写真:土庄 雄平
地図を見る今回紹介する「羅臼湖」は、世界遺産・知床半島の知西別岳(ちにしべつだけ)の麓に位置する淡水湖。標高は約740mに位置しており、周囲の長さは約4kmと、知床五湖の各湖を超えて、知床国立公園で最大の湖となっています。
しかしながら、この周囲は深い樹林帯に遮られ、ヒグマに出会いかねない場所。長らく登山道が存在しなかったことから、人を寄せ付けない"幻の湖"とまで呼ばれていました。
写真:土庄 雄平
地図を見るしかし近年、知床半島を東西につなぐ知床横断道路の途中から、この「羅臼湖」へ向かう登山道が整備され、ハイキングを楽しむことが可能に!また、この登山道は羅臼湖以外にも、二の沼から五の沼まで4つの沼を巡るコース。いつしか"裏知床五湖"として話題になっています。
熊鈴や熊スプレー、手を叩いたり大声を出す、匂いの強い飲食物を持っていかない、といった熊対策は必須ですが、一般の観光客でもハイキングが可能です。不安であれば、ネイチャーガイドを付けることもできます。
写真:土庄 雄平
地図を見るそれではアクセスから紹介していきましょう。まず今回目指す羅臼湖のハイキングコースの入り口は、知床横断道路の羅臼側。半島西側のウトロと、東側の羅臼を行き来する阿寒バスに乗って「羅臼湖入口」で降りてすぐの場所となります。なおバスは6/8〜10/8までの夏季限定で1日往復4便なので注意しましょう。
それ以外の時期に訪れる場合は、知床横断道路の頂上「知床峠」に車を停めて、徒歩30分程歩いて登山口にアプローチします。
写真:土庄 雄平
地図を見るそれではいよいよハイキングスタート!登山口には簡易のポストが設けられているので、予め記載して持参した登山届を提出して下さい。
最初の区間は、樹林帯に覆われた鬱蒼とした道。ヒグマの生息地ということで、見通しが悪いところでは手を叩きながら進んで行きます。熊は耳がよく、あらかじめ音を出して存在を知らせておけば、鉢合わせすることはまずありません。
写真:土庄 雄平
地図を見るそして最初の沼・二の沼へと到着したら、「羅臼湖」へ至るまでの湿原の道の始まりです。たおやかな台地を作るこの南知床一帯では、冬に積もった雪が解けず、峰々の窪みに残ります。それ故、これから先の美しい湖沼の景観を作り上げているのです。
中でも二つ目に現れる「三の沼」は日本最東端の百名山・羅臼岳の雄大な山容が水面に映り込みます!知る人ぞ知る神秘の絶景として、多くの登山愛好家を魅了して止まないスポットです。
写真:土庄 雄平
地図を見るひたすら整備された登山道をトレースして進んで行きます。「三の沼」以降は、樹林帯から谷状の地形を縫って、本格的な湿原歩きへ!木道が整備されていますので、周囲の景色を眺めながら、雄大な自然のなかをゆくハイキングを楽しみましょう。
写真:土庄 雄平
地図を見るさて、古来よりアイヌの人々に“山の神”と称えられたヒグマ。北海道の屋根・大雪山には、カムイミンタラ=神々の遊ぶ庭、と呼ばれる場所がありますが、この羅臼湖一帯も、まさに知床連山が作り出したカムイミンタラです。
どこまでも広がる山と湿原。ふとした瞬間の色や音、そして景色に心を動かされながら、原生的な自然と相対する。目の前に姿はないけれど、神=ヒグマの気配を感じながら、どこか畏敬の念を抱いて歩く時間は、知床ならではのハイキングの楽しみ方です。
写真:土庄 雄平
地図を見るさぁ再度、樹林帯へ入るのでそこが正念場!ちょっとした登りがあるため、それをこなしたら「四の沼」へと到着します。四の沼は小さな沼ではありますが、周囲に木々が少なく、空にとても近い雰囲気なのが特徴的!青空であれば、幻想的な水鏡も見られます。
写真:土庄 雄平
地図を見る「四の沼」から「五の沼」へと。この辺りで慣れてくるのと、前半に比べて樹林がまばらになってくるため、熊対策もおろそかになりがち。しかし安全のためには、見通しが悪い場所では、欠かさず声を出すか手を叩くなど心掛けて下さい。
五の沼は今まで見てきた二の沼〜五の沼で一番大きな沼。近くまで立ち寄れないものの、沼を挟んで広がる知床連山の知西別岳(ちにしべつだけ)の山容が美しく、ひときわ壮観な景色を見せてくれます。
写真:土庄 雄平
地図を見る「五の沼」を越えれば、再び大湿原をゆく道へ。突如展開する広大な緑の空間は、核心部に来たと予感させ、そこを縫っていく木道は、どこかドラマチック!まるで、ここまでの登山道が一連のストーリーを作っているかのようです。
写真:土庄 雄平
地図を見るそして「五の沼」から約5分歩くと、登山道の終点へ。すると、知西別岳の麓に、今まで巡ってきたなかで一番大きな湖沼「羅臼湖」が!
遮るものは何もなく、湖がグルっと見渡せ、下から上まで知西別岳の姿を望める景色は、息を呑むスケール感。神秘的な雰囲気も相まって、まさに知床が誇る"幻の湖"と呼ぶに相応しい面持ちを放っています。
また、長い道を歩いてここまで来たという達成感もひとしお。標高差はほとんどないものの、登山道を囲む悠久たる知床の大自然。隔絶した場所に辿り着いたという非日常。「羅臼湖」ハイキングは、他の登山道にはない唯一無二の魅力を備えています。
写真:土庄 雄平
地図を見る標高1000m〜1600mほどの知床連山。本州で言えば、すごく高い標高という訳ではないのですが、これらの山が位置する緯度、そして原生から残っている自然から、日本屈指の圧倒的な山岳世界を作り出しています。今回紹介した「羅臼湖」ハイキングは、初心者でもその世界に手軽に触れられる素晴らしいコース。熊対策は必須ですが、ぜひともチャレンジしてみて下さいね!
なおネイチャーガイドが必要な場合は、関連MEMOから予約すると良いでしょう。こちらであれば行き帰りのバスの時間を気にせず、安全に楽しむことができ、より知床を深く理解できますよ。
住所:北海道目梨郡羅臼町湯ノ沢町
アクセス:
・登山口まで ウトロバスターミナル / 羅臼バスターミナルから羅臼湖入口までバス。車を知床峠に止めた後、徒歩約30分
・入山後 往復徒歩3時間〜4時間
※備考
・熊鈴や熊スプレーなどの対策をしっかり取りましょう。
・匂いの強い飲食物を持参するのはやめましょう。
・ぬかるみがあるので、長靴を持っていくのがベターです。
・バスで来る場合は、あらかじめ時間をしっかり調べておきましょう。
・入山前には登山届けをポストに出しましょう。
・ネイチャーガイドをご希望の方は関連MEMOをご参照ください。
・初心者ハイカーは雪がない6月〜10月に計画するのがベターです。
2020年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/3/19更新)
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