写真:村井 マヤ
地図を見る映画『のぼうの城』の冒頭部分で、上地雄輔さん演じる石田光成が憧れる「備中高松城の水攻め」。秀吉の天下取りの戦の中でも、極めて有名なものであることがわかる。
またこの水攻めシーンは、テレビや映画の見せ場となっている部分でもある。歴史好きな方ならご存知であろう。その真偽のほどは、実際に城跡を訪れて資料館などで話を聞いてみていただきたい。歴史のロマンは必ずしも現実とは違う。しかし、歴史的史跡は一度は訪れ自分の目で確認することで、なお印象に残り、新しい発見があるものだ。
写真:村井 マヤ
地図を見る「浮世をば 今こそ渡れ 武士(もののふ)の 名を高松の 苔に残して」
・・・城主清水宗治(1537〜1582)の時世の句。
本丸跡には、秀吉から差し入れられた酒を飲み、舞を舞って切腹した宗治の首塚と時世の句碑がある。城兵たちの命と引き換えに最期まで毛利の武将小早川隆景への忠誠心を捨てなかった律儀な武将である。
古戦場跡に足を延ばすと、胸に迫ってくるものがある。遺跡はやはり自分の目で見るものだ。
官兵衛は、この城の湿地帯という地質的特徴を逆手にとった奇策を思いつく。それが、「水攻め」である。歴史の詳しい説明は省くが、この策は奇想天外なものだったらしい。城址公園の歴史資料館に行くと、航空写真やジオラマがあり興味深い話も聞ける。築堤跡へは、徒歩15分くらい。お稲荷さんの大鳥居が目印だ。
資料や物語では、水攻めのために築かれた堤は、長さ3km、高さ7m、基底部分に幅は20mとある。12日間で完成させた。一説では実際に建設したのは蛙ヶ鼻の部分300mとのこと。もともとあった堤防を利用して、効率よく堤を築いたのだ。だとしたら、さすが軍師官兵衛だと言える。
写真:村井 マヤ
地図を見る築堤跡は、発掘調査もされており土俵の痕跡も確認できる(上の写真参照)。また築堤高さなどを示すために一部がこんもりとした丘のように残っている。わずかな部分だが、そこに立つと堤防の高さがわかる。
写真:村井 マヤ
地図を見る歴史資料館では、清水宗治関係の資料の閲覧や貴重な話なども聞ける。また、近くの名所も紹介してもらえる。
備中高松城址公園歴史資料館
TEL:086-287-5554、開館時間:10時〜15時、休み:月、年末年始
写真:村井 マヤ
地図を見る軍師官兵衛活躍の舞台であるが、現在ではそんな血なまぐさい古戦場跡とは思えぬ風情である。7月中旬には蓮(宗治蓮)の花が見事だという。今なお清水宗治の首塚や胴塚はきれいに手入れされている。地元の方々の古人(いにしえびと)への思いが伝わる。
秀吉や官兵衛の気持ちになって遺跡をめぐる旅で、歴史のロマンと現実を感じて欲しい。
備中高松城跡へのアクセス
鉄道利用
JR吉備線「備中高松駅」下車、徒歩5分。改札口を出てすぐ右へ線路沿いを進み、踏切を渡り北へ約800m。蛙ヶ鼻(かわずがはな)築提跡は徒歩約10分。
自動車利用
山陽自動車道、岡山ICから約10分。蛙ヶ鼻築提跡駐車場3台、高松城址公園南側の駐車場約25台、西側の駐車場約12台。いずれも無料。
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(2024/4/18更新)
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