写真:藤 華酉
地図を見る旧アッピア街道。今から2000年以上昔、紀元前300年頃にローマ帝国によって造られた「街道の女王」の二つ名を持つ街道です。
ローマ帝国の支配が及んでいた地域、地の果てまでどこまでも続く街道ですが、観光客にも人気がある古代遺跡が良く残るエリアは、ローマ近郊「アッピア・アンティカ州立公園」です。
写真:藤 華酉
地図を見るおおよそ5キロ、徒歩でのんびり歩いて1〜2時間程度のアッピア・アンティカ州立公園エリア。石畳の道は歩きやすく、あちこちには感じの良いベンチが置かれていますが……このベンチの数々、実はお墓で、物によっては2000年以上前からここにあるのです。
旅人が一息吐けるように、ローマ帝国の貴族が寄贈しました、などと曰くが書かれているものもあります。もちろん、現代の旅人も座って休むことができます。
道を歩けば右にも左にも、歴史の教科書に載るような遺構の数々。旧アッピア街道は、無料で2000年以上前の歴史を見学できる野外博物館なのです。
提供元:de.wikipedia
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Quo_Vadis_…ドミネ・クォ・ヴァディス、とはラテン語で「どこに行くんですか?(Chiesa del Domine Quo Vadis ?)」を意味します。ローマ市を出て間もなく、ドミネ・クォ・ヴァディス教会はひっそりと街道脇に佇んでいます。
その謂れは聖ペテロ。バチカン市国の祖であり、イエスの一番弟子だった聖人です。イエス亡き後、ローマで布教を続けていたペトロは、帝国からの迫害に恐れをなし、ローマを脱してアッピア街道を歩き出します。
すると、路上に死んだはずのイエス様が。思わず「どこに行くんですか?」と問いかけたペテロに、イエスは「もう一回十字架に掛かりに行く」と答えます。そこでペトロは思い直し、ローマに戻って殉教しました。
その遺体が眠っているのが、バチカン市国の聖ピエトロ大聖堂。そしてペテロの運命を決めたのがここ、ドミネ・クォ・ヴァディス教会です。聖ピエトロ大聖堂ほど知られていないドミネ・クォ・ヴァディス教会ですが、歴史の古さはローマ帝国でも有数の教会です。
<基本情報>
住所:Via Appia Antica, 51, 00179 Roma RM
電話番号:+39-651-20441
営業時間:8:00〜20:00
写真:藤 華酉
地図を見る旧アッピア街道を歩いていると目に飛び込んでくる、巨塔の数々。
お城でしょうか。いえいえ、これらは全て、ローマ帝国の貴族のお墓なのです。お墓にこれほどの資材、労力を費やす事が可能だったローマ帝国の当時の繁栄が伺い知れるというものです。
写真:藤 華酉
地図を見る崩れかけていても白亜の塔が美しいチェチーラ・メテッラの墓などは、実際に中に入って見学する事が可能です。
入り口には流石に入場料を管理する人がいますが、広大な敷地内はほぼ無人。展示されている像など全てオリジナルであるにも関わらず、心行くまでゆっくりと遺跡を楽しむことができます。
<基本情報>
住所:Via Appia Antica, 161, 00178 Roma RM
電話番号:+39-6784-4271
営業時間:木曜日〜日曜日 9:00〜19:00
写真:藤 華酉
地図を見るローマ市から徒歩で行ける旧アッピア街道のおおよその終着点が、クィンティーリ荘です。かつては古代ローマ時代の貴族、クインティーリ一族の邸宅が建ち、ローマ一の豪邸として名を轟かせていました。現在でも広大な敷地内は、まだまだ発掘中。
写真:藤 華酉
地図を見るそんな中、日本人として見逃せないポイントは、古代ローマ時代の露天風呂。優雅なアーチの窓からは、ローマ市を一望することができ、廃墟になった今でも温泉の心地よさが伝わってくるようです。2000年前から絶景露天風呂に好んで浸かっていたのかと思うと、古代ローマ人が少し身近に感じられますね。
<基本情報>
住所:Via Appia Antica, 290, 00178 Roma RM
電話番号:+39-6718-5255
営業時間:9:00〜18:30
月曜定休日
写真:藤 華酉
地図を見る旧アッピア街道へは、ローマ市内のコロッセオ駅バス亭から、バス118番に乗車するのが便利です。バスはフォロ・ロマーナ、カラカラ浴場などの観光地を通りながら、「サン・セバスティアノ・フオーリ・レ・ムーラ聖堂」まで行きます。ここからのアッピア旧街道は歩行者天国になります。帰りは、「クインティーリ荘」の出口前がバス118番の乗り場です。
アッピア旧街道は、今でもローマの人たちが公園のように散策を楽しんでいる道です。しかし、その両脇は、見切れない程の史跡がびっしり詰まっているのです。
広い道だけに、観光客でいっぱいになる事もなく、自分のペースでゆっくりと観光できるのも、アッピア旧街道の魅力。いまだに人を惹きつけてやまない「街道の女王」を、古代人の気持ちでぜひ歩いてみて下さいね。
2020年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事の関連MEMO
この記事を書いたナビゲーター
藤 華酉
ドイツ、フランクフルト在住。大学では歯学と宗教学を修めた為、いつ中世ヨーロッパに飛ばされても活躍できる逸材。 訪れた国は30ヵ国以上、時の権力者に城を陥落されて北海道に逃げ延びたご先祖様の無念を晴らす…
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索