写真:菊池 模糊
地図を見る二上山は、大阪府と奈良県の境にある双耳峰で、大阪みどりの百選に選定されており関西百名山のひとつです。今は「にじょうさん」と読みますが、かつては大和言葉で「ふたかみやま」と呼ばれました。
写真は大阪の富田林市から見た二上山。左側の雄岳(517m)と右側の雌岳(474m)が美しく並んでいます。
この山は、史跡や花々を見ながら半日過ごす軽登山=ハイキングコースとして最適なので、自信を持っておすすめします。
なお、奈良側からのコースは、下の関連MEMOより“史跡がいっぱいの奈良側から登る!軽登山のメッカ「二上山」”という記事にアクセスしてお読みください。
写真:菊池 模糊
地図を見るできるだけ車で訪問しましょう。大阪から行く場合は、太子町山田にある万葉の森駐車場に車を置いて出発します。
駐車場から山手へ石畳の道を少し歩くと、写真のように鹿谷寺跡と示された分岐があります。そこを左へ曲がり、ちょっと急な坂道を登りましょう。いっぽう体力に自信の無い方や子供さんは、往復コースになってしまいますが楽な石畳の道をまっすぐ登ってください。
写真:菊池 模糊
地図を見る鹿谷寺跡への山道は急登で、写真のような岩場があります。なかなかスリルのある面白いコース。とはいえ事故のないよう、できるだけ慎重に登ってください。
写真:菊池 模糊
地図を見る鹿谷寺(ろくたんじ)跡は、奈良時代に造られた大陸風の石窟寺院跡で、中国の岩窟の雰囲気があります。石窟に彫りこまれた線刻仏画が残されており、十三重の石塔もあります。日本の石窟寺院としては最古級とされており、国史跡に指定されています。このあたりは良い石材の山地で、大和時代より利用されていたようです。
写真:菊池 模糊
地図を見る鹿谷寺跡をあとにして、岩場や尾根道を登り切れば、一部舗装された一般登山道に合流します。そこを道なりに登ると雄岳と雌岳の鞍部にあたる「馬の背」という峠にいたります。トイレもあり休憩に最適。峠手前には展望台があり、写真のように西側の大阪富田林方面が見えます。一枚目の下から見上げた写真を撮影した場所を、逆に上から眺めているわけで、なかなか良い景色です。
写真:菊池 模糊
地図を見る登山道には花も豊富なので自然観察しながら歩みを進めましょう。写真の白い花がマルバウツギ、薄紫の花がモチツツジで、5月頃に咲き誇ります。また春はサクラが美しく、梅雨時にはアジサイが綺麗です。
写真:菊池 模糊
地図を見る馬の背から北側の雄岳に向かって登ります。最後の急登ですので頑張りましょう。頂上は視界が開けませんが、写真のように雄岳山頂の木の看板があります。そこから先に少し歩を進めると葛城坐二上神社(かつらぎにいますふたかみじんじゃ)がありますのでお参りしてください。
写真:菊池 模糊
地図を見る葛城坐二上神社から少し先を下ると大津皇子二上山墓があります。頂上の肩の広場に造られた小さな古墳です。大津皇子は天武天皇の皇子で優秀な御子でしたが、密告により謀反の疑いをかけられ24歳で自害しました。
うつそみの人なる我や明日よりは 二上山を弟(いろせ)と我が見む
これは、大津皇子の遺体が二上山に葬られる際、姉の大来皇女(おおくのひめみこ)が詠んだ哀しみの歌で万葉集(第2の165)に載せられています。多くの人の涙をさそったようで、我々も墓に参りながら、悲運の皇子の短き人生に思いを馳せてみましょう。
写真:菊池 模糊
地図を見る雄岳山頂から馬の背へ戻り、今度は南側の雌岳へ登ります。5分ほど頑張れば雌岳山頂に到着です。写真の山頂標識や万葉集の歌碑がありますので、忘れずに写真を撮ってください。
写真:菊池 模糊
地図を見る雌岳山頂には大きな日時計があります。ここは、西から淡路島の「伊勢の森」、堺市の「大鳥神社」、ここ「二上山」、卑弥呼の墓とも言われる「箸墓」、神の山「三輪山」、伊勢の「斎宮跡」そして伊勢湾上の「神島」にまで至る一直線上の「太陽の道」(北緯34度32分の線上)に位置します。かつてNHK総合テレビの「知られざる古代」でこの聖なるラインが紹介され大きな反響を呼び、その記念モニュメントとして設置された日時計なのです。
写真:菊池 模糊
地図を見る雌岳山頂は広く景色も良いのでお弁当を食べるのに最適。特に東側の大和三山を見下ろす奈良盆地の景色が見事なので、ベンチに座って休憩しましょう。そして古代日本の太陽崇拝および山岳信仰の世界を想像してロマンに浸ってください。
写真:菊池 模糊
地図を見る雌岳頂上から南方面には、岩橋山から大和葛城山がそびえ、その後方に金剛山がちらりと顔を出しています。5月には写真のように手前に紫色の桐の花が咲いて趣を添えてくれます。この景観は、ここ二上山から南の槇尾山に至るダイヤモンドトレイルの核心部分です。通称ダイトレと呼ばれ金剛葛城山系の稜線を縦走する健脚向きの登山ルートになりますが、機会があればチャレンジしてみてください。
写真:菊池 模糊
地図を見る雌岳頂上から南側にジグザグの登山道を降り、奈良側から来る登山道と合流します。岩屋への標識に従って大阪側に下ります。
岩屋は、中将姫がこもって當麻寺の本尊『當痲曼陀羅』(国宝)を織ったとされる伝説の場所です。奈良時代に造られた石窟寺院で中央には凝灰岩製の石塔があります。鹿谷寺と同じように謎が多く、詳しくは解明されていません。
このあたりは岩屋道と言われ、聖徳太子が引いた當麻寺への近道で、竹内街道の間道として利用され、松尾芭蕉や貝原益軒も歩いたとされます。
写真:菊池 模糊
地図を見る岩屋からさらに下ると古代池に至り屋根つきの休憩所があります。ここでは月一回、万葉の森朝粥会が催され、二上山に早朝登山された会員の憩いの場となっています。書家の榊莫山の碑もあります。
池の周りにはキショウブとアヤメの花が咲き、カエルの声が聞こえ非常に自然が豊かです。
古代池の自然を満喫してから少し下れば万葉の森駐車所へ到着です。
アクセス:万葉の森駐車場から徒歩で約1時間で山頂へ
登山口住所:大阪府南河内郡太子町山田2021
万葉の森駐車場へは、車で竹内街道(国道166号線)の大阪府と奈良県の県境付近。道の駅「近つ飛鳥の里 太子」から東へ2分、釣り池の東側すぐ、「万葉の森」というログハウス風レストランあり。
電車バス利用の場合は、近鉄南大阪線「上の太子駅」より金剛バス「六枚橋」バス停下車 徒歩40分で万葉の森駐車場へ。ただし途中の車道は交通量多く徒歩はおすすめしません。
2020年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/10/10更新)
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