マントヴァは、北伊ロンバルディア州の南東に位置する世界遺産の街。三方を12世紀に造られた人造湖に囲まれた水の街でもあります。ヴェルディ作曲のオペラ「リゴレット」の舞台としても有名です。
14〜17世紀にこの地を支配したゴンザーガ家は、芸術と文化を保護したことで有名。特に、フェラーラからコンザーガ家に嫁いだイザベッラ・デステは、女パトロンとして多くの芸術家を保護しました。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る旅のスタート地点である「マントヴァ駅」から旧市街へは、歩いて10分ちょっと。途中、水の街らしく水路が見えます。
秋から冬にかけては、霧の中で哀愁ただよう街並みが撮影できますよ。
マントヴァの見どころのひとつが、「ドゥカーレ宮殿」。1308年にボナコルシ家の住居となり、その後、ゴンザーガ家が街を支配してからは彼らの住居になった宮殿です。
500以上の部屋、3つの広場、15の公園と庭、城と教会を含む宮殿の広さは、なんと!35,000平方メートル。ヨーロッパで6番目に広い宮殿です。見学時間は最低でも1時間、じっくり見たい方は2時間以上必要です。
宮殿内には、マントヴァの川を模した「川の間」やラファエロがデザインした絨毯が飾られた「絨毯の間」など、当時の栄華を偲ばせる豪華な居室が続きます。
「公爵の間」に飾られたテントレットの絵、オランダ人画家ルーベンスが描いたゴンザーガ家の肖像画など、有名な芸術作品が数多く収められています。
中でも、宮殿の中心に建つサン・ジョルジョ城の「結婚の間」は必見。15世紀後半に描かれたアンドレア・マンテーニャの壁画が、ここで神々しく存在感を放っています。
ゴンザーガ家の21名を描いた「家族の肖像」が有名ですが、天使が上から下界を覗き込む天井の円窓(だまし絵)はさらに傑作といわれ、ユーモラスをも感じさせる作品です。混雑する夏の観光シーズンに訪れる場合は、必ず事前予約を。
<ドゥカーレ宮殿の基本情報>
住所:Piazza Sordello 40,46100,Mantova
電話番号:+39-0376-352100
街で一番大きなソルデッロ広場の向かいに、街のシンボル「ドゥオモ」があります。別名、サンピエトロ大聖堂とも呼ばれます。
初期キリスト教の教会として建造。その後、15世紀にフランチェスコ・ゴンザーガにより拡張工事が行なわれ、1545年にジュリオ・ロマーノにより内部が修復されました。
時代を重ねるごとに当時の建築様式が加わり、鐘楼はロマネスク、正面ファザードは後期バロック、右側面の壁はゴシックと3種類の様式が融合されています。
<ドゥオモの基本情報>
住所:Piazza Canonica S.Pietro 11,46100,Mantova
電話番号:+39-0376-320220
そして、マンテーニャ広場に面して建つのは、街の守護聖人を奉る「サンタンドレア聖堂」。
1472年にルドヴィーコ2世・ゴンザーガの命令で、レオン・バッティスタ・アルベルティが建設を開始。驚くことに328年後に完成しました。建造の背景には、今もこの教会で保管されている“キリストの血”を守る番人役を作る狙いがありました。
古典的なルネッサンス建築の調和のとれた美しい教会で、大きさはドゥオモを超えます。また、この教会にはアンドレア・マンテーニャのお墓があることでも有名です。
<サンタンドレア聖堂の基本情報>
住所:Piazza L.B.Alberti 15,46100,Mantova
電話番号:+39-0376-328504
豪華な佇まいが目を引く「ビビエナ劇場」も必見です。18世紀のマントヴァを代表する宝石と称えられています。当時のオーストリア女帝の命令により、アントニオ・ビビエナが建築を担当。劇場は半円形で、客席は4階建てです。
1769年にこけら落し公演が行なわれ、その後、当時14歳のモーツァルトもここでコンサートを開催しました。
<ビビエナ劇場の基本情報>
住所:Via Accademia 47,46100,Mantova
電話番号:+39-0376-327653
街中から1キロ離れた場所に、ゴンザーガ家の夏の離宮「テ宮殿」があります。こちらもドゥカーレ宮殿と並び、絶対に外せない観光スポット。移動に便利な無料シャトルバスが街の中心から毎日運行してます。
テ宮殿は、建築家兼芸術家ジュリオ・ロマーノの最高傑作のひとつといわれ、9年の歳月をかけて1534年に完成。フェデリーコ2世・ゴンザーガが愛人のために建てた別荘です。
宮殿は古代ローマの別荘にヒントを得て、中庭をもつ四角形。外には、手入れされた優雅な庭が広がります。
宮殿内にはいくつもの部屋がありますが、まずは「馬の間」に注目です。舞踏会の会場として使われましたが、ゴンザーガ家所有の名馬を壁に描いた“名馬カタログ”を客人に見せる意図が感じられる空間です。
当時、ゴンザーガ家はヨーロッパでも有数の名馬の所有者。そして、この宮殿を建てる口実は馬を調教する場所を作るため。よって、このような部屋が必要だったのかもしれませんね。
そして、宮殿内で一番広くて有名な部屋が「巨人の間」です。
ジュリオ・ロマーノが3年の歳月をかけて描いたフレスコ画“巨人の没落”が、天井から四方の壁まで隙間なく空間を埋め尽くします。天井ではゼウスが風を操り、地上にいる巨人たちを倒す様子が描かれています。このエピソードはギリシャ・ローマ神話に由来するもの。
この壁画は、ローマ皇帝カール5世がこの街を訪問した際、彼がプロテスタント教徒に打ち勝ったことを称えるために描かれたと推測されています。
<テ宮殿の基本情報>
住所:Viale Te 13,46100,Mantova
電話番号:+39-0376-323266
マントヴァは、カボチャの産地として有名です。郷土料理にもよく使われ、その代表が「カボチャのトルテッリ」。アーモンドクッキー“アマレッティ”とカボチャ、粉チーズ、ナツメグ、モスタルダを混ぜて詰めたラビオリに似たパスタ。
合わせるソースは、セージの葉とバターのみ。ソースがシンプルなのでカボチャの甘さと旨みが際立ちます。16世紀にゴンザーガ家の料理番が記録を残すほど、歴史のあるひと皿です。
次は、マントヴァの伝統菓子「ズブリゾローナ」です。
トウモロコシの粉とアーモンドで作る、ザクザクとした歯ごたえの素朴なクッキー。17世紀にこの街で生まれ、ゴンザーガ家も大好きだったといわれています。名前の由来は、食べているとボロボロと崩れることから(伊語でbriciola)。
街のカフェやお菓子屋さんでよく見かけるので、日本へのお土産にもぴったりです。
最後は、マントヴァをはじめ北イタリアでよく食べられる保存食「モスタルダ」。
果物や野菜をマスタード風味のシロップに漬けた食べ物です。甘さの後に、鼻にツン!とくるマスタード風味が特徴。一度食べたら病みつきの美味しさ。郷土料理レストランでは、肉料理やハム、チーズと一緒に提供されます。
ヴェローナ ポルタ・ヌオヴァ駅からは、所要時間約45分、料金4.25ユーロ〜。ミラノ中央駅からは、所要時間約2時間、料金11.5ユーロ〜。どちらも国鉄利用で乗り換えなし。
街の主要な観光スポットに入場でき、市内バスも乗り放題と観光に便利な「MANTOVA CARD」(20ユーロ/72時間有効)があります。詳細は、ページ下の関連MEMOで確認を。
2020年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2025/2/10更新)
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