米田寺の基本情報

住所:大阪府岸和田市池尻町934
電話番号:072-445-0392
アクセス:JR阪和線「久米田駅」より徒歩約10分 
車利用の場合は専用駐車場利用

2020年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2020/05/11 訪問

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