“街道の女王”ここにあり!イタリア「アッピア旧街道」を歩く

“街道の女王”ここにあり!イタリア「アッピア旧街道」を歩く

更新日:2020/09/04 16:19

藤 華酉のプロフィール写真 藤 華酉
全ての道はローマに通じる。そしてローマで最も有名な道と言えば、聖ペトロも、カエサルも歩いた、旧アッピア街道です。今でも歩行者天国の旧アッピア街道は、散歩やヨガ、ハイキングを楽しむ、ローマの人々の日常生活に溶け込んでいます。しかし街道添いには、目を瞠るような巨大遺跡の数々、数千年前の財宝が眠っているのです。人ごみを避け、自分のペースで心行くまでローマ帝国の遺構に浸れる、旧アッピア街道をご紹介します。

「街道の女王」のすごすぎる歴史

「街道の女王」のすごすぎる歴史

写真:藤 華酉

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旧アッピア街道。今から2000年以上昔、紀元前300年頃にローマ帝国によって造られた「街道の女王」の二つ名を持つ街道です。

ローマ帝国の支配が及んでいた地域、地の果てまでどこまでも続く街道ですが、観光客にも人気がある古代遺跡が良く残るエリアは、ローマ近郊「アッピア・アンティカ州立公園」です。

「街道の女王」のすごすぎる歴史

写真:藤 華酉

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おおよそ5キロ、徒歩でのんびり歩いて1〜2時間程度のアッピア・アンティカ州立公園エリア。石畳の道は歩きやすく、あちこちには感じの良いベンチが置かれていますが……このベンチの数々、実はお墓で、物によっては2000年以上前からここにあるのです。

旅人が一息吐けるように、ローマ帝国の貴族が寄贈しました、などと曰くが書かれているものもあります。もちろん、現代の旅人も座って休むことができます。

道を歩けば右にも左にも、歴史の教科書に載るような遺構の数々。旧アッピア街道は、無料で2000年以上前の歴史を見学できる野外博物館なのです。

ヨーロッパのカトリックはここから始まった…ドミネ・クォ・ヴァディス教会

ヨーロッパのカトリックはここから始まった…ドミネ・クォ・ヴァディス教会

提供元:de.wikipedia

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Quo_Vadis_…

ドミネ・クォ・ヴァディス、とはラテン語で「どこに行くんですか?(Chiesa del Domine Quo Vadis ?)」を意味します。ローマ市を出て間もなく、ドミネ・クォ・ヴァディス教会はひっそりと街道脇に佇んでいます。

その謂れは聖ペテロ。バチカン市国の祖であり、イエスの一番弟子だった聖人です。イエス亡き後、ローマで布教を続けていたペトロは、帝国からの迫害に恐れをなし、ローマを脱してアッピア街道を歩き出します。
すると、路上に死んだはずのイエス様が。思わず「どこに行くんですか?」と問いかけたペテロに、イエスは「もう一回十字架に掛かりに行く」と答えます。そこでペトロは思い直し、ローマに戻って殉教しました。

その遺体が眠っているのが、バチカン市国の聖ピエトロ大聖堂。そしてペテロの運命を決めたのがここ、ドミネ・クォ・ヴァディス教会です。聖ピエトロ大聖堂ほど知られていないドミネ・クォ・ヴァディス教会ですが、歴史の古さはローマ帝国でも有数の教会です。

<基本情報>
住所:Via Appia Antica, 51, 00179 Roma RM
電話番号:+39-651-20441
営業時間:8:00〜20:00

城?塔?いえいえ、ただのお墓です。「チェチーラ・メテッラの墓」

城?塔?いえいえ、ただのお墓です。「チェチーラ・メテッラの墓」

写真:藤 華酉

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旧アッピア街道を歩いていると目に飛び込んでくる、巨塔の数々。
お城でしょうか。いえいえ、これらは全て、ローマ帝国の貴族のお墓なのです。お墓にこれほどの資材、労力を費やす事が可能だったローマ帝国の当時の繁栄が伺い知れるというものです。

城?塔?いえいえ、ただのお墓です。「チェチーラ・メテッラの墓」

写真:藤 華酉

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崩れかけていても白亜の塔が美しいチェチーラ・メテッラの墓などは、実際に中に入って見学する事が可能です。

入り口には流石に入場料を管理する人がいますが、広大な敷地内はほぼ無人。展示されている像など全てオリジナルであるにも関わらず、心行くまでゆっくりと遺跡を楽しむことができます。

<基本情報>
住所:Via Appia Antica, 161, 00178 Roma RM
電話番号:+39-6784-4271
営業時間:木曜日〜日曜日 9:00〜19:00

ローマ帝国の絶景露天風呂!「クィンティーリ荘」

ローマ帝国の絶景露天風呂!「クィンティーリ荘」

写真:藤 華酉

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ローマ市から徒歩で行ける旧アッピア街道のおおよその終着点が、クィンティーリ荘です。かつては古代ローマ時代の貴族、クインティーリ一族の邸宅が建ち、ローマ一の豪邸として名を轟かせていました。現在でも広大な敷地内は、まだまだ発掘中。

ローマ帝国の絶景露天風呂!「クィンティーリ荘」

写真:藤 華酉

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そんな中、日本人として見逃せないポイントは、古代ローマ時代の露天風呂。優雅なアーチの窓からは、ローマ市を一望することができ、廃墟になった今でも温泉の心地よさが伝わってくるようです。2000年前から絶景露天風呂に好んで浸かっていたのかと思うと、古代ローマ人が少し身近に感じられますね。

<基本情報>
住所:Via Appia Antica, 290, 00178 Roma RM
電話番号:+39-6718-5255
営業時間:9:00〜18:30
月曜定休日

旧アッピア街道の歩き方

旧アッピア街道の歩き方

写真:藤 華酉

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旧アッピア街道へは、ローマ市内のコロッセオ駅バス亭から、バス118番に乗車するのが便利です。バスはフォロ・ロマーナ、カラカラ浴場などの観光地を通りながら、「サン・セバスティアノ・フオーリ・レ・ムーラ聖堂」まで行きます。ここからのアッピア旧街道は歩行者天国になります。帰りは、「クインティーリ荘」の出口前がバス118番の乗り場です。

2000年の歴史を辿る道

アッピア旧街道は、今でもローマの人たちが公園のように散策を楽しんでいる道です。しかし、その両脇は、見切れない程の史跡がびっしり詰まっているのです。
広い道だけに、観光客でいっぱいになる事もなく、自分のペースでゆっくりと観光できるのも、アッピア旧街道の魅力。いまだに人を惹きつけてやまない「街道の女王」を、古代人の気持ちでぜひ歩いてみて下さいね。

2020年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/10/28 訪問

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