写真:もんT
地図を見る今回目指す旧太子駅は、長野原草津口駅から、中之条町の六合(くに)温泉郷に向かう途上にあります。長野原草津口駅からは、日中3本、路線バスが出ていますので、うまく予定を組めば、公共交通機関利用でもアクセスできます。
長野原草津口駅から、現在の吾妻線はさらに西へと向かっていますが、これは1971年3月に延伸された区間。1970年10月までは、北西の太子(おおし)へと列車が走っていました。太子までの5.8kmは廃線となり、かつての線路は、大部分が生活道路に。しかし、ところどころ遺構も残っています。長野原草津口駅近くでは、白砂川を渡る鉄橋が今も見られます。(危険につき、鉄橋は立入禁止です。歩くことはできません。)
写真:もんT
地図を見る長野原草津口駅から、路線バスなら14分。「旧太子駅」バス停から、目の前の広い駐車場を抜け、階段を下っていくと、かつての終着駅・太子の駅舎が見えてきます。駅舎は当時のものを復元したもので、2018年4月から一般公開。わずか25年ほどで使命を終えた、太子までの鉄道に関する記録や資料が展示されています。
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地図を見るそして駅構内には、鉄鉱石の積み込みに使われたホッパーが、遺構として今も残ります。廃墟と化したこの姿が、なんともフォトジェニック。多くの旅行者を引き付けています。現在は崩落の恐れがあるため、ホッパー内部への立ち入りはできません。
太子に鉄道が敷かれたのは、太平洋戦争末期の1945年1月。長野原までは国鉄、そして、この末端区間は、日本鋼管群馬鉄山専用線として開通しました。貴重な鉄資源の開発と輸送という目的があったからこそ、戦時中の資材不足の状況でも、鉄道を開通させたんですね。戦後は、末端区間も国鉄に移管され、群馬鉄山の鉄鉱石が、ここから京浜工業地帯へと、運ばれて行きました。群馬鉄山の鉄鉱石が枯渇するとともに、貨物列車も1966年に運行を休止。そして、旅客列車も1970年10月で運行終了。太子駅はわずか25年で、その使命を終えました。
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地図を見る駅構内に留置されている保存車両にも注目です。鉄鉱石の貨物輸送が主な使命だった太子駅にふさわしく、ここには、珍しい貨車がいくつか集められています。特に注目したいのは、「ハト」と記された無蓋貨車。2020年春に、福岡県大牟田市の三池炭鉱鉄道からやって来ました。この貨車は、三池の石炭輸送で使用されたもの。このような無蓋貨車は、かつては全国の貨物列車で見られたものですが、今や追憶のかなたに…。こうした貨車の実物が、ここに集められ、鉄道公園となっています。写真の他にも、大井川鐵道や、茨城交通で使用された貨車が、展示されています。
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地図を見る旧太子駅付近には、鉄道が走っていた頃の痕跡が残っています。長野原草津口方面へ、駅前の道を、2kmほどたどってみましょう。線路跡は、現在は生活道路となっています。もとは単線だっただけに、道幅は広くありません。車でたどる場合は、対向車とのすれ違いにご注意を。
写真:もんT
地図を見る1.6kmほど行くと、トンネルが出現!このトンネル、生活道路として現在も通行可能です。ただし、トンネル内は照明がなく、対向車とのすれ違いもできませんので、人も車も、しっかり安全確認して進行しましょう!トンネルを抜けて500mほど進むと、国道の「中沢」バス停に出ます。旧太子駅から続く廃線跡歩きも、ぜひ楽しんでください。
わずか25年で使命を終えた太子駅とそこに至る線路。戦後の日本の経済復興を、陰で支えた歴史がここにはあります。昭和の貴重な産業遺産を、皆さんもぜひ探訪してください。
住所:群馬県吾妻郡中之条町大字太子251-4
電話番号:0279-95-3055
アクセス:JR長野原草津口駅から、花敷温泉行き、あるいは野反湖行きバスで14分、旧太子駅下車、徒歩約5分。
入館料:200円(中之条町民と中学生以下は無料)
開館時間:10:00〜16:00
休館日:12月29日〜1月3日。および12月〜3月の火・水曜日(祝祭日を除く)
2020年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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この記事を書いたナビゲーター
もんT
鉄道に乗り、美しい風景を撮り、名所旧跡あるいはおいしいものを尋ね歩く旅をご案内します。特に鉄道+徒歩のスタイルにこだわって、だれもが楽しめる小旅行を提案してまいります。鉄道が好きな人、写真撮影が好きな…
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