トスカーナ南部「オルベテッロ」美しい潟に囲まれた漁師の町

トスカーナ南部「オルベテッロ」美しい潟に囲まれた漁師の町

更新日:2020/07/01 17:03

中山 久美子のプロフィール写真 中山 久美子 日伊通訳&コーディネイター、ライター
田園風景のイメージが強いトスカーナ州ですが、西側は全て海に面しており、その中でも特に美しい海とされているのが南部マレンマ地方です。今回ご紹介するオルベテッロは、このエリアのリゾートとして有名な、モンテ・アルジェンタリオの玄関口の町。人気リゾートの陰に隠れがちですが、特殊な立地や歴史、特産品グルメなど、さまざまな魅力に溢れています。

潟に囲まれた、特殊な立地を見てみましょう

潟に囲まれた、特殊な立地を見てみましょう

写真:中山 久美子

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この写真は、オルベテッロの西、モンテ・アルジェンタリオの修道院から撮影したもの。遠い昔、モンテ・アルジェンタリオは島でしたが、何世紀もの時を経て2本の砂州ができました。この潟の中央、本土側に半島のように突き出ているのが、オルベテッロの町。そして1842年、オルベテッロ西端からモンテ・アルジェンタリオにつながる道が建設され、潟も2つに分かれることになったのです。このオルベテッロ潟は現在、WWF(世界自然保護基金)の保護オアシス、国立自然保護区にも指定されています。

潟に囲まれた、特殊な立地を見てみましょう

写真:中山 久美子

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エトルリア時代から海沿いの要所を結ぶ町として、中世にはこのエリアいちの発展を遂げたオルベテッロ。1557年には、ここにスペインの駐屯部隊が設置されることに。この細長い小さな町には、そんな歴史的モニュメントや伝統が色濃く残っているのです。

旧市街周りに残る、1600年代の3つの門

旧市街周りに残る、1600年代の3つの門

写真:中山 久美子

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オルベテッロでは、古代エトルリア時代、中世シエナ統治時代、そして1600年代のスペイン駐屯地時代の3回にわたって城壁が建設されました。最後のスペイン駐屯地時代の城壁にあった門は、今でも3つ見ることができます。

一番古いソッコルソ門はシンプルなものですが、写真のテッラ門はとても豪華。建設はスペイン王・カルロ2世時代の1692年、御影石とトラバーチンが使用されたバロック様式になっています。

旧市街周りに残る、1600年代の3つの門

写真:中山 久美子

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最後の1つは、旧市街への入口の門。シエナ統治時代の小さな門があった場所に1697年に建設し直されたことから、ヌオーヴァ(新しい)門、と呼ばれています。

それでは、旧市街に入ってみましょう。

活気ある旧市街を散策しよう

活気ある旧市街を散策しよう

写真:中山 久美子

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メインストリートは、旧市街を東西に走るコルソ通り。夏は地元民に加え、観光客も多く活気があります。オシャレなセレクトショップや雑貨屋さんもあり、特に女性には楽しい通りですよ。

活気ある旧市街を散策しよう

写真:中山 久美子

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コルソ通りの真ん中には、町の中心広場があります。時計のある大きな建物はポデスタ宮で、1600年代のスペイン駐屯地時代にスペイン総督が住んでいた所。外にテーブルを出すカフェも数軒ありますので、休憩にももってこいですよ。

活気ある旧市街を散策しよう

写真:中山 久美子

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コルソ通りをはずれると、一般住居が多くなります。玄関周りを美しく飾ってある住居も多く、地元民の生活も垣間見られますよ。

見どころ2つは、旧市街の西側に

見どころ2つは、旧市街の西側に

写真:中山 久美子

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はずせないモニュメントは、旧市街の西側に2つ。

サンタ・マリア・アッスンタ大聖堂は、ローマ時代の教会の遺構に建てられた教会で、13世紀以降に拡張と装飾が加えられ、現在に至ります。ファサードは一見地味ですが、バラ窓と精巧な彫刻がとても美しいです。

見どころ2つは、旧市街の西側に

写真:中山 久美子

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内部は三廊式で、海を彷彿させる白と水色の色調になっています。右身廊にはこの町の守護聖人・聖ビアージョの礼拝堂、左身廊にはサンティッシモ・サクラメント礼拝堂が。前者は後期ゴシック様式、後者は新古典様式になっています。

<基本情報>
住所:Via Roma, 81
アクセス:ヌオーヴォ門より徒歩約5分

見どころ2つは、旧市街の西側に

写真:中山 久美子

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町の西端から潟に出ると、右側にぽっこり浮かんでいるのが「スペインの水車」。元々はシエナ統治時代に小麦を挽く目的で建てられましたが、スペイン駐屯地時代に再建されました。当時、オルベテッロ潟に水車は9台あったそうですが、現存するのはこの1台だけになっています。

漁業組合直営の地産地消レストラン「I Pescatori」

漁業組合直営の地産地消レストラン「I Pescatori」

写真:中山 久美子

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オルベテッロのおすすめレストランは、「I Pescatori=漁師たち」。その名の通り、この潟を漁場とするオルベテッロ漁業組合の直営レストランです。

潟で捕れる特徴的な魚はボラ、ウナギ、ハガツオ。特にボラのボッタルガとハガツオは、スローフード協会の保護食材にも選定されている希少なものです。ウナギはグリルやフライも美味しいですが、イチオシは写真左の「スフマート」!スペイン駐屯地時代、航海に長けていたスペイン人の魚の保存方法を受け継ぎ、秘伝のソースに漬け込んだものなのです。漬け込む間に脂が抜けてソースの味がしみこみ、ウナギの脂っこさが苦手な方も美味しく食べられますよ。

漁業組合直営の地産地消レストラン「I Pescatori」

写真:中山 久美子

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パスタは、ボラのボッタルガをふんだんに使った一皿を。高級品のボッタルガをこんな風にふんだんに使えるのも、漁業組合が漁から全てを一貫経営しているレストランならではですね。

漁業組合直営の地産地消レストラン「I Pescatori」

写真:中山 久美子

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そして見逃してはいけないのが、オルベテッロ潟に沈む夕日。この美しい風景で、ぜひオルベテッロの旅を締めくくって下さいね。

<基本情報>
住所:Via Giacomo Leopardi, 9
電話番号:+39-0564-860611
アクセス:ヌオーヴォ門より徒歩約5分

モンテ・アルジェンタリオ、ジッリオ島への旅と組み合わせて

人気リゾートであるモンテ・アルジェンタリオ、またそこにある町の1つのポルト・サント・ステーファノからは、トスカーナ群島の可愛い島、ジリオ島へのフェリーが出ています。オルベテッロは通り過ぎるだけになりがちですが、歴史的モニュメントや美味しい料理などの魅力もいっぱい。公共機関でも比較的行きやすい場所なので、ぜひ立ち寄ってみて下さいね。

2020年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/08/29 訪問

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