写真:乾口 達司
地図を見る「世継のかなぼう」は、滋賀県米原市の世継地区にあります。「かなぼう」とは、地下水の湧き出している井戸とその洗い場を総称した名称。世継地区には、公共用として使われているものだけでも5カ所のかなぼうが存在します。
かなぼうから自噴する天然水の水源地は、遠く鈴鹿山脈のなかにある霊仙山にあるといわれています。水温は16℃から17℃。したがって、水温が25℃以上なければならないと規定されている「温泉」には分類されませんが、温泉と同じの含有物を多くふくむ冷水であることから「冷鉱泉」に分類されています。
ご覧のように、温泉と同じ含有物が認められるとはいえ、かなぼうは入浴用の施設ではありません。上水道が整備されるまでは生活用水としてさまざまな場面で利用されていましたが、現在は出荷する野菜の洗い場などとして活用されているため、いくら温泉好きだからといって、間違っても入浴してはいけません。
写真:乾口 達司
地図を見るかなぼうをご覧になると、水の流れている箇所がところどころ茶色くなっていることに、お気づきになるでしょう。
本来、無色透明であるはずの水に色がつくのは、水に混じっている含有物が空気に触れ、化学変化を起こすため。茶色く変化するのは、鉄分が多くふくまれている証です。試しに水につけた手の臭いを嗅いでみましょう。鉄の臭い(金気臭)がしますよ。
つまり、かなぼうは鉄分を多くふくんだ鉱泉なのです。
写真:乾口 達司
地図を見る水のなかを覗き込むと、無数の気泡が付着しています。
写真:乾口 達司
地図を見る写真は別のかなぼう。ご覧のように、道路が交差する辻に面しており、集落における集会所の役割を兼ね備えていることがうかがえます。
写真:乾口 達司
地図を見るよく見ると、タワシのようなものが置かれているのが、おわかりいただけるでしょう。これはいったい何!?
写真:乾口 達司
地図を見るこちらのかなぼうの脇にも、やはりブラシが添えられています。これはかなぼうを掃除するための用具。かなぼうから自噴する地下水は鉄分を多くふくんでいるため、放置しておくと、含有物が底に沈澱したり、側面に付着したりしてしまいます。そうなると水の流れが悪くなってしまうため、定期的に掃除をする必要があるわけです。
かなぼうがいまでも世継地区の人たちに大切に守られている証ですね。
写真:乾口 達司
地図を見る上で紹介した2カ所以外にも、集落内には3カ所のかなぼうがあります。
こちらのかなぼうは細い路地脇にあり、注意せずに歩いていると、つい見落としてしまいそうになるほど、集落の風景に溶け込んでいます。
写真:乾口 達司
地図を見るかなぼうは、民家の庭先にもあります。
写真:乾口 達司
地図を見るかと思えば、集落の東に広がる田畑のなかにもあります。いずれも同じ水脈から湧き出しており、鉄分を多くふくんでいます。
写真:乾口 達司
地図を見るかなぼうめぐりのなかで、かなぼう以外のスポットにも目を向けてみましょう。
たとえば、こちらは「朝嬬皇女(あさづまのひめみこ)」の陵墓と伝えられている石。集落の南方にある蛭子神社の境内に鎮座しています。
写真:乾口 達司
地図を見る集落の東には広大な農地が広がっており、遠くの山並みまではっきり眺められます。
写真:乾口 達司
地図を見る集落の西側に広がるのは、琵琶湖。その雄大な姿もあわせてご覧ください。
<世継のかなぼうの基本情報>
住所:滋賀県米原市世継
アクセス:JR坂田駅より徒歩約25分
写真:乾口 達司
地図を見る鉱泉が自噴しているのは、何も世継地区にだけ限りません。
たとえば、こちらは世継地区の北方にある「道の駅近江母の郷」。ここにも冷鉱泉が自噴しているのです。
写真:乾口 達司
地図を見るそれが写真のこちら。周囲が茶色くなっていることから、やはり鉄分をふくんだ鉱泉であることがわかります。世継のかなぼうと同じ水脈から湧いているのでしょう。
お土産ものを探して立ち寄った折にでも見つけてみてください。
<道の駅近江母の郷の基本情報>
住所:滋賀県米原市宇賀野1364-1
電話番号:0749-52-5177
アクセス:JR坂田駅より徒歩約30分
世継のかなぼうがいかに魅力的か、おわかりいただけたでしょうか。集落の内外のあちらこちらで自噴していることからも、世継地区とその周辺がいかに水の豊かな土地であるかがうかがえますね。世継のかなぼうをめぐり、金気臭のする冷鉱泉に魅了されてください。
2020年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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