国宝が建ち並ぶ“女人高野”と称される美しい古寺・奈良「室生寺」

国宝が建ち並ぶ“女人高野”と称される美しい古寺・奈良「室生寺」

更新日:2020/10/17 10:05

ふるかわ かずみのプロフィール写真 ふるかわ かずみ 神社・パワスパ(温泉)巡りスト
奈良の室生寺(むろうじ)は高野山と同じ真言宗のお寺ですが、昔から女人の入山を許されていたため「女人高野(にょにんこうや)」として親しまれてきました。また境内には国宝や重要文化財の建造物が建ち並び、四季折々の花々や草木に彩られた美しい景観と共にノスタルジックな想いに浸れることでしょう。足腰に自信があればぜひ奥之院へもチャレンジしてみて。

修験道の開祖「役行者」が開いたといわれる山岳寺院

修験道の開祖「役行者」が開いたといわれる山岳寺院

写真:ふるかわ かずみ

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室生寺へまっすぐ伸びるのが朱色が鮮やかな「太鼓橋」。その足下には室生川が流れ、朱色と山の木々の緑のコントラストが映えて四季折々の景観が楽しめます。

ここ室生の地は『古事記』や『日本書記』に登場する水を司るオカミ(龍を意味する)の神を祀る聖地(みむろ)であったと考えられている場所です。

修験道の開祖「役行者」が開いたといわれる山岳寺院

写真:ふるかわ かずみ

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室生寺の創建は680年に天武天皇の勅令を受け、修験道の祖「役小角(えんのおづぬ)」が初めて建てたお寺と伝えられています。

また桓武天皇が皇太子のとき病にかかり、この室生山中で延寿祈祷をして回復した縁で、平安初期に天皇の勅命により五重塔や金堂なども建立されていきました。

そして空海の唐の師・恵果から授かった、国に平和をもたらし、人々の願いを叶えるという「如意宝珠」を如意山に埋めた地として、修験者のみならず人々の信仰を集めてきた場所です。

修験道の開祖「役行者」が開いたといわれる山岳寺院

写真:ふるかわ かずみ

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さきほどの仁王門をくぐると鎧坂(よろいざか)と呼ばれる階段が眼前に現れます。春には桜、晩春にはシャクナゲ、初夏には青もみじ、秋には紅葉と、四季に応じた景観が広がり、昔と変わらぬ美しい景色を堪能できることでしょう。

五重塔・金堂・本堂と国宝揃いの仏像を安置

五重塔・金堂・本堂と国宝揃いの仏像を安置

写真:ふるかわ かずみ

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鎧坂の階段を登って最初に見えてくるのが、平安時代初期の建立とされる国宝の「金堂」です。

正面側面ともに五間の単層寄棟造り(たんそうよせむねづくり)で、屋根は柿葺き(こけらぶき)、そして本尊にはこちらも国宝の木像「釈迦如来立像」ほか薬師如来立像・文殊菩薩立像、そして十二神将立像のうち六体が安置されています。

五重塔・金堂・本堂と国宝揃いの仏像を安置

写真:ふるかわ かずみ

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その先に続くのが「本堂」。1308年に建立され、「灌頂堂(かんじょうどう)」とも呼ばれています。

こちらには「如意輪観音菩薩」が安置されていますが、その顔の表情はなんとも微笑ましい笑みをたたえ、日本三如意輪の一つとされています。

※灌頂とは・・頭に水をかけて、悟りの位に進んだことを証する儀式のこと。密教の儀式のひとつ

五重塔・金堂・本堂と国宝揃いの仏像を安置

写真:ふるかわ かずみ

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さらに奥に進むと国宝の五重塔が出迎えてくれます。日本最古の五重塔で知られる法隆寺に次いで古く、ここ室生山中では最古の建物です。

また屋外の塔では国内最小ということですが、間近でみるとそんなことを感じさせない堂々たる風格。幽玄な世界に迷い込んだような景観に心奪われます。

見どころは塔の頂上。通常九輪の上は水煙(すいえん)が置かれていますが、こちらは風鐸(ふうたく)が吊られたもので非常に珍しい造り。お寺好きな方はこちらもチェックしてみてくださいね。

奥ノ院までは延々と続く修行なみの階段

奥ノ院までは延々と続く修行なみの階段

写真:ふるかわ かずみ

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五重塔を過ぎると、そこからは奥之院までへの道のりが続きますが、途中からはまるで修行のような階段がひたすら続きます。

傾斜も割とあり、延々と続く階段を見ると気持ちが一瞬萎えそうになりますが、手すりもついていますし、高くそびえる木々に囲まれ森林浴にもなるので、深呼吸しながらゆっくり無理せず登りましょう。

奥ノ院までは延々と続く修行なみの階段

写真:ふるかわ かずみ

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階段を登りきると、弘法大師空海像を祀る御影堂(みえどう)の奥ノ院があります。各地にある大師堂の中でも最古の堂の一つとされています。

奥ノ院までは延々と続く修行なみの階段

写真:ふるかわ かずみ

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そして奥之院でぜひチャレンジしてみてほしいのがおみくじ。ここ奥ノ院でひくおみくじはほぼ「凶」!その理由は・・浮かれず地に足をつけて進んで欲しいという想いがあるとか。気になる方はチャレンジしてみて!

宝物殿は必見!御朱印も10種類と豊富

宝物殿は必見!御朱印も10種類と豊富

提供元:室生寺

http://www.murouji.or.jp/地図を見る

さて、室生寺には2020年3月に新設されたばかりの寳物殿があります。ここには十一面観音菩薩立像(写真)をはじめ、釈迦如来坐像、地蔵菩薩立像など、平安時代初期の希少な国宝の仏像が展示されてています。

特に国宝の十一面観音は全国で七体しかなく、そのうちの一体ということで非常に貴重です。さらに一体一体お顔が違うのですが、ここ室生の十一面観音様はぷっくりとして愛らしいお顔立ち。ぜひ間近で拝観されてみてくださいね。

寳物殿拝観料:400円(小学生未満無料)
拝観時間:9:30〜15:30
(入館は15:00迄 ※30分ごとの入れ替え制/人数制限あり/要予約)

宝物殿は必見!御朱印も10種類と豊富

写真:ふるかわ かずみ

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さて、せっかくなら御朱印もいただきたいですね。室生寺ではなんと10種類もの御朱印があります。寳物殿入口横の納経所では「如意宝珠」含め8種類、さきで紹介した本堂で「如意輪観世音」、そして頑張って奥之院まで登ったあかつきには「弘法大師」さんの御朱印がいただけますよ。(各300円)。

<大本山 室生寺の基本情報>
住所:奈良県宇陀市室生78
電話番号:0745-93-2003
拝観時間:9:00〜16:00
※寳物殿は9:30〜15:30(受付15:00迄)
入山料:大人600円、小人400円
(宝物殿拝観料 400円)
駐車場あり(有料)

二重焼きを購入すれば無料駐車場も!

二重焼きを購入すれば無料駐車場も!

写真:ふるかわ かずみ

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室生寺には広めの駐車場(1日600円/普通車)が川沿いに完備されていますが、5.6分は歩く距離にあります。台数は限られていますが、無料で止めることができる駐車場もあります。それがこちらの「よもぎ入り回転焼き」のお店。かれこれ50年近く営業されている老舗店です。

無料といっても、一応こちらの回転焼きを1つでも購入すればOKということなので、その点はご注意を!

二重焼きを購入すれば無料駐車場も!

写真:ふるかわ かずみ

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ちなみに回転焼きは、「よもぎ入り回転焼き(1個100円税込)」。よもぎのふんわりとした香りと萌葱色の皮が見た目にも◎。おやつやちょっとした小腹を満たすのに一石二鳥。

道路沿いに建ち、室生寺入口まで徒歩3分と近くで便利で、元気いっぱいのお母さんが出迎えてくれますよ!

<よもぎ入り回転焼きの基本情報>
住所:奈良県宇陀市室生709-2
電話番号:0745-93-2024
営業時間:8:00〜16:00(季節によって変動する場合あるので事前に要確認)
休み:不定休

奈良大和四寺巡礼もどうぞ

今回ご紹介した室生寺含めた奈良の4つの古寺(長谷寺・室生寺・岡寺・安倍文殊院)を巡る「奈良大和四寺(よんじ)巡礼特別参拝(要予約/2020年12月まで)」という企画も行われています。参加者には各寺院の僧侶が案内と説明があり、御本尊の前でお勤めを行なったりと特別な参拝も体験できます。詳細は関連MEMOのHPをご覧くださいね。

2020年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。



掲載内容は執筆時点のものです。 2020/09/23 訪問

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