竜の眠る海岸!?土佐清水がおくる天下の奇岩奇勝「竜串海岸」

竜の眠る海岸!?土佐清水がおくる天下の奇岩奇勝「竜串海岸」

更新日:2020/08/28 18:39

Mayumi Kawaiのプロフィール写真 Mayumi Kawai 絶景ハンター、トラベルライター、自称ミステリーハンター
高知県南西部の土佐清水市といえば足摺岬。その足摺岬に匹敵する奇岩奇勝の絶景スポット「竜串海岸」をご存知ですか?

「地質の博物館」と謳われるほど多彩な奇岩が連なる竜串海岸は、その名のとおり、まるで竜が横たわって串刺しにされているかのような奇観を見せています。

奇岩ついでに日本最大級のシコロサンゴや色とりどり海中庭園も楽しめる魅力満載の竜串海岸へ今度遊びに出かけてみませんか?

美しい海と奇岩が織りなす奇勝「竜串海岸」とは

美しい海と奇岩が織りなす奇勝「竜串海岸」とは

写真:Mayumi Kawai

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高知県南西部、土佐清水を代表する足摺岬から北西へおよそ25km、風光明媚なビーチに隣接するのが「竜串(たつくし)海岸」です。足摺宇和海国立公園に属し、かつ日本初の海域公園に指定された「竜串海域公園」内に属するこの海岸は、およそ2,000〜1,500万年もの昔に堆積した砂岩や泥炭層が風化や海蝕によって削り出した天下の奇岩奇勝スポットです。

美しい海と奇岩が織りなす奇勝「竜串海岸」とは

写真:Mayumi Kawai

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竜串の名の由来は諸説あり、一つは上空から見た景観が横たわる竜を串刺しにしたような姿だったという説、もう一つはアイヌ語の「美しい所」を意味する「ツクシ」が転じたとする説、さらには竜串海岸の背後にそびえる臥竜山の呼び名が「竜(たつ)臥し(ふし)」から「たつくし」に転じたとする説が有力とされています。いずれにしても、奇岩が織り成す奇怪な光景はまるで竜が宿っているような、まさに“竜の眠る海岸”のようです。

美しい海と奇岩が織りなす奇勝「竜串海岸」とは

写真:Mayumi Kawai

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竜串海岸のスタート地点は竜串観光案内所前の駐車場脇から。一周およそ30〜40分で、出口は土佐清水市唯一の指定海水浴場の桜浜です。桜浜はその水質の良さと透明度の高さで、夏のシーズンは多くの海水浴客で賑わっています。

竜串海岸は一部遊歩道が整備されているものの、岩場を直接歩くことがほとんどです。滑りにくい砂岩とはいえ履き慣れた靴をおすすめします。また、満潮時や波が高いときには決して立ち入らないようにしましょうね。

「地質の博物館」と呼ばれる竜串海岸の奇岩たち

「地質の博物館」と呼ばれる竜串海岸の奇岩たち

写真:Mayumi Kawai

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途方もない年月をかけて生み出されたこの海岸では、地質学的にきわめて重要で稀少な数々の石の現象を観察することができます。たとえば、何かの生物が核となって丸く固まった石の塊(ノジュール)や、生物の行動(巣穴など)の痕跡が化石となった生痕(せいこん)化石、波紋が刻まれ化石となった漣痕(レンコン、リップルマーク)、砂岩の隙間に海水が染み込んで表面が剥がれ落ちた蜂の巣状の石(タフォニ)など。別名「地質の博物館」と呼ばれるのもうなずけますね。

「地質の博物館」と呼ばれる竜串海岸の奇岩たち

写真:Mayumi Kawai

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特徴的な奇岩にはユニークな名前が付けられています。たとえば画像は「大竹小竹」。海岸に横たわる節くれだった大小の棒状の巨岩が竹に似ていることからそう名付けられました。しかし、その姿は竹というよりもむしろ竜または恐竜の化石、想像力を働かせると神話に登場する巨神兵の骨にも見えてくるからふしぎです。

そのほか、日本家屋の欄間に似た「らんま石」、幕を絞ったような「しぼり幕」、岩の上に現れた無数の生痕化石をカエルに見立てた「蛙の千匹連れ」、古代の鉄兜に見立てた「かぶと石」、人が横になって寝ているような「座頭の昼寝石」などが挙げられます。

「地質の博物館」と呼ばれる竜串海岸の奇岩たち

写真:Mayumi Kawai

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無数の穴が空いた蜂の巣状の地層。まるで現代アートを見ているような圧巻の自然の造形美ですね。

竜串海域公園のハイライト「見残し海岸」

竜串海域公園のハイライト「見残し海岸」

写真:Mayumi Kawai

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竜串海域公園のハイライトともいえるのが竜串海岸の対岸に広がる千尋岬(ちひろみさき)の「見残し海岸」。

歩いていくにはあまりに険しく難所であったことから、かの弘法大師すら“見残した”と伝えられる場所で、今日ではグラスボートでのみアクセスが可能です。

竜串海域公園のハイライト「見残し海岸」

提供元:NPO竜串観光振興会

http://tatsukushi-kankou.com/地図を見る

竜串海岸からグラスボートでおよそ20分。遊歩道の一周はおよそ1時間程度。約2,500〜3,000万年前の地層から生まれた自然のアートは、竜串海岸とはまた違ったスケールと表情で楽しませてくれます。

こちらも特徴的な岩にはユニークな名前がつけられ、たとえば画像は高さ5m以上もある「蜂の巣城」。このほか、人魚が座っていたと伝えられる岩穴の「人魚御殿」や大きな穴に石紋が刻まれた「渦巻岩」、見残しのハイライトを飾る巨大な「屏風岩」など実にバラエティに富んだ奇勝探検が楽しめます。

竜串海域公園のハイライト「見残し海岸」

提供元:NPO竜串観光振興会

http://tatsukushi-kankou.com/地図を見る

見逃せないのは、見残し湾の海底に広がる日本最大級のシコロサンゴ群体。シコロサンゴとは温暖な気候かつ波が穏やかな湾内、そして水深5〜15mほどの浅めの砂泥底に生息する格子状のサンゴのことです。シコロサンゴ群体は高知県の天然記念物にも指定されています。

黒潮の影響で、年間を通じてダイビングが楽しめるほど温暖な気候に恵まれた高知の海。珍しいシコロサンゴをはじめ色とりどりのサンゴ礁や熱帯魚が舞う海中庭園を船の上に居ながら観察できてワクワクしますね。
※グラスボートに関する詳細は記事末尾の関連MEMOをご参照下さい

竜串・見残しのことは「竜串ビジターセンターうみのわ」へ

竜串・見残しのことは「竜串ビジターセンターうみのわ」へ

写真:Mayumi Kawai

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竜串海岸から目と鼻の先にあるのが「竜串ビジターセンターうみのわ」。足摺宇和海国立公園唯一のビジターセンターとして2020年3月にオープンした新しい教育学習施設です。

竜串や見残し海岸含む同国立公園内に見られる地質学的な歴史、海洋の現象、海の生態系から海の幸の漁獲量まで、ジオパーク的な視点からさまざまな情報が集められ、パネルやジオラマ、デジタルサイネージなどを駆使して分かりやすく解説されています。

竜串・見残しのことは「竜串ビジターセンターうみのわ」へ

写真:Mayumi Kawai

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同ビジターセンターではコンシェルジュによる観光のアドバイスから、大人から子どもまで楽しめる教育プログラム、各種イベントなどが開催されています。施設入口には「今日の竜串」と称して本日の天候や波の高さ、満潮・干潮時間などが示された情報ボードが展示されています。

こちらで予備知識を仕入れてから海岸散策へ赴けば、安心安全かつより広い視野で自然の驚異が楽しめますね。

<竜串ビジターセンターうみのわの基本情報>
住所:高知県土佐清水市三崎字今芝4032-2
電話番号:0880-87-9590

竜串に誕生した「幸せの黄色い、祈願、奇岩ポスト」

竜串に誕生した「幸せの黄色い、祈願、奇岩ポスト」

提供元:NPO竜串観光振興会

http://tatsukushi-kankou.com/地図を見る

2020年7月11日、竜串観光案内所前の駐車場脇に設置されたこの黄色いポスト。その名も「幸せの黄色い、祈願、奇岩ポスト」。奇岩=祈願にかけた単なるダジャレと思うなかれ、きちんと除幕式も行われ魂込められた、霊験あらたかな願掛けポストなのです。ぜひ、竜串海岸訪問の際には、たまには手書きで文をしたためて、大切な人に送ってみてはいかがでしょうか。想いが届くかもしれませんよ。

竜串海岸の基本情報

住所:高知県土佐清水市竜串23-8
電話:0880-85-0137(NPO竜串観光振興会)
アクセス:
(車の場合)高知市内から高知自動車道経由で約2時間50分
(バスの場合)高知西南交通より高速バス「しまんとライナー(高知線)」竜串直行で約3時間半
(電車の場合)高知駅からJR特急に乗り中村駅下車、所要約1時間45分、高知西南交通の路線バスに乗り換え、「竜串」バス停下車で約2時間

2020年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2020/08/02 訪問

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