「利尻礼文サロベツ国立公園」の一部として、豊富町を中心に高層湿原としては日本最大の面積を誇るサロベツ湿原。その大きさはなんと6,700ヘクタール(東京ドーム1,400コ分)。オオヒシクイやオジロワシ、コハクチョウなどの渡り鳥の休息地として、また、絶滅危惧種・シマアオジなどの野鳥や動植物の貴重な繁殖地や営巣地として2005年にはラムサール条約に登録され世界的にも認められました。本州では高山に行かないと見られない花々が初夏から秋にかけて咲き誇ります。
拠点となるのは「サロベツ湿原センター」。「人と自然の共生」をテーマに太陽光発電やヒートポンプ暖房など、化石燃料に頼らない自然エネルギーを利用した施設です。館内には湿原の起こりとなった泥炭採掘や野生動植物の写真やパネル、映像資料などがあり、湿原を訪れる前に様々な知識を身につけられます。
サロベツ湿原センターより園内へ入ると1キロ(徒歩で所要時間30〜40分)と0.6キロ(同20〜30分)の2コースの木道が整備されており、湿原の中へ自身の足で進めます。途中、3から4ヶ所の木製ベンチや後半には展望スポットもあり、休息をとりながら美しい花を愛でる事ができます。
広大な高層湿原だけに珍しい高山植物や北海道固有の品種がそこかしこに。5月から9月にかけ、カキツバタやエゾカンゾウ、ミツガシワやツルコケモモ等、北海道ならではの高山植物を木道のすぐそばで目にすることができます。
<サロベツ湿原センターの基本情報>
住所:北海道天塩郡豊富町字字上サロベツ8662
電話番号:0162-82-3232
アクセス:稚内市街より車にて国道40号線経由約60分
サロベツ湿原センターより海岸へ向かい西へ約1キロで稚咲内へ到着。サロベツ湿原の西の端に位置する稚咲内海岸一帯に広がる地域となり、バスで訪れる際にはこちらが終点にあたります。
天候の良い日には花々の向こうに利尻島の名峰・利尻山を望めます。夕焼け空は特におすすめ。
稚咲内を横切る道道440号線沿いからは南北どちらを見てもサロベツ湿原の広大な湿地帯。視界に広がるのはひたすら草花と空。何キロ先まで見渡せるのか分からない、北海道ならではのスケールに驚きます。
サロベツ湿原を満喫するには展望台からも。知る人ぞ知る展望スポットがサロベツ湿原の北部に位置する「宮の台展望台」。鉄道で行けない事はないのですが、途中の道幅が狭く野生動物も出ますので車で行くのが良いでしょう。
また、展望台への階段は上るにつれ思ったより高く感じますので高所恐怖症の方にはおすすめしませんが、上れば右から左まで視界はすべてサロベツ原野。広すぎるほどの北海道を実感できます。
<稚咲内の基本情報>
住所:北海道天塩郡豊富町字稚咲内
アクセス:稚内市街より車にて国道40号線経由約60分
<宮の台展望台の基本情報>
住所:北海道天塩郡豊富町字徳満
アクセス:稚内市街より車にて国道40号線経由約60分
開館期間:5〜9月(9〜16時) ※冬季除雪なし
宮の台展望台から車で約20分。JR豊富駅からは路線バスに乗り継ぎ約10分で温泉好きによく知られる豊富温泉へ到着します。
温泉街の中で日帰りで気楽に立ち寄れる所が「豊富町ふれあいセンター」。真冬の厳しい寒さにも耐えられるしっかりとした構造の町営温泉です。敷地内には10台以上が停まれる駐車場があり、路線バスのバス停は玄関の目の前です。
館内のレストランのあちらこちらのテーブルで目につくのはやはり名物のジンギスカン。
道内でしばしば見かけるラムやマトン等の羊肉のジンギスカンの他に、こちらならではのメニューが「鹿ジンギスカン」。タレに漬け込んだ肉厚の鹿肉と鹿ソーセージ、野菜がついてわずか1,000円未満!ヘルシーな鹿肉を本格的な鉄鍋でジンギスカンにできるレストランは日本でも珍しいはず。
ジンギスカン鍋でゆっくり焼いていくとさらに油が落ち、臭みはまったくありません。肉厚で食感はステーキのよう。口に入れると旨味たっぷりの肉汁があふれ、ホロホロと溶けていくような柔らかさに驚きます。
鹿肉は豚肉や牛肉と比べ、たんぱく質は約1.5倍含まれますがカロリーは約2分の1、脂質に至っては約5分の1以下。また、脳を活性化し、ストレスや疲労減少、脂肪燃焼効果のあるアミノ酸の一種のアセチルカルニチンが豊富に含まれる高機能食材です。ジビエとして高級なイメージがありますが、ヘルシーで体に優しくおすすめです。
豊富温泉はアトピー等の皮膚病への効果と共に大勢の湯治客を迎えてきた名湯です。一週間や一月以上のご滞在の方も多く浴場は湯治用と一般用に分かれており、絶え間なく湯治客や地元の方々で賑わっています。
湯治用浴場の奥の簾をくぐり抜け、いよいよ温泉へ。脱衣所には通常のロッカーの他に100円玉リターン式のロッカーも10箇所備えられています。
大浴場には10人以上は入れる大きな浴槽が一つ。湯温40℃程の薄緑色の濃厚な温泉がこんこんと湯口からあふれ出てきます。泉質は含ヨウ素ーナトリウムー塩化物泉。石油臭の強い独特のお湯です。
入浴すると濃厚な色合いに加え、独特の石油臭とお湯の表面に漂う油に驚きます。湯口周りにオイルフェンスを張る事もあり、油分を肌にまとっていく感覚。触れた感じはツルツルで見るからに肌に効果がありそうです。
お湯と食事を楽しんだ後はお土産探し。
ギフトショップには北の果てらしい銘品の数々が並びます。絶妙の味付けとホロホロの食感が特徴的な「えぞシカの角煮」も珍しく、お土産には喜ばれることでしょう。
<豊富町ふれあいセンターの基本情報>
住所:北海道天塩郡豊富町字温泉
電話番号:0162-82-1777
アクセス:稚内市街より車にて国道40号線経由約60分
豊富温泉からリフレッシュロードと呼ばれる広い道を北東へ車で約10分弱。牧草地があちらこちらに見えてくると、豊富町の観光でも人気の高い「豊富町大規模草地牧場」へ到着します。
こちらへは公共交通機関はありませんので豊富駅で借りられるレンタサイクル(事前予約不可)か車を利用しましょう。なお、アップダウンが激しいのでレンタサイクルでは電動自転車を借りた方が良いでしょう。豊富駅からは豊富温泉経由で15キロ、90分程を要します。
あまりに広すぎて放牧されている牛の姿を見つけるまでには時間がかかりますので焦らずにゆっくりと巡りましょう。牛1頭当たりにあてられる広さはなんと1ヘクタール(約3,000坪)!放牧されている牛がのんびりと草を食む様子に癒されます。
大規模草地牧場の大自然の中で育まれた牛から搾られる牛乳は道内のコンビニ他、今では全国のスーパーなどでも購入できるようになりました。牛乳本来のコクと甘味を感じられます。その味を生む牧場は良質の牧草が生えそろうなだらかな丘が重なり合い、これぞ北海道!と実感。時間がかかってもぜひとも行きたいスポットです。
なお、放牧期間は5〜10月ですので訪れる時期には気をつけましょう。
<豊富町大規模草地牧場の基本情報>
住所:北海道天塩郡豊富町字有明、字福永
アクセス:稚内市街より車にて国道40号線経由約70分
広大な北海道の大自然を満喫するならば初夏の5月から晩秋10月にかけてがベストシーズン。また、サロベツ原野から豊富温泉、大規模草地牧場までを巡るには丸一日を要し、日帰りにはもったいないほど。できれば豊富温泉で泊まりながら時間に余裕を持ってプランを組みましょう。
自然の恵みを心ゆくまで味わい、たまには時計を外してゆっくりと。贅沢なひとときを過ごす旅は、豊富町へ!
2020年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索