トスカーナ中部ルチニャーノ、城壁が完璧に残る「キアーナ渓谷の真珠」

トスカーナ中部ルチニャーノ、城壁が完璧に残る「キアーナ渓谷の真珠」

更新日:2020/09/26 11:33

中山 久美子のプロフィール写真 中山 久美子 日伊通訳&コーディネイター、ライター
アレッツォ県南西にあるルチニャーノ。この出身の司祭ヴァレンティ―ノが、その美しさを綴った新聞への寄稿記事で「キアーナ渓谷の真珠」と称した、中世からの町並みが残る小さな村です。同心状に作られた楕円形の村は、2020年に「イタリアの最も美しい村」にも加盟しました。小さな村はアクセスが難しいことが多いですが、ここはアレッツォ〜シエナ間のバス沿線上にあり、車なしで行けるのも魅力の1つです。

城壁に囲まれた旧市街に残る、古の門と塔

城壁に囲まれた旧市街に残る、古の門と塔

提供元:Comune di Lucignano Ufficio Promozione Turistica e cultura

https://www.comune.lucignano.ar.it/

フィレンツェ、シエナ、アレッツォ、ペルージャの境に位置するルチニャーノは、昔から戦略的にとても重要な場所でした。歴史の中で勢力が入れ代わり統治してきたため、各都市の名残が今も残っています。例えば、現在の市章であるハゲワシは、ペルージャと同じモチーフ。

城壁に囲まれた旧市街に残る、古の門と塔

写真:中山 久美子

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フィレンツェの名残は旧市街外の要塞と、旧市街への主要入口サン・ジュスト門に掲げられたメディチ家の紋章。メディチ家は1400年代から実質フィレンツェの君主となり、1500年代からトスカーナ大公として今のトスカーナほぼ全域を治めていました。ちなみにその他の門は、東側のサン・ジョヴァンニ門と北側のムラータ門があります。ムラータ門は16世紀の戦時中に一度閉じられ、20世紀に入り再び修復・開通することになりました。

城壁に囲まれた旧市街に残る、古の門と塔

写真:中山 久美子

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シエナ人が建てたのは、カッセロと呼ばれる天守閣。フィレンツェに敗北後、小麦の倉庫として使われました。1821年には劇場に生まれ変わりますが、現在でも玄関の内側には、シエナのシンボルである白黒の紋章が残っています。

<基本情報>
住所:Via Roma, 1BIS
アクセス:サン・ジュスト門より徒歩1分

ひときわ目立つコッレジャータ教会

ひときわ目立つコッレジャータ教会

提供元:Comune di Lucignano Ufficio Promozione Turistica e cultura

https://www.comune.lucignano.ar.it/地図を見る

中心的な教会は、コッレジャータ。かつてあった要塞と小さな教会は1556年の落雷で崩壊し、その後に全住民を迎えられる教会として建設されました。ファサードは上半分が未完成ですが、旧市街と同じ楕円にデザインされた、トラバーチンの階段がとても印象的です。

ひときわ目立つコッレジャータ教会

写真:中山 久美子

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内部は一身廊のラテン十字架型で、中心は八角形のクーポラ。芸術作品は、1600年代のものが多いです。不定期ですがボランティアの地元ガイドさんもいますので、説明を聞きたい方は声をかけてみて下さいね。

<基本情報>
住所:Piazza della Collegiata
アクセス:サン・ジュスト門より徒歩2分

ルチニャーノの至宝「黄金の木」が残る市立博物館へ

ルチニャーノの至宝「黄金の木」が残る市立博物館へ

写真:中山 久美子

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コッレジャータ教会裏、旧市街の一番上のトリブナーレ広場には、市庁舎とサンフランチェスコ教会があります。

1200年代建設の市庁舎正面には、1500〜1600年代フィレンツェやシエナから派遣され、この地を統治していた執政長官の紋章が今も健在。2階の長官の住まいは観光案内所と市議会に、1階の裁判所と牢獄は、現在は市立博物館となっています。

ルチニャーノの至宝「黄金の木」が残る市立博物館へ

提供元:Comune di Lucignano Ufficio Promozione Turistica e cultura

https://www.comune.lucignano.ar.it/地図を見る

市立博物館の一番の目玉であり、ルチニャーノのシンボルでもあるのが、この「黄金の木」。1350年頃からおよそ120年の時をかけて、シエナの貴金属細工師ガブリエッロ・ダントーニオによって完成されました。元々はサンフランチェスコ教会にあった聖遺物箱ですが行方不明となり、1900年代初頭に発見されて修復されたのち、ルチニャーノに帰還。

「この木の前で愛を誓うと幸せになる」という伝説も生まれ、近年はヴァレンタインデーと9月第一日曜にイベントも開催。また市役所で婚姻したカップルの定番撮影スポットとなっています。

<基本情報>
住所:Piazza del Tribunale, 22
アクセス:サン・ジュスト門より徒歩3分

日常生活が垣間見える路地を散策

日常生活が垣間見える路地を散策

写真:中山 久美子

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同心状になった道をつなぐのは、通り過ぎてしまいそうな小さな路地。昔ながらの石造りの建物は、今も日常生活を送る住民に愛おしく手入れされています。イタリアのどの村もそうですが、脈々と続く歴史を当たり前に受け止め、大事に守っていく在り方にいつも感動してしまいます。

特産高級牛・キアニーナを「生」で堪能

特産高級牛・キアニーナを「生」で堪能

写真:中山 久美子

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ルチニャーノのあるキアーナ渓谷は、キアニーナ牛の産地。イタリア好きなら知らない人はいない、フィレンツェ風Tボーンステーキに使用される高級牛です。ステーキが有名ですが、ここではタルタルやカルパッチョなど、生で出すお店もたくさんあります。新鮮な肉だからこそできる、生産地ならではの楽しみ方ですね。

写真は旧市街外すぐのトラットリア・ダル・ガッロ。

<基本情報>
住所:Via Toti A., 2
アクセス:サン・ジュスト門より徒歩4分

アクセスも簡単なイタリアの美しい村・ルチニャーノ

フィレンツェのような観光都市の次に、小さな村に行ってみたい方は多いのですが、問題はやっぱりアクセスです。レンタカーは慣れないし、ハイヤーも少人数ではコストがかかる・・・まずはルチニャーノ、下記リンクのチェルタルドなど、観光都市から公共交通機関1本で行ける村から始めてみましょう。小さな村の魅力にハマると、イタリアが更に好きになること間違いありませんよ。

2020年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2019/04/19 訪問

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