地獄絵図から啄木の男性宛ラブレターまで!大分・臼杵お宝観光

地獄絵図から啄木の男性宛ラブレターまで!大分・臼杵お宝観光

更新日:2020/06/30 10:44

藤谷 愛のプロフィール写真 藤谷 愛 地方移住ブロガー
平安時代からの磨崖仏、国宝「臼杵石仏」で有名な大分県臼杵市。
多くの人がこの石仏群や、かつては要塞のような島城だった臼杵城址、江戸時代から残る美しい町並みの見学を目的として観光に訪れますが、実は「臼杵ならでは」と言えるユニークなお宝も町のいたるところで見ることができます。

マニアを唸らせる歴史や文化、宗教関連のお宝から、ここでしか食べられない農産物まで。お宝尽くしの必訪スポットをご紹介します。

龍原寺所蔵「十王図(地獄・極楽図)」

龍原寺所蔵「十王図(地獄・極楽図)」

写真:藤谷 愛

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臼杵市街地にある「龍原寺」は1600年の創建。数多くのお寺がひしめく臼杵市でも人気のスポットで、その理由の一つが1858年に建てられた写真の三重塔。

龍原寺所蔵「十王図(地獄・極楽図)」

写真:藤谷 愛

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九州に二つしかない木造三重塔の一つで、国内でも珍しく邪鬼が軒を支えています。鬼でありながら仏の役に立ちたいと願う希少な邪鬼の彫り物は、可愛らしく思えるほどユーモラスです。

龍原寺所蔵「十王図(地獄・極楽図)」

写真:藤谷 愛

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もう一つの人気の理由が、寺が所蔵している江戸時代に描かれた「十王図(地獄・極楽図)」。毎年8月の最終土曜日に行われる「古寺巡り」の際にのみ公開されます。

絵図には現世の行いが厳しく裁かれる様子が描かれており、子どもにとってはまさに真夏の肝試し!見学時には、地元のボランティアによる絵解き案内もあり、親子揃って興味深く仏教を学ぶことができます。

<龍原寺の基本情報>
住所:大分県臼杵市福良平清水134
電話番号:0972-62-2717
開館時間:6:00-17:00
*8月最終土曜日に行われる古寺巡りの際の地獄絵図公開時間は13:00-16:00のみ

カニ醤油所蔵「福沢諭吉との記念写真」

カニ醤油所蔵「福沢諭吉との記念写真」

写真:藤谷 愛

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創業1600年、九州一古い味噌・醤油会社の「カニ醤油」。店舗には17世紀の梁がそのまま使用され登録有形文化財になっているなど、建物自体がお宝でもある商家です。

店舗内には明治時代からの店舗、従業員、蔵元などの写真が飾られており、その中にひときわ目立つ大きな記念写真が。

カニ醤油所蔵「福沢諭吉との記念写真」

写真:藤谷 愛

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この記念写真の下段中央には、現1万円札の福沢諭吉が!もちろんこの中にはカニ醤油の若き蔵元も写っています。

江戸末期、身分制度ゆえ出世が難しかった中津藩の福沢諭吉は、学費工面の為に所蔵していた漢書を売りに出し、彼の才能を見込んだ臼杵藩が大金で買い取ることに。

こういった経緯もあり、慶應義塾大学を創設後、臼杵藩出身の才能ある学生には優先的に入塾を許可。その中には三菱の大番頭とも言われた荘田平五郎や、日銀総裁や大蔵大臣を歴任した山本達雄もいました。

その他、かの板垣退助から資金援助を頼まれた際のお断りの手紙など、ユニークかつ貴重な資料もお見逃しなく!

カニ醤油所蔵「福沢諭吉との記念写真」

写真:藤谷 愛

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見学の後は、ここでしか買えないお土産もどうぞ。味は言うまでもなく、ネーミングもユニークということで数々のメディアで紹介されています。

<カニ醤油の基本情報>
住所:大分県臼杵市大字臼杵218
電話番号:0972-63-1177
営業時間:9:00-18:00
定休日:火曜日

啄木茶房 ふしみや所蔵「石川啄木のラブレター」

啄木茶房 ふしみや所蔵「石川啄木のラブレター」

写真:藤谷 愛

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明治時代築の貴重な木造3階建て古民家にある「啄木茶房 ふしみや」(以下、ふしみや)。その名の通り、このお店が所蔵するのは石川啄木直筆の手紙、しかもラブレターなのです!

啄木茶房 ふしみや所蔵「石川啄木のラブレター」

写真:藤谷 愛

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明治時代、臼杵市には「みひかり会」という文芸クラブがあり、ふしみやの先代である良太郎はその会員でした。
「女性のほうがスムーズにいくだろう」という考えで「平山良子」という名を使い、石川啄木に短歌の添削依頼をすることに(写真右の額が啄木に添削指導されたもの)。

後日、啄木が良子の写真を欲しがったため、困った良太郎が美人芸者の写真を同封すると、啄木のテンションは急上昇!送付後、4枚にも及ぶラブレター(写真左の額)が送られてきました。

啄木茶房 ふしみや所蔵「石川啄木のラブレター」

写真:藤谷 愛

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1枚目の第一行からかなりの熱烈ぶりがうかがえます。
ほんのり甘い白玉クリームあんみつを味わいながら、明治時代の「すれ違いの恋」に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。

<啄木茶房 ふしみやの基本情報>
住所:大分県臼杵市臼杵670
電話番号:0972-62-2237
営業時間:10:00-18:00
定休日:不定休

臼杵市歴史博物館所蔵「INRI」碑

臼杵市歴史博物館所蔵「INRI」碑

写真:藤谷 愛

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キリシタン大名「大友宗麟」が築いた城下町・臼杵。当時、臼杵市には修道士の養成所であるノビシャド(写真は復元されたもの)が設立されるなど、キリスト教や南蛮文化が溢れる国際色豊かな町でした。宗麟の庇護のもとキリスト教が広まり、禁教されてなお潜伏キリシタンが多く住んでいました。

臼杵市歴史博物館所蔵「INRI」碑

写真:藤谷 愛

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近年、潜伏キリシタンに関する発掘・研究が進んでいますが、臼杵市歴史資料館には大変貴重な石碑(写真)が常設展示されています。

この碑は十字架の上部に当たる部分で、キリストの罪状を記した「INRI」の文字が刻まれています。江戸時代の迫害により、キリスト教関連のものはことごとく破壊され、この石碑のように当時のままINRIの表記が残る石碑は希少。

資料館では、石碑が出土した墓地についても詳しく解説しているので、じっくり時間をとって見学してみてください。

「INRI碑」:臼杵市教育委員会所蔵

臼杵市歴史博物館所蔵「INRI」碑

写真:藤谷 愛

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資料館でもう一つのおすすめは庭からの景色。臼杵川を挟んで石垣の上にどっしり構える「大橋寺」の姿はまるでお城!この景色も是非ご堪能ください。

<臼杵市歴史資料館の基本情報>
住所:大分県臼杵市大字市浜808番1
電話番号:0972-62-2882
開館時間:9:30-17:30
休館日:火曜日

臼杵市の食べるお宝「ほんまもん農産物」

臼杵市の食べるお宝「ほんまもん農産物」

写真:藤谷 愛

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2010年に「臼杵市土づくりセンター」を開設するなど、市を挙げて生産に取り組んでいる「ほんまもん農産物」。工場で作られた完熟たい肥を使用し、化学合成肥料の使用を避けるなど、市独自の認定に基づいて作られた農産物で、全国的にも珍しい取り組みです。

その生産者によるファーマーズ・マーケット「ひゃくすた」は、安全な食を求める親子連れやオーガニック食品の愛好者などに人気の、知る人ぞ知るイベント。

臼杵市の食べるお宝「ほんまもん農産物」

写真:藤谷 愛

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国宝「臼杵石仏」が見下ろす公園には、直販ブースの他にほんまもん農産物を使用した焼き菓子やドリンク、色とりどりのお惣菜などの加工品ブースも。

都会では、オーガニックやそれに準ずる食品には高値が付きますが、「ひゃくすた」で販売される農産物や加工品は絶品な上に破格値!朝ご飯がてら、ここでしか食べられないほんまもん農産物を味わってみてください。

<ひゃくすたの基本情報>
住所:大分県臼杵市深田 臼杵石仏公園
開催日時:毎月第一日曜日 (5月〜9月)7時〜10時、(10月〜4月)8時〜11時

臼杵市の食べるお宝「ほんまもん農産物」

提供元:うすきツーリズム活性化協議会

http://www.kichi46gt.com/nouhaku.html

「ほんまもん農産物」をお腹いっぱい食べたい方は、いっそのこと生産農家さんのお宅に宿泊してみては?

「吉四六さん村グリーンツーリズム研究会」では、臼杵市の農村時間を旅行者にたっぷり満喫してもらうため「農泊体験」を提供しています。ほんまもん農産物の生産農家さんの他にも、様々な農法の農家さんが登録しているので、予約時に希望をリクエストすることをおすすめします。

マニアも満足のユニークなお宝がまだまだあります

古くから続く城下町ならでは、ということでたくさんのユニークなお宝がある臼杵市。観光がてら立ち寄ったところで「ここにお宝はありますか?」と聞くと、思ってもみなかったような貴重な資料に巡り合うことも。お話し好きな方が多い臼杵市民が、とっておきを披露してくれるかもしれませんよ。

2020年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。

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