写真:モノホシ ダン
地図を見る三尾のアメリカ村で、“カナダ移民の父”と呼ばれているのが、有名な大工棟梁だった工野儀兵衛(くのぎへえ)です。1888年(明治21年)に、旧三尾村からカナダへ初めて移住した人物で、アメリカ村のバス停脇にある建物には、旧三尾小学校の生徒たちが描いた工野儀兵衛の絵が残されています。
工野儀兵衛が、単身訪れたカナダの港町スティーブストンは、当時、鮭漁で賑わっていた漁村で、鮭の缶詰加工業の中心地として栄えていました。儀兵衛は、当地の事情を郷里の人々に伝え、多くの漁師たちを呼び寄せ、三尾からの移民者は最盛期には約2000人に達しました。
のちに、出稼ぎや長期生活を終えて帰国した人々は、カナダの生活様式を持ち帰り、村にはモダンな洋館が立ち並び、通称“アメリカ村”と呼ばれるようになりました。カナダ村でなくアメリカ村というのは、当時の日本人にとっては、カナダもアメリカも違いが明確でなく、単にアメリカ大陸のことを意味していたためです。
写真:モノホシ ダン
地図を見る三尾のアメリカ村で、リゾート気分に浸れるオシャレな食堂が、「アメリカ村食堂 すてぶすとん」。三尾公民館の2階を改装したお店で、店名の由来は、カナダの港町スティーブストンを、三尾なまり風にしたものです。
なお、三尾に車でやってきて、すてぶすとんを利用した方は、すてぶすとんの駐車場に車を置いたまま、三尾のアメリカ村内を見学することができます。
写真:モノホシ ダン
地図を見るすてぶすとんの2階からは、三尾の町並みを一望することができます。海からの強風に耐えるため、漆喰で固めた屋根瓦が、異国情緒を漂わせています。
写真:モノホシ ダン
地図を見るすてぶすとんの店内は、カナダの港町のパブレストランをイメージしていて、オープンキッチンで、カウンター席とテーブル席、それにテラス席があります。キッチンの並びには、手作り雑貨を販売するコーナーもあります。
写真:モノホシ ダン
地図を見る開放感あふれるテラス席からは、近くに三尾の海を望むこともできます。沖に浮かんでいる島は「海猫島」といい、ウミネコの繁殖地でもあります。
写真:モノホシ ダン
地図を見るすてぶすとんでは、地元の新鮮な食材を使った料理や、カナダ風の食事を楽しむことができます。写真は、「サーモンフライランチ」(1000円)。サラダと副菜3品付で、ご飯のおかわりは無料です。
ほかに、金・土・日限定で、新鮮なサーモンと名産のしらすを使った「すてぶす丼」(1200円)もおすすめ。
<アメリカ村食堂 すてぶすとんの基本情報>
住所:和歌山県日高郡美浜町大字三尾841
電話番号:0738-20-1420
営業時間:11:00〜15:00
定休日:火曜日・水曜日
アクセス:JRきのくに線「御坊駅」から路線バス「アメリカ村」バス停下車すぐ
車利用の場合は、専用無料駐車場利用
写真:モノホシ ダン
地図を見るすてぶすとんから、道路を挟んだ向い側にある「カナダミュージアム」は、玄関にカナダの国旗がはためき、アメリカ村を象徴する近代の洋風古民家です。
ミュージアムは、昭和初期に建てられた「旧野田家住宅」(国登録有形文化財)を修復し、三尾地区からカナダへ移民し帰国した人々がもたらした暮らしや文化、カナダでの足跡を紹介し、その歴史を後世に伝えていく施設となっています。
写真:モノホシ ダン
地図を見る内装は、洋室と和室がある和洋折衷型で、洋室にはカナダから持ち帰った蓄音機などが展示されています。窓ガラスは、昭和レトロガラスで、手延べの板ガラスで、少し歪みのあるのが特徴です。
モダンな洋館でのライフスタイルは、テーブルとイスでコーヒーやパンを食し、蓄音機でレコードを聴き、就寝にはベッドという洋式の生活でした。さらに、外出時にはコートと帽子を着用し、人々の会話には英語も混じっていました。アメリカ村と呼ばれるのもうなづけますね。
写真:モノホシ ダン
地図を見る和室は、欄間のある二間続きの部屋で、襖で仕切られています。和室は展示スペースになっていて、“カナダ移民の父”工野儀兵衛を始め、三尾のカナダ移民の文化や歴史をパネルや映像で知ることができます。
写真:モノホシ ダン
地図を見るミュージアムの「カナダガーデン」には、花壇があり、庭の中央にカナダの国旗に使われているサトウカエデが植えられています。庭には、ウッドデッキやベンチも設置されているので、のんびりとくつろぐこともできます。
写真:モノホシ ダン
地図を見るカナダガーデンの奥の一角には、2代目の「紀伊日ノ御埼灯台」のフレネルレンズが保存・展示されています。2代目の灯台は、初代の灯台が戦災で焼失したあと、美浜町の日ノ御埼に1951年(昭和26年)に再建されたものです。
しかし、灯台の敷地に崩落の恐れが生じたため、2017年(平成29年)に、地盤が安定している同じ日ノ御埼の日高町内に建て替えられました。
和歌山県の最西端の岬で、約60年に渡って紀伊水道を航行する船の安全を見守ってきた2代目のレンズを通して、遥かな海のロマンを感じてください。
なお、カナダミュージアム内には「カフェ メイプル」が併設されていて、ドリンクや手作りケーキをいただくことができます。また、カフェメニューはテイクアウトも可能で、庭で心地良い潮風を感じながら飲食を楽しむこともできます。
<カナダミュージアムの基本情報>
住所:和歌山県日高郡美浜町大字三尾482
電話番号:0738-20-6231
入館料:150円(高校生以上)
開館日:10:00〜16:00
休館日:火曜日・年末年始
アクセス:JRきのくに線「御坊駅」から路線バス「アメリカ村」バス停下車すぐ
写真:モノホシ ダン
地図を見るすてぶとんのランチタイムとカナダミュージアムの見学とティーを楽しんだら、三尾のアメリカ村の、ほかのみどころを巡ってみましょう。
「龍王神社」は、三尾地区のとっておきのパワースポットで、海上交通の安全を願って創建されました。神社の拝殿の前には、樹齢300年以上といわれる天然記念物の「アコウの巨樹」があります。
<龍王神社の基本情報>
住所:和歌山県日高郡美浜町三尾442
アクセス:アメリカ村バス停から徒歩約10分
写真:モノホシ ダン
地図を見る三尾地区には2つのお寺があります。そのひとつが、カナダへ移住した先人たちのお墓がある「法善寺」。約1000年の歴史を持つ、浄土真宗の寺院で、阿弥陀如来を本尊としています。高台にある境内からは、美しい三尾の海を望むことができます。
<法善寺の基本情報>
住所:和歌山県日高郡美浜町大字三尾382
電話番号:0738-62-2022
アクセス:アメリカ村バス停から徒歩約5分
写真:モノホシ ダン
地図を見る本堂正面の上部の壁に、美しいハスの絵や迫力ある鳳凰などが描かれているのが、浄土真宗本願寺派の古刹「光明寺」です。約460年前に開基され、現在の本堂は、1930年(昭和5年)に、カナダへ移民した三尾の人々からの寄付によって建設されたものです。
<光明寺の基本情報>
住所:和歌山県日高郡美浜町大字三尾864
電話番号:0738-62-2629
アクセス:アメリカ村バス停から徒歩約2分
「三尾のアメリカ村」を歩いて、潮騒とカナダ移民の歴史と文化、異国情緒を満喫してください。
いかがでしたか。本文ではご紹介できませんでしたが、三尾のアメリカ村のある美浜町では、ほかにもたくさんのみどころがあります。
三尾のアメリカ村と並んで、美浜町を代表する観光スポットが「煙樹ヶ浜」です。長さ約4.5kmにおよぶ近畿最大規模の大松林が自慢です。その数は、約5万本といわれ、目の前に海が広がる最高のロケーションで、キャンプを楽しむこともできます。また、海に沈む夕陽も一見の価値があります。
美浜町と日高町の県境にある標高328.7mの「西山」には、西山ピクニック緑地が整備されていて、煙樹ヶ浜や紀伊水道、さらに視界が良ければ四国や大鳴門橋まで望むことができます。
また西山は、旅をする蝶「アサギマダラ」の飛来地としても注目されています。頂上までは、約90分のハイキングです。紀州随一といわれる大展望を楽しんでみてはいかがでしょうか。
2020年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/3/29更新)
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