“プーリアの真珠”とよばれるトラーニは、南伊・プーリア州中部の港町です。バルレッタ=アンドリア=トラーニ県(通称BAT県)の県都とされる街のひとつで、人口は約56,000人。
街の歴史は先史時代にさかのぼり、古代ローマ帝国の支配下で大きく発展。その後、15世紀にはヴェネチアに次ぐアドリア海交易の港として、その地位を確立。16〜19世紀には、県庁や裁判所の所在地として政治・司法の中心であった歴史をもちます。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る街の玄関となるのが、2つの防波堤に囲まれた港。カラフルな漁船やヨットが隙間なく停留し、漁船のそばでは釣上げた魚を運んだり、売りさばく漁師たちの姿も。
アドリア海での漁に興味がある方は「ペスカツーリズモ」に挑戦を!漁師が同行して、船上で漁の体験と食事が楽しめます。自分で釣った魚をその場で食べる豪快な旅の思い出ができますよ。
<ペスカツリーズモの基本情報>
住所:Via Banchina Al Porto,70059,Trani
電話番号:+39-338-975-7695
営業時間:昼食の回 9時〜16時/夕食の回 19時〜24時30分
そして、この美しいトラーニの港を眺めながらの休憩には、アペリティーヴォが最適。港に沿うようにカフェやレストランが立ち並んでいます。お気に入りのお店で、南国らしいゆったりとした時間を過ごしましょう。
この街の顔といえるのが、プーリア・ロマネスク建築の傑作とよばれる「大聖堂」です。
中世にトラーニで息絶えたギリシャ人巡礼者で、後に街の守護聖人となった聖ニコラ・ペッレグリーノを奉っています。州都バーリの守護聖人・聖ニコラとは別人なのでご注意を。
大聖堂は9世紀の教会跡を利用して1099年に建築開始、完成は13世紀。鐘楼は高さ59mにも及び、大聖堂と鐘楼ともに地元産の白い石灰石が用いられ、優美な姿で海辺に佇んでいます。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る内部は三廊式で、石造りのとてもシンプルな内装です。中廊の左右には対の柱がずらりと並び、光が差し込む正面祭壇の床には「生命の木」を表すモザイク画が残されています。
左廊にはオリジナルのブロンズ扉(12世紀)が展示され、そのまま真っ直ぐ進むと小窓があり、そこからはコバルトブルーの海の景色が。なんとも額に入った絵のようです。
上階へと続く階段は入口右手に設置され、高いところから教会内と街のパノラマを楽しむことができます。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る実は、この教会は3つの階に分かれています。
ひとつ下の階には、色鮮やかなフレスコ画が美しく残る「聖マリア地下聖堂」と守護聖人の遺骸を収めた「聖ニコラ地下聖堂」。さらに階下の空間には、8世紀にブリンディジから移された聖人の遺骸を収めた「聖レウチョ地下聖堂」があります。
街の一番の見どころである大聖堂。ゆっくりと時間をかけて見学することをおすすめします。
<大聖堂の基本情報>
住所:Piazza Duomo,76125,Trani
電話番号:+39-0883-50-0293
営業時間:
4〜10月 9時〜12時30分/16時〜20時30分(平日15時30分〜19時)
11〜3月 9時〜12時30分/16時〜20時(平日15時30分〜18時)
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る次は、大聖堂から目と鼻の先にある「トラーニ城」。13世紀に時の支配者フェデリーコ2世が建てた城砦です。
この城は、フェデリーコ2世の息子・マンフレディの結婚式が挙げられた場所として知られ、16世紀には当時の権力者カルロ5世の指示で、大砲戦術に対応した防衛機能を強化するために改修されています。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る城の形は四角形で4つの塔と1つの中庭で構成され、周囲は堀で囲まれています。フェデリーコ2世が生涯建てた200以上もの城の中で、最も防衛機能が優れた城のひとつとして有名です。
夏は野外オペラの会場となり、マンフレディ王子の結婚式を再現した演目も登場します。中世にタイムスリップした気分でオペラ鑑賞に浸る一夜を過ごしてみませんか。
<トラーニ城の基本情報>
住所:Piazza Manfredi Re 16,76125,Trani
電話番号:+39-0883-50-6603
営業時間:8時〜13時(月・火・土の予約制)
※10月のみ8時〜19時(月〜土の予約制)
料金:5ユーロ
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見るさらに、アドリア海の風を感じながら散歩を楽しむなら、城と大聖堂が立ち並ぶ海岸沿いがおすすめ。特に大聖堂の裏手には灯台へ続く桟橋があり、地元の人が散歩や日光浴を楽しむ癒しスポットになっています。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る海辺の散歩の後は、旧市街の「ユダヤ人居住区」へ。
起源は11世紀前半にイスラム勢力から逃れるため、スペインからやってきたユダヤ人が定住したことから。
12〜13世紀にはフェデリーコ2世とその父エンリーコ6世の擁護の下、交易の特権やシナゴーグ(礼拝堂)の建設許可などをもらい、最盛期を迎えます。当時は200以上もの家族が住み、イタリア国内でも大きなユダヤ人コミュニティでした。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見るこのユダヤ人居住区の中心にあるのが「聖アンナ・シナゴーグ博物館」です。
1247年にユダヤ教のシナゴーグとして建立。その後、土地の支配者がアンジュー家に代わり、同世紀末にキリスト教の教会へと改宗されました。直近の500年間は、聖アンナに捧げられた教会として地元の人に親しまれています。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る2009年からはトラーニにおけるユダヤ人の歴史や、この地から発掘されたヘブライ語の書物等を展示する博物館として一般公開されています。
尚、旧市街にはヨーロッパで最古のシナゴーグとされる「スコラノーヴァ・シナゴーグ」も現存します。
<聖アンナ・シナゴーグ博物館の基本情報>
住所:Via La Giudea 24,76125,Trani
電話番号:+39-0883-58-2470
営業時間:9時〜13時/16時〜19時(11〜3月は午前のみ)
定休日:月曜日
料金:3ユーロ
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見るトラーニの旧市街は、州内の他の街々と同じく白い石造り。洗濯物が風になびくなか、マンマがおしゃべりを楽しむ姿など、地元の人の日常を垣間見ることができます。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見るですが、一歩大通りに出ると、そこには大きな門構えの豪邸が並びます。
交易で財力を手に入れた豪商の家々を見ながらの散策は、この街ならでは。特に有名なのが、街で一番美しいといわれる「カッチェッタ邸」。1456年に建設され、後期ゴシック様式の立派な門構えが見事です。
さらに、豪邸に宿泊したい方は「テレスィオ邸」へ。現在は4つ星ホテルとなり、内部には馬車博物館を併設。海から徒歩1分、開放感溢れる広場に面した立地も魅力的です。
<テレスィオ邸(Mare Resort)の基本情報>
住所:Piazza Quercia 8,70059,Trani
電話番号:+39-0883-48-6411
最後は、この街の名産品である甘口ワインをお土産に。
デザートワイン「モスカート・ディ・トラーニ(DOC)」は、ぶどうの実を収穫せずにわざと残し、そのまましぼむまで待ち、糖度を高めてからワインにする特殊な作り方が特徴です。
お供には、郷土菓子のアーモンドクッキーが相性抜群。ボトルサイズが小さいので重さも気になりません。11世紀から続く自慢の銘酒は、街のスーパーや酒店で購入可能です。
トラーニへは、国鉄(電車)が便利です。バーリ中央駅から乗換えなしで所要時間30分〜45分、料金は3.3ユーロ。トラーニ駅から街の玄関である港へは、徒歩12分。
2020年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事の関連MEMO
- PR -
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/11/11更新)
- 広告 -