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地図を見る「台風●号が南大東島の南150kmの海上を北西に1時間20kmの速さで移動中・・・」
台風情報のニュースを聞いていると、台風の現在地を知らせるための”基準”として登場することが多い南大東島。しかし、その割には誰もが行ったことのないような島。中には「台風情報で有名だから」とかいう理由で南大東島を訪れる猛者も少なくないのだとか。
そんな南大東島は日本の気象観測にとっては超がつくほど重要な拠点なのです。その為観測所ではなく、離島でありながら予報権限のある「地方気象台」という扱いになっているのです。
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地図を見る南大東島に限らず、離島というのは気象観測にとってはとても重要拠点なのです。その理由は海。国土を囲む広大な海が気象に大きく影響するからです。
その為、絶海の孤島のような場所の観測データは非常に貴重かつ有益なデータが得られるのです。特に、毎日行われている”高層気象観測”のデータはかなり大きなウエイトを占めているとされています。
この南大東島地方気象台も絶海の孤島ではあるものの、導入されている機械は最新鋭!画像にもあるコンテナから毎日定刻に高層気象観測用装置「ラジオゾンデ」が放出されるのです。
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地図を見る毎日、朝と夜の8:30になると「ラジオゾンデ」が空へと放たれます。昔は職員がバルーンを手に持ち、時間が来ると空へと放っていたのですが、今や全自動です!コンテナに搭載された放球装置がパカっと開いて「ラジオゾンデ」が空へと舞いあがるのです。
実はこの「ラジオゾンデ」による観測は全世界同時に行われています。日本では他に、小笠原諸島の父島や日本最東端の南鳥島、更には南極の昭和基地などでも一斉にラジオゾンデが放たれているのです。
この「ラジオゾンデ」には気圧、気温、湿度等を測定するセンサを搭載し、測定した情報を送信するための無線送信器が備わっています。地上から高度約30kmまでの大気の状態(気圧、気温、湿度、風向・風速等)を上昇しながら観測します。一定の高度でバルーンが破裂し、役目が終わった後はパラシュートでゆっくり落下、大半は海に落ちるようです。ちなみにこの「ラジオゾンデ」、1機35000円で使い捨てなんだとか・・・。日本の気象観測の為、毎日お金がかかっているんですね。
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地図を見る「ラジオゾンデ」による観測以外にも、最新鋭の「ウィンドプロファイラ」なる観測機器も近年導入されています。これは「ウィンド(風)のプロファイル(輪郭・側面図)を描くもの」という意味の造語なんだそう。
この装置は地上から上空に向けて電波を発射して、戻ってくる電波を受信し解析することによって、上空の風向・風速を測定する装置です。この装置は風の立体的な流れがわかる為、より天気予報に役立つ細かいデータが得られるそうです
この「ウィンドプロファイラ」は与那国島や八丈島など、日本各地の離島に配備されているのです。ここで得られるデータは台風の進路予測やジェット気流の動きなどの観測に役立てられています。
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地図を見る南大東島地方気象台の1Fホールには気象関連の見学コーナーもあり、色々な展示品が常設されています。過去に使用されていた観測機器や「ラジオゾンデ」の実物など、いろいろな展示品を見る事ができます。
ちなみにこの南大東島地方気象台は、元々民間業者が設立したものだったそうで、そんな成り立ちの気象台は日本全国でもここだけだそうです。
近年は明日の天気予報の為の気象観測から、同じ太平洋の小笠原諸島父島や南鳥島などの観測点と共に太平洋高気圧の本質を探るというの壮大なテーマの観測も担っているそうです。
毎日の日本の天気予報の為、日夜観測が続けられている南大東島地方気象台。我々の日常生活のみならず、南大東島の貴重な観光資源としても活躍をしていて、多い年では年間1000名を超える見学者がいるそうです。せっかく絶海の孤島まで来たのなら、日本の気象の最前線にお邪魔してはいかがでしょうか?
毎朝のラジオゾンデ観測は見学することができます。予定が決まっているならば電話で見学予約をしておきましょう。
■南大東島地方気象台 総務課
(09802)−2−2535
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(2024/10/14更新)
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