写真:Mayumi Kawai
地図を見る栃木県佐野市の中心から北西へおよそ10km、閑静な住宅街の一角にたたずむのが出流原弁天池(いずるはらべんてんいけ)です。
周囲約138m、歩いてもわずか3分程度の小さな丸池は、池の底に眠る古生層石灰岩の亀裂から湧き出た清水によって生まれ、厚い地層のフィルターで濾過された湧き水は一年を通じて水温16℃に保たれています。こんこんと湧き出るその豊富な水は、付近の料亭や豆腐工場、養魚場や灌漑用水などに使用されています。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る見てください!この驚くほどの透明度!合成ではありません、正真正銘、見たままの画像です。池を泳ぐ鯉たちがまるで宙を舞っているかのように水が澄み渡っています。
この美しい池の姿が2020年夏、SNSのある投稿をきっかけに注目され、大手メディアニュースにも取り上げられたことで人気に火がつき、今ではひと目見ようと多くの観光客が訪れています。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る出流原弁天池の湧水は環境省選定の「名水百選」ならびに県の天然記念物にも指定された県屈指の名水です。何よりこの神がかった美しさは、地元観光協会や地域のボランティア団体による月1回の欠かさぬ池内清掃の賜物なのです。
そして、池の背後にそびえる小高い山には佐野七福神のひとつ・磯山弁財天が、池の隣には湧釜(わっかま)神社が祀られ、ここはまさに神の聖域。訪れた人が口々に“もののけ姫の世界のよう”とため息をもらすほど神秘的な姿をたたえています。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る出流原弁天池を見守るように山の上に建てられた磯山弁財天。天暦2年(948年)、当時下野国を治めていた武将・藤原秀郷が創建。五穀豊穣、家内安全、商売繁盛にご利益があり、金運のパワースポットとしても知られています。
この威風堂々たる鮮やかな朱色の楼門、どこかで見覚えありませんか?あの「千と千尋の神隠し」に登場する神々の湯治場「油屋」にどことなく似ていると評判です。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る楼門から急な石段を130段ほど上がると、そこには三層桜舞台造りの真っ赤な弁天堂が鎮座しています。本殿は京都清水寺で有名な懸造(がけづくり、山や崖など斜面に一部張り出して建てる建築様式)となっており、そこから佐野市街を一望できます。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る弁天様は蛇や龍の化身ともいわれ、白蛇はその使いとされています。白蛇は最高の霊力を有し、脱皮を繰り返す姿は再生のシンボルかつ生命の源、また出世や富をもたらす縁起の良い生き物として厚く信仰されています。磯山弁財天では、境内の至るところにとぐろを巻いた大小の白蛇像を見ることができます。
特に、本殿入口に祀られているこの白蛇様には、感謝と労りの気持ちで気になるところをさすると幸運がもたらされるといわれています。ぜひ念じて試してみてくださいね。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る出流原弁天池のお隣に鎮座するのは「湧釜(わっかま)神社」。水の神、子守りの神として地域に愛される神社です。
写真:Mayumi Kawai
地図を見るかつて「人丸様」と呼ばれたこの神社。昔々、水不足に悩まされた住民が雨乞いをすると、どこからともなく白い着物の老人が現れ、持っていた杖で岩を突くと水がこんこんと湧き出たという伝承が残されています。また出流原はかつて「湧釜原」とも呼ばれていたと伝えれ、それが現在の「湧釜神社」の由来になったといわれています。
境内にはおみくじもあるほか、池のほとりに建てられた福寿荘売店にて御朱印とお守りが取り扱われています。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る磯山弁財天入口から出流原弁天池まで遊歩道が整備され、30〜40分程度の軽い森林浴トレッキングが楽しめます。小さな山ですが、未舗装の坂が続くため、履き慣れた靴で、無理のないペースで登りましょう。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る15分ほど登ると休憩所の東屋に到着。そこには三峯神社と雷電神社の小さな祠が祀られています。共に災厄を祓い、出世や商売繁盛などに霊験あらたかな神様、まずはお参りしてからひと休憩しましょう。
写真:Mayumi Kawai
地図を見るちなみに、磯山弁財天の本堂裏側および楼門近くには風穴洞があり、一年を通して岩の割れ目から冷涼な空気が吹き出しています。猛暑の夏にはありがたい天然クーラー、ぜひ顔を近づけてみてください。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る池のほとりに建っているのが、まちの駅を兼ねた「福寿荘売店」。こちらでは池の鯉の餌や昔懐かしい駄菓子におもちゃ、夏の季節はかき氷やところてん、軽食のうどんなどを取り扱っています。中でも人気アイテムは佐野市民のソウルフード「いもフライ」です。
<福寿荘売店の基本情報>
住所:栃木県佐野市出流原町1264
電話:0283-25-0410
営業時間:10:30〜17:00
休日:月曜及び悪天候日※月曜日が祝日の場合は営業
写真:Mayumi Kawai
地図を見るホックホクの揚げたてじゃがいもに甘辛濃厚ソースをからめた串揚げいもフライは、なんとお値段一本100円!もう一つのご当地グルメはオレンジ色の寒天に黒蜜をかけていただく「カンロ」。いずれも素朴で懐かしい味わいです。ぜひテラスでのんびり池を鑑賞しながら佐野グルメを味わってみてください。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る出流原弁天池の湧水は無料でお持ち帰りできます。弁天池向かいのホテル一乃館入口横に飲料用の給水所があるので興味がある方は容器を持参しましょう。忘れた方は福寿荘売店にポリタンクが200円で販売されています。また、一乃館のレストランでは名水コーヒーや名水あんみつなども楽しめます。
出流原弁天池のベストショットを狙うなら、やはり午前の早朝がおすすめ。特に、雨上がりの早朝は朝もやが池に立ち込め、まるでシシ神の森のような神秘的な世界が現れます。ぜひ今度、この栃木県佐野市の隠れ名水スポットへ遊びに訪れてみませんか。
住所:栃木県佐野市出流原町1117
電話番号:0283-25-0228(出流原弁財天観光協会)
アクセス:
(車の場合)北関東自動車道・佐野田沼IC出口より約8分
(バスの場合)両毛線佐野駅から佐野市生活路線バス「さーのって号」運動公園循環路線「佐野松桜高校」下車(所要時間15分)、徒歩約23分
※近くまで行く公共交通機関がないため、車あるいはタクシーの方が便利
2020年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2025/2/11更新)
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