写真:鎌倉 万里子
地図を見る鎌倉の別荘地としての名残を残す閑静な海街、由比ガ浜エリア。
JR鎌倉駅からタクシーで6分、江ノ電由比ヶ浜駅から徒歩1分、由比ガ浜海岸まで徒歩5分の好立地に静かに佇む洋館「かいひん荘鎌倉」は、著名人や文化人に愛された鎌倉屈指の歴史ある旅館。
大正13(1924)年、富士製紙社長・村田一郎別邸として建てられた洋館が、戦後、鎌倉のリゾートホテルとして開業しました。
旅館の前は、由比ヶ浜海岸に通じるせまい通路となっているのでご注意を。駐車場も限られていますので事前に空きの確認が必要です。
写真:鎌倉 万里子
地図を見る建物は、当時流行した和風を主体とした洋館付大規模住宅建築物。数多く設けられた出窓と急勾配の切妻屋根、そしてその上にかけられた丸屋根の華やかな外観が特徴。
館内では、木のぬくもりの数寄屋造りの和館と大正浪漫の香り溢れる洋館の両方の雰囲気を楽しむ事ができます。
写真:鎌倉 万里子
地図を見る古き良き邸宅の雰囲気を残す入口左側のフロントには、鎌倉彫などの厳選された鎌倉土産が並んでいます。
履物を脱ぎ、時を超えた大正浪漫の邸宅へ、いよいよ入ってみましょう。
写真:鎌倉 万里子
地図を見る入口右側には、鯉のいる池を眺めながらくつろげる、往時をしのばせるソファセットの空間があり、大正時代の洋館邸宅の雰囲気にあふれています。
鎌倉の閑静な立地と風情ある洋館のかいひん荘が、文化人に愛されたのもうなずけますね。
写真:鎌倉 万里子
地図を見る「こうげつてらししょうふうふく」と、入り口脇に飾られていたのが、1964年に内閣総理大臣に就任した、佐藤栄作氏の為書きです。
佐藤氏は、総理大臣時代に、現在の「鎌倉文学館」を別邸としており、かいひん荘は番記者(総理大臣付き記者)の定宿となっており、たびたび記者会見が行われました。
写真:鎌倉 万里子
地図を見る出窓やランプなども当時のまま。大正浪漫溢れるクラシックな洋館建築美を肌で味わい、滞在することができる今では貴重な館内。
昭和50年代には、20世紀を代表するピアニスト・スヴァトスラフ・リヒテル氏が、日本公演と保養を目的として数回に渡って来館。愛用のヤマハのピアノを持ち込み、有形文化財の「洋室らんの間」に逗留しました。
また、鎌倉出身の女優の鶴田真由さんは、母方の親族が「かいひん荘鎌倉」にゆかりがあり、「NHKファミリーヒストリー」で放送され話題となりました。
写真:鎌倉 万里子
地図を見るフロント奥に広がる、木のぬくもりのある数寄屋造りの和館。落ち着いた和の空間は、ここが首都圏から電車で1時間ほどしかかからない場所であることを忘れてしまいそう。写真は、1階は坪庭、2階は木々のある緑の庭園を眺めることができるスタンダードな和室。
歴史がある建物ですが畳は新しく、室内のバストイレはきれいにリニューアルされて気持ち良く滞在することができます。
他に、庭付きの特別室や和洋室、グループ部屋などもあり、それぞれに赴きある和室となっています。
写真:鎌倉 万里子
地図を見る1日1組限定の洋館2階にある、国登録有形文化財の洋室「らんの間」は、大正浪漫の雰囲気漂うリビング付きのゲストルーム。庭園に面した出窓、アール・ヌーヴォー調の家具や装飾品など、大正時代のインテリアがそのまま残されています。
ピアニストのリヒテル氏が、日本公演と保養を目的に長期滞在した部屋としても有名です。彼は練習の合間に、鎌倉の神社仏閣を訪ね歩き、楽しんでいたそうですよ。
写真:鎌倉 万里子
地図を見るかいひん荘は、温泉ではないのですが、鎌倉では珍しく純和風の大浴場があり、男湯は情緒ある日本庭園が眺められ、女湯は2015年にリニューアル、石造りの浴槽でゆったりとくつろぐことができます。
到着後、美味しい夕食を楽しみに、入浴へ。浴衣に着替えて、夕食を待つひとときは、日本の宿ならではのほっとする癒しと寛ぎですね。
写真:鎌倉 万里子
地図を見る「かいひん荘」といえば、建物のほかに、美味しい懐石を楽しみに訪れる人も絶えません。地元鎌倉では、結納や結婚式など人生の節目、または美味しい食事を堪能したい時など、さまざまに利用されています。
宿泊ではお部屋食でゆったりと供されます。お部屋係の方が、懐石の素材や、「かいひん荘」の歴史を語りながら用意してくれることも。
準備が終わると、テーブルの上に華やかに宝石のように並べられた懐石の美しさにまず、驚きます。
先付は、寄せ鱈子、〆鯵、土佐酢ジュレ。前菜は、車海老芋寿司、石垣南瓜、山桃ゼリー、穴子八幡巻き。添えられた「本日のお献立」を見るだけでもその繊細さ、華やかさが伝わりますね。
写真:鎌倉 万里子
地図を見る献立は、どれを食べても素材の美味しさが口いっぱいに広がり、「かいひん荘」の懐石料理の美味しさ、奥深さを改めて感じることができます。使用する野菜は日本全国の産地からこだわり、食感が一番美味しい形で味わう事ができ、脱帽。
また、鎌倉らしく新鮮なお造りは、一切臭みがなくコリコリとした刺身の美味しさ、甘さだけを味わえる逸品。
近隣でも美味しい魚介類は食せますが、ここまで繊細で新鮮な刺身は、まさに「かいひん荘」でしか味わうことができません。
写真:鎌倉 万里子
地図を見る心も体もゆっくりと休んだ翌朝は、ぜひ1階のラウンジを訪れてみましょう。
ラウンジ入口左には、「この建造物は貴重な国民的財産です」と書かれた「登録有形文化財」の文化庁からの案内版が掲げられています。
写真:鎌倉 万里子
地図を見る絨毯張りの洋間の中に一歩入ると、ソファセットやテレビなど往時の家具調度品が置かれ、映画に出てくるような雰囲気ある大正浪漫の世界!
そして室内に流れてくる美しいピアノの音。リヒテル氏にちなんで、このラウンジには静かで美しいその音色をBGMとして流しています。
テーブルには、「かいひん荘」の歴史を綴った記事が置かれていますので、当時に思いを馳せながら読んでみるのもお勧めですよ。
写真:鎌倉 万里子
地図を見るラウンジ奥の小部屋のカウンターには、朝は宿泊者が飲めるように、セルフのコーヒーが準備されています。
出窓から鎌倉の朝日が差し込む大正浪漫の洋館。その一室でコーヒーをいただきながら、リヒテルのピアノの音色に耳を傾けるひととき。
日常とかけ離れた「かいひん荘」で味わう事が出来るこんな癒しの時間。宿泊してぜひ味わってみませんか?
かいひん荘鎌倉は、鎌倉観光へのアクセスもとてもよい立地です。早朝にぜひ訪れてみたいのが、住宅街を抜けて5分ほどの、さわやかな朝の由比ヶ浜海岸。湘南では比較的水がきれいで遠浅の海岸には、朝は小魚の姿も見られ、網ですくう子どもの姿も。
海岸からは、古民家カフェのある坂の下地区や極楽寺坂を抜けて成就院方面への散策、長谷寺や鎌倉大仏のある長谷エリアへも徒歩圏内です。
海水浴や鎌倉観光にも大変便利なかいひん荘鎌倉。大正浪漫と美食、そして鎌倉の観光名所の散策を楽しみに、次回ぜひ訪れてみませんか。
2020年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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