写真:小野 雅子
地図を見るイングランド南西のウィルトシャー州には、新石器時代の巨石群エーヴベリーがあります。3つのストーンサークルを含むヘンジ(土手と溝)は広範な地域におよび、この種の遺跡ではヨーロッパ最大の規模。
また建造された時期は紀元前2600年ごろと推測されるため、紀元前2500年〜2000年に建てられたと考えられているストーンヘンジよりも更に古いという説が有力です。そしてユネスコ世界遺産では「ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群」として登録されています。
写真:小野 雅子
地図を見るロンドンからは西へおよそ140キロメートルの距離にあり、車で行けば約2時間で到着します。また電車やバスの公共交通機関でもほぼ同じくらいの所要時間で行けるため、ロンドンからの日帰りも充分可能なエーヴベリー。
歴史的建造物を保護する団体「イングリッシュ・ヘリテージ」と景観保護団体「ナショナル・トラスト」によって管理されているだけあり、豊かな自然の中で保存されている見どころの多い遺跡です。
写真:小野 雅子
地図を見る環状巨石群として世界的に有名なストーンヘンジは、現在では巨石の周囲にロープが張られ至近距離まで行けないのが少々残念でもあります。それとは対照的にこのエーヴベリー巨石群は、今も間近で見られるどころか触れてもOKなのは大きな魅力!堅牢な造りなので寄りかかってもビクともしないし、石の窪みに腰かけて記念写真を撮ったり出来るのも嬉しいですね。
今から約4600年前には、おそらく古代宗教や祭典のために使われていたと思われる巨石たち。現在でも一部のニューエイジ信仰者と、沢山の観光者を惹きつけてやみません。
写真:小野 雅子
地図を見るまたエイヴベリーには、遺跡に隣接して16世紀に建てられたマナーハウスも現存しています。ここは遺跡発掘に貢献した考古学者アレクサンダー・ケイラーが住んでいたことでも知られ、敷地内には彼の功績を中心とした博物館もあります。
スコットランドの街ダンディー出身のケイラーは、1797年創業の老舗マーマレード会社の一族に生まれた資産家。若いころはヨーロッパ周遊で見聞を広め、歴史に残る飛行船ツェッペリン号に乗り「いい眺めだったよ」と友人あての絵葉書を送ったりと優雅に暮らしていました。
そんな彼は、やがて考古学に傾倒。まさに趣味が昂じてエーヴベリー遺跡一帯の土地を買い上げ、このマナーハウスに暮らしながら発掘作業に没頭したのです。
写真:小野 雅子
地図を見る約500年前に建てられたマナーハウスですが、内装はオリジナルではなくすべて再現されたもの。したがって各部屋によって時代考証が異なり、この屋敷で繰り広げられた16世紀から20世紀までの生活様式を見ることが出来ます。中世の寝室やキッチンなど、どれも興味深くリアルな展示です。
ここで最も新しい時代の部屋は、アレクサンダー・ケイラーが住んでいた頃の1900年代前半がテーマ。玉突き台や蓄音機があるノスタルジックな部屋に佇んでいると、一日の発掘調査を終えガウン姿でパイプをくゆらすケイラーの姿が目に浮かんできそうです。
写真:小野 雅子
地図を見るマナーハウスの美しい庭園の隣には、古めかしい教会があります。13世紀に建てられた教会が基礎になっているこの聖ジェームズ教会は、今も英国国教会の地元信者さんたちが集う現役の教会。
片隅にあるキャンドル台には「広島の灯」というオイルランプも。これは広島の原爆被災地にくすぶっていた火をもとに、福岡県八女市星野村で守り続けている灯から分けられたものです。イギリスの片隅で平和への願いが受け継がれていることは、とても大きな意義がありますね。
写真:小野 雅子
地図を見るマナーハウスと遺跡の間には、昔は納屋だった建物を改造したカフェがあります。広々とした店内でゆっくりお茶やランチをするのも良いですし、またテイクアウトして敷地内の芝生やベンチでピクニック気分を味わうのも良いですね。
写真:小野 雅子
地図を見るカフェでは飲み物のほか、軽食になるメニューが豊富でサンドウィッチやケーキ類などが人気。特にお勧めなのはイギリスらしい素朴な焼き菓子スコーン。クロテッドクリームとジャムをたっぷり塗って、さあ召し上がれ!
写真:小野 雅子
地図を見るカフェのすぐ近くにあるナショナルトラスト・ショップも覗いてみましょう。エーヴベリー遺跡のオリジナルグッズは日用雑貨や衣類、写真集などバラエティいろいろ。
また自然保護を大きな目的とするナショナルトラストらしく、ローズマリーやラベンダーなどナチュラル素材のスキンケア商品も豊富なラインナップです。
<ナショナルトラスト・エイヴベリーの基本情報>
住所:National Trust Avebury, High St, Avebury, Marlborough SN8 1RF
電話番号:+44-1672-539250
アクセス:ロンドン・パディントン駅から電車に乗って約1時間でスィンドン駅、そこから路線バス49番に乗り約30分で到着。またはロンドンからレンタカーなどの車で2時間ほど。
写真:小野 雅子
地図を見るストーンサークルの周辺には、レトロで可愛い藁ぶき屋根の建物もいくつか並んでいます。そのなかで、ちょっとユニークな存在が「ザ・レッド・ライオン」という名物パブ。一見イギリス郊外によくある、素朴でのどかなパブ風ですが・・・なんと幽霊が出るという噂つき。
写真:小野 雅子
地図を見る一部の人々の間では「イギリスで最も亡霊にとりつかれたパブ」という噂がまことしやかに囁かれ、なんと亡霊も複数が棲みついているんだとか。とくに有名なのは、店内に今も保存されている古井戸に投げ込まれた女性。
パブそのものは1802年創業ですが古井戸のほうは16世紀にまで遡り、約26メートルもの深さがあるもの。しかもその井戸は、今ではガラス板で覆われたテーブルになっているのです!さりげなく(笑)普通のテーブルとして使われているので、飲み物や食事とともに着席することが出来ますよ。
写真:小野 雅子
地図を見る<ザ・レッド・ライオンの基本情報>
住所:The Red Lion, High St, Avebury, Marlborough SN8 1RF
電話番号:+44-1672-539266
アクセス:ロンドン・パディントン駅から電車に乗って約1時間でスィンドン駅、そこから路線バス49番に乗り約30分で到着。またはロンドンからレンタカーなどの車で2時間ほど(専用駐車場あり)。
写真:小野 雅子
地図を見るエーヴベリーでストーンサークルに近づけるのは、我々人間たちだけではありません。広大な土地に及ぶ遺跡は牧草地も兼ねているので、羊の群れが放牧されている日も珍しくないのです。
新石器時代の巨石群と羊たちのコラボなどという面白い光景は、なかなか他では見られませんよね!
写真:小野 雅子
地図を見る牛もいますが、こちらはストーンサークルよりも離れた場所に放牧。どちらもおとなしい動物たちで、のんびり草をはむ様子を見ているだけで癒されます。
写真:小野 雅子
地図を見る同じ環状巨石群でもストーンヘンジとは雰囲気が異なり、豊かな自然の中で身近に感じられるのがエーヴベリーの大きな魅力。古代史ファンだけでなく、美しいイングリッシュ・カントリーサイドを満喫したい方にも超お勧めです!
2020年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/4/19更新)
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