写真:雲本 らて
地図を見る「一口坂」は、東京メトロ・市ヶ谷駅から徒歩で3分ほどの場所にあります。坂上は靖国通りに面し、そこから外濠方面に向かって下っている坂道です。周辺には、外濠をはじめボアソナードタワーでも有名な法政大学の校舎や靖国神社があることでも知られています。
また坂の途中には、かつて「一口坂スタジオ」というレコーディングスタジオがあり、スタジオが入っていたビルは昔のポニーキャニオンの本社ビルでもあり別名「たいやきビル」とも呼ばれていたそうです。これは「およげ!たいやきくん」の大ヒットによりビルを建てたことからの通称で、そういう意味では、一口坂は「およげ!たいやきくん」とも縁のある坂道と言えるのかもしれません。
写真:雲本 らて
地図を見る一口坂は、“ひとくち坂”と呼ばれています。ただ本来は“いもあらい坂”という呼び方が正しいと言われています。これは、かつて坂下に疱瘡の治療に霊験のある一口稲荷(いもあらい稲荷)が祀られており、そこから”いもあらい坂”という坂名がつけられたからです。
ちなみに「いもあらい」とは、疱瘡のことを「いもがさ」、「へも」と呼びことから、疱瘡(ほうそう)を洗う(=治す)ことを意味する言葉と言われています。ではなぜ、こんなところに疫病よけ稲荷があったかということですが、これは江戸城外濠普請の際に疱瘡が大流行したためという説が有力です。
なお、一口坂の名前の由来となった一口稲荷は現在ありません。
<一口坂の基本情報>
住所:東京都千代田区九段北4丁目と千代田区九段北3丁目の間
アクセス:東京メトロ・市ヶ谷駅から徒歩3分
写真:雲本 らて
地図を見る外濠の千代田区側(一口坂の坂下でもある)には、外濠公園があります。一般的には外濠が眺められる公園といえばわかる方も多いと思います。春になると公園の遊歩道沿いは桜が咲き、東京でも有数の桜見物スポットとしても有名です。
ちなみに外濠公園は、法政大学が今の地に移転してきた後に、外濠の土手開放を大学側が強く求めたことから紆余曲折の上実現したと言われています。
写真:雲本 らて
地図を見る法政大学の校舎のそばにある新見附橋もじっくり観察してみるとおもしろい橋です。明治中頃に外濠を埋め立ててつくられた橋で、風景的にも千代田区側から新宿区側に下る坂道になっています。春には道路の両側の桜が見事に咲きほこり独特な雰囲気があります。
写真:雲本 らて
地図を見る新見附橋からの外濠も印象的です。外濠の水辺を含む景色やJR中央・総武線、界隈の近代的な数々のビルを橋から眺めることができます。もちろん春には外濠の土手に植えられた桜を歩きながら眺めることもできます。
写真:雲本 らて
地図を見る一口坂の坂下あたりから法政大学の校舎と靖国神社の間を北東に上っているのが富士見坂です。ここはかつて坂上から富士山が見えたことから名付けられた坂道です。ただ現在は周りに背の高いビルが多くなったこともあり昔のように富士山は見えません。
ただこの富士見坂も古くから存在する坂道で、江戸時代の古地図にも「富士見坂」と書かれています。そういう意味では地霊的にもなにかがある場所とも言えるかもしれないので、一口坂の疫病よけ散歩や外濠めぐりと一緒に歩くといいかもしれないですね。
<富士見坂の基本情報>
住所:東京都千代田区九段北3丁目と富士見2丁目の間
アクセス:東京メトロ・市ヶ谷駅から徒歩5分
今回は、東京メトロ・市ヶ谷駅からすぐの一口坂を取り上げてみました。一口坂自体は都心でもよく見かけるような風景の続く坂道ですが、本文でも取り上げたように坂の史実や坂名の由来が疫病よけとも縁深く興味深い坂道だと思います。ぜひ外濠などを訪れた時は一口坂のことも思い出していただき疫病よけも兼ねて歩いてみるのも悪くないと思います。ぜひ試してみてください。
2020年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/3/19更新)
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