写真:浅井 みら野
地図を見るメインダイニングルーム・ザ・フジヤがある食堂棟は、1930年に皇室ご用達の建築家・木子(きご)幸三郎が手掛けたもの。
大工棟梁の家で生まれ育ち、和風だけでなく洋風建築にも精通していた経歴は、まさに日本におけるリゾートホテルの先駆けで、和洋折衷を兼ね揃えた富士屋ホテルにぴったりです。
写真:浅井 みら野
地図を見る有形文化財の雰囲気を壊さず、2020年7月に2年におよぶリニューアル工事が終了。壁は塗り直され、椅子も磨かれるなど、以前に比べて空間全体のトーンが明るくなりましたが、富士屋ホテルが大切にし、多くの宿泊客たちが好んできた昔ながらの趣きは健在です。
写真:浅井 みら野
地図を見る朝食・昼食・夕食と1日3回にわたってオープンし、宿泊せずとも富士屋ホテルの世界に足を踏み入れられるのが嬉しいところ。
一見、上品でこちらも背筋が伸びるような緊張感がありますが、それは部屋の柱から熱視線を注いでいる、あの彫刻のせいかもしれません…。
写真:浅井 みら野
地図を見るガッと見開かれた瞳が印象的で、宗教関連の人物かと思いがちですが、実は社長であった山口正造がモデルといわれています。
「従業員がきちんと接客するよう、社長自らが見張っているんですよ」と話す、従業員の松平さん。教育熱心であった先代社長の怖くも暖かな眼差しが今も部屋全体に注がれています。
写真:浅井 みら野
地図を見る破天荒でユニークと称された山口正造のこだわりは他にも。柱には日本家屋とは一味異なる鮮明な色使いで模様が描かれています。
山口正造は日光金谷ホテルを創業した金谷善一郎の次男で、豪華絢爛な日光東照宮も近所でした。あの煌びやかさを幼少時から目の当たりにしたことで、独特の色彩感覚が身に付いたのかもしれません。
写真:浅井 みら野
地図を見る新しいもの好きだった山口正造は日本で2番目に古いゴルフ場「千石ゴルフコース」を1917年にオープンさせます。そのエピソードを彷彿させるように柱にはスポーツを模した彫刻も。
他にも壁には十二支やライオンの彫刻も飾られ、子供だけでなく大人もぐるりと見渡したくなる楽しさです。
写真:浅井 みら野
地図を見るそして、メインダイニングルーム・ザ・フジヤで欠かせないのが高さ6mの天井一面に敷き詰められた日本画。渡部浩年(ひろとし)・本田蕉風(しょうふう)・大沼南圃(なんぽ)・梅荘(ばいそう)の4名の画家が手掛けた大作です。
写真:浅井 みら野
地図を見る159面の格間(ごうま)には日本アルプスの高山植物が636種類も描かれ、その多さには見上げながら口もポカンと開いてしまうほど。植物園で草花に囲まれているような、もしくは美術館で日本画の傑作を目の当たりにしてるような、不思議な気持ちにさせられます。
写真:浅井 みら野
地図を見る天井画の原画は花御殿のホテル・ミュージアムに展示されており、1本1本の細かな筆遣いが分かるほど近くで見ることができます。
写真:浅井 みら野
地図を見る天井画以外にもホテル・ミュージアムでは富士屋ホテルの歴史が年表で示され、名物の猫足バスタブや書物の展示も。
ホテル・ミュージアムとメインダイニングルーム・ザ・フジヤはともに宿泊客以外も訪れることができますので、立ち寄りスポットとして箱根の歴史に触れたり、明治から受け継がれた食事を堪能したり、と数時間の滞在でも富士屋ホテルを十分に満喫できます。
写真:浅井 みら野
地図を見る洗練された空間に留まらず、随所に盛り込まれた遊び心が唯一無二の空間を創り出す「メインダイニングルーム・ザ・フジヤ」。ついつい食事に意識が集中してしまいますが、周囲に目を配れば新たな発見と楽しさが盛りだくさんです。
ダイニングルームに続く廊下は橋を模しており、文字通り、橋渡し役として不思議の国へと誘います。ぜひ訪れた際は、伝統と奇想の狭間でとびきりなひとときを過ごしてみてははいかがでしょうか。
住所:神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下359 富士屋ホテル内
電話番号:0460-82-2211(受付時間 9:00〜20:00)
営業時間:
洋朝食 7:30〜10:00(L.O.9:30)
昼食 11:30〜15:30(L.O.14:00)
夕食 17:30〜22:00(L.O.20:00/予約制)
2020年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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この記事を書いたナビゲーター
浅井 みら野
イタリア生まれ、ドイツ育ちの日本人です。まだまだ知られていないけど、魅力的な土地を世界、国内問わず紹介しています。ヨーロッパ、アメリカ方面が多いですが、呼ばれればどこへでも。冬はゲレンデに出没すること…
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