中目黒駅からもすぐ!江戸名所や富士山とも縁深い別所坂めぐり

中目黒駅からもすぐ!江戸名所や富士山とも縁深い別所坂めぐり

更新日:2020/08/26 16:33

雲本 らてのプロフィール写真 雲本 らて 散歩ブロガー、坂道探検家
富士山と縁深い坂道は都内に数箇所あり、東急東横線・中目黒駅からすぐの場所にも存在しています。別所坂という名で知られ、坂道から直接富士山が見えるというわけではありませんが、江戸時代から存在する坂道です。また別所坂はタモリさんを含め坂道マニアも認める良坂です。今回はそんな別所坂と界隈の史跡について根掘り葉掘り取り上げてみたいと思います。

別所坂とは?

別所坂とは?

写真:雲本 らて

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「別所坂」は、東急東横線・中目黒駅から西へ徒歩8分ほどの場所にあります。にぎやかな駅前とは違って落ち着いた住宅街にあり、坂下には目黒川が流れています。坂名は、このあたりの地名だった「別所(べっしょ)」に由来していると言われています。

また別所坂は、江戸時代、麻布辺りから当時の行楽の地でもあった目黒に入る近道として重要な交通路でもあったそうです。

別所坂とは?

写真:雲本 らて

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別所坂は、中目黒駅の西側に広がる淀橋台の高台から目黒川の谷に面した急斜面を掘削して人が通れるようにした切り通しの坂道です。坂上に行くほど急坂になり、そのため形状もS字を描いていることもあり、歩いていて楽しい坂道です。

なお別所坂は、タモリさんが自著「タモリのTOKYO坂道美学入門」にて、おすすめの坂道としても取り上げており、国内の坂道でも5本の指に入る良坂として絶賛しています。

別所坂と庶民信仰

別所坂と庶民信仰

写真:雲本 らて

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別所坂の坂上あたりはかなりの急坂で、景観的にも切り通しの坂道ということが感じられるポイントです。急勾配なので疲れてしまい、歩いているとあまり意識できないかもしれないですが、江戸時代の人々もこの切通しの急坂を上り下りしたんだなあと想像しながら歩くとまた違った視点が得られるかもしれないですね。

別所坂と庶民信仰

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坂上あたりには、別所坂・庚申塔も残されています。庚申塔は6基あり、庚申を信仰する庚申講の人たちが1665年から1764年頃に建てたものだそうで、病気や悪い鬼を追い払うという青面金剛像に三匹の猿や日月、二羽の鶏が彫られています。

別所坂と富士山

別所坂と富士山

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別所坂は坂上までやってくると景色がひらけてきます。現在はまわりの建物があるため想像できないかもしれませんが、かつては富士山も坂上から見えたそうです。そのため昔から富士山が眺められる景勝地として知られていました。

別所坂と富士山

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坂上には「目黒の“新富士”と新富士遺跡」と書かれた案内板も設置されています。江戸後期に蝦夷(えぞ)・千島を探検した幕臣近藤重蔵が、このあたりに自邸をかまえ敷地内に立派なミニ富士を築造したことで、目切坂上の”元富士”に対して”新富士”という名で呼ばれ、大勢の観光客が訪れ、この地が江戸時代から名所だったことを記録・説明している案内板です。

なお案内板には、広重が描いた浮世絵『目黒富士 山と眺望』もプリントされています。浮世絵には江戸時代のこのあたりの景色や近藤重蔵が築造したミニ富士(=新富士)も描かれており、当時の雰囲気を想像するのにはうってつけだと思います。ぜひ現地では案内板も探してみてください。

別所坂児童遊園の史跡

別所坂児童遊園の史跡

写真:雲本 らて

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別所坂の途中に、別所坂児童遊園へとのぼる階段もあります。このあたりの高低差具合を象徴するような長い階段で、途中からは景色もひらけてきて眺望も抜群です。また階段を上りきったあとの園内からの眺望もすばらしいですので、気になる方は長い階段ですがぜひチャレンジしてみてください。

なお、別所坂児童遊園内(南側)にも、ミニ富士(=新富士)に関する案内板が設置されています。それによると新富士は、昭和34年に取り壊されたとのこと。さらに案内板のすぐそばには、かつての新富士の山腹にあった石碑が3つそのまま移転保存されており、かつてこの地にあったミニ富士の記憶を現在に継承しています。

目黒川散策

目黒川散策

写真:雲本 らて

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別所坂の坂下を目黒川のほうに歩いていくと、かつての重要な交通路でもあった旧道(田道庚申塔通り)に沿うように遊歩道も設置されています。春になると川沿いの桜並木も楽しめますし、普段でも川の景色を堪能できますので、別所坂とあわせて歩くと楽しいと思います。

目黒川散策

写真:雲本 らて

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旧道沿いにある田楽橋から中目黒駅方面を望むと、目黒川とともに目黒川船入場も見えます。昔はこのあたりまで船が上ってきていた記憶を現在に伝えている場所ともいえます。

なお、目黒川船入場には以前、「川の資料館」という目黒区の資料館がありましたが、現在は閉館しています。ただ川の資料館に展示されていた一部の資料は、ここからすぐの場所にある中目黒公園内にある「花とみどりの学習館」に移転されています。

今回は、東急東横線・中目黒駅からもすぐの場所にある別所坂と周辺の史跡などについて取り上げてみました。坂道から直接富士山が見えるというわけではありませんが、ここは知る人ぞ知る富士山と縁深い史跡が残っています。普通に歩いているだけでは気がつきにくいですが、今回のようなガイド記事片手に歩くと新たな発見もあるかと思います。ぜひ試してみてください。

別所坂の基本情報

住所:東京都目黒区中目黒1丁目と2丁目の間
アクセス:東急東横線・中目黒駅より徒歩8分

2020年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。

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