写真:モノホシ ダン
地図を見る湯浅醤油の起源は、鎌倉時代に、湯浅に近い由良の興国寺の僧であった法燈国師が、中国の宋に渡り、入宋時に学んだ径山寺味噌(金山寺味噌)の製法を、湯浅の村民に伝えたことが始まりとされています。
このとき桶底に、偶然出来上がった上澄みの液が美味であることが着目され、湯浅醤油が誕生しました。江戸時代になると、湯浅の醤油造りは、紀州藩の手厚い庇護を受けて発展し、最盛期には92件もの醤油蔵が営業していました。
写真の「角長」は、江戸時代の1841年(天保12年)の創業で、湯浅では現存最古の醤油製造の老舗です。江戸末期に建てられた仕込蔵など醸造関連の建物は、いまも現役施設として稼働しています。
角長の裏手にある「大仙堀」は、別名“しょうゆ堀”とも呼ばれた湯浅湾の内港。江戸時代に造られ、醤油やその原材料の積み下ろしで賑わい、大正時代に、湯浅に有田鉄道が開通すると、港湾の積荷を鉄道で運ぶための「海岸駅」までが設けられました。
その後、1944年(昭和19年)に線路が撤去され、鉄道跡が道路になり、海岸も埋め立てられて現在に至っていますが、今も石積みの護岸に醤油蔵が立ち並ぶ景観は、港町に栄えた醤油醸造文化の歴史をよく伝えています。
写真:モノホシ ダン
地図を見る角長は、湯浅の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)の北町通り沿いにあります。北町通りと交差する浜町通りからは、正面に角長の建物が見えて、ここからの風景は、湯浅重伝建地区を代表する人気のフォトスポットのひとつです。
写真:モノホシ ダン
地図を見る角長は、今でも冬季のみの寒仕込みを頑なに守り、機械化に頼らない昔ながらの手作り醤油を続ける醤油蔵です。
角長自慢の「濁り醤(にごりびしお)」は、圧搾も加熱もせず、麹が原料を分解、2年以上丹念に熟成してできた、上澄みのみを取り出す、生の本醸造濃口醤油です。酵母の影響で、通常の醤油に比べ少し濁った色になることから名付けられ、完成までは約10年の歳月を要しました。
2015年(平成27年)わかやま国体開会式では、上皇・上皇后両陛下の行幸啓の折り、御夕食のメニューに、角長の濁り醤 3年熟成「匠」をお召し上がりいただく栄誉に浴しました。
写真:モノホシ ダン
地図を見るほかにおすすめでは、「日本遺産認定記念セット」が。手作り醤油徳利入との濁り醤に、巾着が付いたセットです。贈答用にもピッタリです。
<角長 本店の基本情報>
住所:和歌山県有田郡湯浅町湯浅7
電話番号:0737-62-2035
営業時間:9:00〜17:00
定休日:年中無休
アクセス:JR湯浅駅から徒歩約15分
車利用の場合は、湯浅御坊自動車道湯浅ICより約5分。専用駐車場利用
写真:モノホシ ダン
地図を見るショッピングのあとは、かつて実際に醤油の仕込蔵として利用されていた建物内に、昔から醤油製造に使用されていたさまざまな器具が展示されている「角長醤油職人蔵」を見学してみましょう。
写真:モノホシ ダン
地図を見る角長醤油職人蔵は、1866年(慶応2年)建築の仕込蔵で、陳列されている往時の醤油道具からは、古き蔵人達の労苦が偲ばれます。
写真:モノホシ ダン
地図を見る醤油製造の心臓部といわれるのが「仕込桶」(写真右)です。冬に隣の「麹室」から、約4日かけて完成した麹を取り出し、畚(ふご)に入れて塩水に浸け、櫂棒でよく混合します。4月〜5月頃より、諸味(もろみ)と呼ばれる醗酵が始まり、約1年3ヶ月で、丹精込めた熟成諸味が完成します。
ちなみに、現在の仕込桶は、コンクリートやホーロータンク、ビニールタンクなどに変わっていて、諸味も約5ヶ月で完成される近代工場が多いですが、当然のことながら味は落ちるとされています。
写真:モノホシ ダン
地図を見る職人蔵を見学したら、隣接する「角長醤油資料館」へ行ってみましょう。ここでは、醤油作りをジオラマやパネルで詳しく紹介しています。専門の係の方により、詳しい解説を受けることもできます。
<角長醤油職人蔵・角長醤油資料館の基本情報>
営業時間:9:00〜12:00、13:00〜17:00
日曜日のみ10:00〜12:00 13:00〜16:00
見学料:無料
写真:モノホシ ダン
地図を見る北町通りに面して、今も金山寺味噌の製造、販売を行っているのが、写真の「太田久助吟製」。築約150年以上前の建物で、江戸末期から戦前までは、醤油醸造業を営んでいました。テレビなどのメディアで紹介されることも多くとても人気のお店です。
写真:モノホシ ダン
地図を見る金山寺味噌は、炒った大豆を引き割り、これに麦を合わせ麹を作り、米麹と塩を加え、ナス、ウリ、ショウガなどを刻んで一緒に発酵、夏場で40〜50日、冬場で80〜90日ほど熟成させた「なめ味噌」のひとつです。キュウリやキャベツ、ダイコンなど生野菜につけて食べたり、パンや温かいご飯にのせても美味。
写真:モノホシ ダン
地図を見る和スイーツでは、「しょうゆまんじゅう」が。上質の自然薯を使い、あっさりとしたこし餡と、生地に角長の手作り醤油を練り込み、こんがりと焼き上げたもの。しょうゆを含んだ香ばしく素朴なこし餡がとても美味しいです。
<太田久助吟製の基本情報>
住所:和歌山県有田郡湯浅町大字湯浅15
電話番号:0737-62-2623
営業時間:9:00〜18:00
定休日:不定休
アクセス:JR湯浅駅から徒歩約15分
写真:モノホシ ダン
地図を見るおすすめのお食事処としては、大仙堀から道を挟んだ山田川沿いにある「湯浅 美味いもん蔵」が。1階が、紀州特産物センター「もってけ〜」、2階が、麻生十番 和処「きてら」湯浅店となっています。
写真:モノホシ ダン
地図を見る麻生十番 和処「きてら」湯浅店は、東京・麻生十番を本店とし、和歌山・湯浅はその姉妹店。店名の「きてら」は、和歌山弁で、来てくださいを意味する温もり豊かな言葉です。ここでは、紀州灘の魚や地元の農産物をふんだんに使った料理をいただくことができます。
写真は、湯浅名物のしらすを使った「しらす三昧定食」(1400円)。ほかに、角長の醤油と、太田久助吟製の金山寺味噌を使っています。
写真:モノホシ ダン
地図を見るしらす三昧定食は、釜揚げ・生・佃煮の三種のしらすを同時に食することができます。湯浅醤油と金山寺味噌とともに、豊かな海の幸を味わってみてください。
<湯浅 美味いもん蔵の基本情報>
住所:和歌山県有田郡湯浅町湯浅2708-5
電話番号:0737-63-2000
営業時間:
紀州特産物センター「もってけ〜」10:00〜17:00
麻生十番 和処「きてら」湯浅店 11:00〜17:00
定休日:水曜日
アクセス:JR湯浅駅から徒歩約20分
車利用の場合は、湯浅御坊自動車道湯浅ICより約5分。専用駐車場利用
いかがでしたか。醤油発祥の地「湯浅」には、全国初の醤油の醸造町として、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されている町並みがあります。今回、ご紹介した湯浅醤油の角長や金山寺味噌の太田久助吟製は、そのエリア内にあります。重伝建の町歩きも、あわせて楽しんでみてはいかがでしょうか。
2020年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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