南伊・プーリア州の洞窟の町「グラヴィーナ・イン・プーリア」

南伊・プーリア州の洞窟の町「グラヴィーナ・イン・プーリア」

更新日:2020/07/27 14:03

ケイコ ソリーノのプロフィール写真 ケイコ ソリーノ イタリア政府公認ツアーコンダクター、郷土料理教室主宰
イタリア半島の“かかと”にあたる南伊・プーリア州。州の内陸部に小さな洞窟の町「グラヴィーナ・イン・プーリア」があります。

洞窟住居の世界遺産マテーラの隣町で、ここにも紀元前からの貴重な洞窟が保存されています。

町の見どころは、洞窟内の教会、大聖堂、映画「007」のロケ地にもなった水道橋、貴族の館を改装した博物館など。マテーラから気軽に日帰り観光が楽しめるおすすめの町です。

白い旧市街と名物の水道橋

白い旧市街と名物の水道橋

写真:ケイコ ソリーノ

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「グラヴィーナ・イン・プーリア」は、南イタリア・プーリア州の内陸に位置する人口4万3,000人の町。バジリカータ州との境にあり、世界遺産「マテーラ」からは電車で40分です。

町の名前は、“峡谷”を意味する伊語「グラヴィーナ」に由来します。が、中世にこの地を支配したフェデリーコ2世が「小麦(伊語グラノ)とワイン(伊語ヴィーノ)をもたらす土地」と表現したことによるという説も。

白い旧市街と名物の水道橋

写真:ケイコ ソリーノ

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見どころが集まる旧市街には、プーリアらしい白壁の家々が連なります。細い路地と階段が続く町並みは、どこを撮っても絵になる可愛らしい光景です。

白い旧市街と名物の水道橋

写真:ケイコ ソリーノ

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旧市街から少し離れた場所に見どころのひとつ「水道橋」があります。高さ37メートル、長さ90メートル、幅5.5メートル。

17世紀にはすでに存在し、両岸の峡谷をつなぎ、信者が教会へ通うための道標でした。18世紀の大地震で崩落後、水道橋として修復され、現在はFAI(イタリア環境団体)が保護する貴重な文化財に指定されています。

2020年11月公開の映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」では、この橋を使ったジェームズ・ボンドの派手なアクションが見ものです。

<水道橋の基本情報>
住所:Via Fontana Madonna della Stella,70024,Gravina in Puglia

洞窟住居と洞窟教会

洞窟住居と洞窟教会

提供元:iatgravina

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この町に人が住み始めたのは旧石器時代から。5世紀に古代ゲルマン民族がこの地を襲い、住民は洞窟に逃げ込み、定住生活を開始。その後、少しずつ洞窟住居を広げていきました。

洞窟住居と洞窟教会

提供元:iatgravina

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旧市街には、洞窟内に作られた町の最初の大聖堂「サン・ミケーレ洞窟教会」があります。

凝灰岩を削ってできた四角形の空間は、14本の柱で5つに分かれ、中央祭壇には町の守護聖人である大天使ミカエルと聖ラファエル、聖ガブリエルの像が飾られています。

内部はガイドツアーで見学可能。毎年5月8日には、守護聖人を奉る祭りが行なわれます。

<サン・ミケーレ洞窟教会の基本情報>
住所:Calata Grotte S. Michele,70024,Gravina in Puglia
電話:+39-080-326-9065

三様式が混在する大聖堂

三様式が混在する大聖堂

写真:ケイコ ソリーノ

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旧市街の断崖に建つ大聖堂は、正式名称を「サンタ・マリア・アッスンタ大聖堂」といい、11世紀初頭にノルマン人により建立されました。

その後、15世紀半ばに火災と地震により崩壊し再建。17〜18世紀には大規模な修復が行なわれ、現在は後期ロマネスク、ルネッサンス、バロックが混在する建築様式です。

大聖堂の前には、この町出身のローマ法王ベネデット13世の像が神々しく立っています。

三様式が混在する大聖堂

写真:ケイコ ソリーノ

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内部は三廊式。天井は木製で金細工が施された豪華なバロック様式、飾られた4枚の大作は17世紀のものです。

左右に並ぶ礼拝堂の中で注目すべきは、町の守護聖人「サン・ミケーレの礼拝堂」です。18世紀の貴重な多色大理石で作られたもので、見る人を圧倒させる美しさ。聖堂内陣席は16世紀半ばに作られた彫刻が見事な木製の作品です。

三様式が混在する大聖堂

写真:ケイコ ソリーノ

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大聖堂の左手には、峡谷を見渡す絶景ポイントがあります。町の名所のひとつ、水道橋もここからバッチリ。非日常の洞窟の眺めを堪能してください。

<大聖堂の基本情報>
住所:Piazza Benedetto XIII,70024,Gravina in Puglia
電話:+39-338-567-8017

貴族の館を改装した博物館

貴族の館を改装した博物館

写真:ケイコ ソリーノ

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大聖堂から徒歩5分、旧市街の中心に「ポマリチ・サントマーズィ博物館」があります。18世紀の貴族の館を改装した博物館で、当時の生活様式が見て取れます。

内部はガイドツアーで見学可能。古代ギリシャ時代の調度品、中世のマヨリカ焼き、古銭、武器、ドレス、書籍などを幅広く展示。なかでも、260枚以上の絵画コレクションは見る人を圧倒するボリュームです。

貴族の館を改装した博物館

提供元:Fondazione Santomasi

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ポマリチ・サントマーズィ家の邸宅をそのまま保存した居室スペースには7つの広間があり、見どころは、金色のバロック様式の家具で飾られたエレガントな客間です。

その他、象牙のタンスや天蓋付きベッドを設えた寝室、家族専用の礼拝堂など、当時の一族の豊かさを象徴する豪華な部屋が続きます。

なかには、19世紀にナポリで作られた“パンのプレゼーペ”という珍品も。時が経ち、現在パンは緑色のカビで覆われていますが、当時の貴族の趣味が伺えるおもしろいアイテムです。

貴族の館を改装した博物館

提供元:Fondazione Santomasi

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そして、3階には古代ギリシャの調度品が展示されています。

町のボトロマーニョ地区の墓から出土した壷、皿、人形、装飾品などを中心に紀元前7〜4世紀の品々が並びます。これらの出土品は、この地が古代ギリシャの植民地であった証。

その他、入口に飾られた18世紀の馬車、地下室に移された洞窟教会のフレスコ画も必見です。

<ポマリチ・サントマーズィ博物館の基本情報>
住所:Via Museo 20,70024,Gravina in Puglia
電話:+39-080-325-1021
営業時間:9:00〜13:00
定休日:月曜
料金:4ユーロ

洞窟を見渡す絶景レストラン

洞窟を見渡す絶景レストラン

提供元:Madonna della Stella Resort

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グラヴィーナ川を挟んだ大聖堂の対岸に絶景レストラン「マドンナ・デッレ・グラツィエ」が佇んでいます。

ここからは、グラヴィーナ峡谷を一望。さらに、レストランは洞窟内にあるため、近くから洞窟の岩肌に触れることも可能です。まさに洞窟の町にふさわしい食事スポット。訪れる際は予約必須です。

<マドンナ・デッレ・グラツィエの基本情報>
住所:Via Madonna Della Stella Sn,70024,Gravina in Puglia
電話:+39-349-710-7476
営業時間:13:00〜23:45
定休日:火曜

洞窟を見渡す絶景レストラン

提供元:iatgravina

https://iatgravina.it/地図を見る

そして、この町の名産品が「パッローネ・ディ・グラヴィーナ」とよばれる丸い球状の熟成チーズです。スローフード協会も認定するご当地の味。

牛乳製で熟成期間は2〜4ヶ月以上。洞窟内で熟成が行なわれるのが特徴です。テーブルチーズとしてそのまま、または、分厚くスライスしてフライパンで焼いてたべるのも美味。日持ちするのでお土産にも最適です。

洞窟を見渡す絶景レストラン

提供元:iatgravina

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さらに、グラヴィーナ・イン・プーリアの銘菓といえば「ササネッリ」です。

材料は、小麦粉、砂糖、イチジクのシロップ、シナモン、カカオなど。昔から家庭で作られるほろ苦い味のクッキー。スーパーやパン屋で購入できます。日持ちするので、こちらもお土産にどうぞ。

グラヴィーナ・イン・プーリアへの行き方

マテーラ中央駅からは所要時間約40分、料金2.9ユーロ〜。
バーリ中央駅からは所要時間約1時間30分、料金4.3ユーロ〜。
どちらも私鉄アップロ・ルカーネ線利用。

ただし、日曜日は電車が運休になるためバスが代替運転しています。

2020年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2020/06/06 訪問

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