写真:花月 文乃
地図を見る生駒ふるさとミュージアムの建物は、1933年(昭和8)に南生駒小瀬の大工・中川吉治郎により設計され、1959年(昭和34)に新庁舎ができるまで、この場所で生駒町役場として使われていました。
途中、中央公民館や中央公民館別館に転用されますが、2010年(平成22)に「旧生駒町役場庁舎」として国の登録有形文化財に登録され、2014年(平成26)に生駒ふるさとミュージアムは開館しました。
写真:花月 文乃
地図を見る中央公民館として転用された際、一部改修されましたが、意匠面での主要部分はそのまま残されています。
外観の特徴は、外壁の下見板張り(したみいたばり)・正面の車寄せ・正面中央と左右に配置された入母屋破風(いりもやはふ)です。
下見板張りは、長い板材を板の下端がその下の板の上端に少し重なるように横張りした外壁で、当時の公共建築に一般的に採用されました。
車寄せは、入口前に車を寄せて乗降するために設けられた屋根付き部分です。入母屋破風はお城の天守閣や寺社建築などに見られる屋根の形です。
写真:花月 文乃
地図を見る建物は、社寺建築の伝統様式にアレンジを加えた意匠とともに、入母屋破風の堂々とした構えを持つ和風官庁建築の好例と評価されています。
建物自体の文化的価値と共に、旧生駒町役場庁舎で郷土資料に触れられることが魅力の一つとなっています。
写真:花月 文乃
地図を見る展示室では、生駒の歴史と民俗を紹介する入場無料の常設展示がされています。
生駒には、西畑遺跡・萩原遺跡などの遺跡や市内で唯一確認されている竹林寺古墳(前方後円墳)があります。考古展示では、弥生時代から室町時代までの、生駒の遺跡や古墳、窯跡、城跡からの出土品がみられます。
市内には須恵器や瓦を焼いた窯跡が点在し、総称して「生駒古窯跡群」と呼ばれています。生駒市の西部には標高642mの生駒山があり、窯は山裾の斜面を利用してつくられるため、地形的に窯業に適していたと考えられます。
生駒市は奈良時代後期から平安時代はじめまで、平城京で使用される須恵器や瓦の一大生産地だったことが、窯跡の出土品からわかっています。
写真:花月 文乃
地図を見る歴史では、傘型連判状、役行者版木、行基菩薩行状絵伝(複製)などが展示されています。
役行者は、7〜8世紀に奈良を中心に活動していたといわれる修験道の開祖です。生駒山は、古来より修験の山とされ、その周辺には役行者が鬼退治を行ったという伝説があります。
行基(668〜749)は奈良時代の僧で、朝廷からの弾圧にもめげず難民救済や土木事業に奔走し、民衆から行基菩薩と慕われました。行基は、生駒に山林修行道場「生駒院」を建立、遺言により生駒山の東陵で火葬されました。生駒の竹林寺には国指定史跡「行基の墓」があります。
写真:花月 文乃
地図を見る傘型連判状は、幕末の1868年(慶応4)に領主の圧政に対しておこした「矢野騒動」と呼ばれる一揆で作成された本物の連判状です。
中心となったのは小瀬村の宮大工・与平といわれています。与平は、旧生駒町役場庁舎(現・生駒ふるさとミュージアム)を設計した中川吉治郎の祖父にあたります。傘型連判の一つの円が一村で、11あった村のうち7村分の連判状が残っており、生駒市指定有形文化財に登録されています。
子供達には自由研究のテーマで生駒の考古と歴史を学んだり、不思議な伝説を残した役行者を知ることができる展示となっています。
写真:花月 文乃
地図を見る常設展で展示されている民俗資料は、大正〜昭和時代にかけて生活で使われていた民具が中心です。
写真:花月 文乃
地図を見る旧生駒町役場庁舎で使われていた瓦も展示されています。
かつて盛んだった民俗芸能の貴重な資料が、乙田村(現・萩の台)の乙田浄瑠璃の見台です。
乙田村は、暗越奈良街道(くらがりごえならかいどう)など街道筋の要所だったことから人形浄瑠璃が発展、江戸末期から昭和初期の約100年間続いたといわれます。乙田浄瑠璃の謡本や人形は奈良県の有形民俗文化財に指定されています。
写真:花月 文乃
地図を見る生駒の主な生業は、近世以降昭和まで米作りでした。ここでは鍬や鋤だけでなく、唐竿(からさお)・足踏み脱穀機・筵機(むしろばた)・唐箕(とうみ)・万石通し(まんごくどおし)といった現代の日常生活では目にすることがない農具も見ることができます。
スマホやAIが当たり前の子供達にも、展示物から昔の人達の暮らしがどのようなものだったかが学べます。
写真:花月 文乃
地図を見る郷土情報室は、旧町役場で町長室として使われていました。部屋には懐かしい生駒の写真が展示してあります。中には、かつて町役場として使われていた時代の写真もあります。
写真:花月 文乃
地図を見る貸し出しはされていませんが、本棚には生駒〜奈良全域の文化財・民俗学・考古学に関する書籍や郷土資料があり、ビデオはパソコンで閲覧できます。
郷土情報室の向かいにある資料閲覧室は、旧町役場で来客用の応接室として使われていました。資料閲覧室にも、歴史・民俗・考古等の書籍があり、自主学習に使うことができます。
写真:花月 文乃
地図を見る郷土情報室と資料閲覧室に向かう途中の廊下にも、地域に関連する書籍や、調査報告書が並んだ本棚があり、ソファーに座ってくつろげる図書閲覧スペースがあります。閲覧だけでなく販売している書籍もあります。
写真:花月 文乃
地図を見る作業体験室は職員宿直室や用務員室として使われていました。ここでは、土笛づくりや勾玉づくりの体験学習ができます。体験学習は子供達におすすめです!
土笛は粘土を丸めてオーブンで焼いてつくります。所要時間は30〜45分程度です。
勾玉づくり体験で使う石は柔らかな天然鉱物の滑石(かっせき)を紙やすりで削って形をつくります。最後に染色液につけて色付けし、紐を通して完成です。小さなお子さまでもご家族のお手伝いがあればつくれます。所要時間は45分〜1時間程度です。
費用はどちらも300円。勾玉はその日のうちに持ち帰れますが、土笛は乾燥させてオーブンで焼くため2週間後に受け取りに来てもらいます。(※郵送はおこなっていません)
写真:花月 文乃
地図を見る受付ではお茶やコーヒー(各150円)を販売しています。生駒石や室山寺町石がある中庭の縁側では、飲み物を飲んでくつろげます。
生駒ふるさとミュージアムでは、常設展の他に年2回ずつの企画展と特別展(どちらも有料)とその時々のテーマに沿った企画展示室での展示(無料)を行っています。
写真:花月 文乃
地図を見る他にも、講演会やセミナー、子供向けのイベントなども開催しています。館内には、ガチャガチャもあります。
奈良というと東大寺がある奈良市をイメージされる方が多く、生駒市に住んでいる方も、ベッドタウンとしか認識がないかもしれません。
生駒ふるさとミュージアムは、生駒市を知らない人が歴史や文化を学べるだけではなく、知っている人にも、生駒を違った角度から再発見できる、子供から大人まで楽しめるミュージアムです。
近鉄生駒駅までのアクセスは、大阪中心部から近鉄電車で約20分、奈良からは約15分、京都・神戸からは約1時間程度です!ぜひ、一度足を運んでみてください。
住所:奈良県生駒市山崎町11-7
電話番号:0742-71-7751
アクセス:近鉄奈良線生駒駅より徒歩15分
2020年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/10/11更新)
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