写真:村井 マヤ
地図を見る今回ご紹介する史跡公園「出雲弥生の森」がある「西谷の丘」一帯は、弥生時代終わりごろから約500年間墓地として利用された遺跡・西谷(にしだに)墳墓群の一部です。
写真は、史跡公園のエントランス部分で、ここから遺跡散策に向います。
写真:村井 マヤ
地図を見る「出雲弥生の森」の入口から、最初の立ち寄りポイントは、小型の四隅突出型墳丘墓である「6号墓」です。説明板には、墳丘墓の断面写真などもあります。
6号墓は、南側、西側はすでに失われていますが、2基の埋葬施設があることや、木棺と木槨の二重構造だった可能性があることも分かっています。木立の散歩道といった風情で、眺めも良いので、ゆっくり歩いて散策しましょう。
写真:村井 マヤ
地図を見る写真のような散歩道を進むと5号墓、4、3、2そして1号墓へと誘ってくれます。西谷墳墓群には、四隅突出型墳丘墓(6、4、3、2、1号墓)だけではなく、円墳や方墳なども造られています。
墳墓の分布図をみると沢山の古墳があることが分かります。今回は、四隅突出型墳丘墓にスポットを当ててご紹介します。
*便宜上、次段落より四隅突出型墳丘墓を「よすみ」と略称で書かせていただきます。
写真:村井 マヤ
地図を見る「よすみ」は、弥生時代に山陰地方を中心に流行したお墓で、四角の隅が突出した特別な形をしています。全国に100基ほど発見されていますが、大きさトップ5のうち4つが、西谷墳墓群にあり、今回散策する「出雲弥生の森」にはそのうち3つがあります。
ちなみに、「出雲弥生の森博物館」から墳丘墓がある「出雲弥生の森」までは、徒歩数分です。
写真:村井 マヤ
地図を見る写真は、「よすみ」の4号墓です。中学生が拾った土器がきっかけで発見された遺跡です。発掘調査では、墳丘の斜面には貼石、墳端には敷石、その外側には立石が並べられていました。きれいな四隅突出型ではなくゆがみがみられますが、それは地形に合わせて造られたためと考えられます。
埋葬施設は確認されていませんが、遺物として地元の壺や鼓形器台のほか、吉備(岡山)の特殊土器などがありました。これらの土器によって弥生時代後半(2世紀末)に造られた墳丘墓と推定されています。
写真:村井 マヤ
地図を見る写真も4号墓です。写真中央の平らな部分は、方丘部になります。写真に向かって左手に伸びる坂道部分が突出部にあたります。4号墓では未確認ですが、通常ですと方丘部分に埋葬施設があり、王たちが葬られています。
写真:村井 マヤ
地図を見る写真の西谷3号墓は、出雲最大級、史跡公園最大の「よすみ」です。島根大学考古学研究室を中心とした本格的調査によって、謎に包まれていた西谷墳墓群の弥生王墓に初めてメスが入りました。
写真の緩やかな坂道が、「よすみ」の特徴である四方に突き出した突出部です。3号墓では、幅約5mもの巨大な突出部が確認されました。この突出部は、墓上への道として発達したものと考えられています。西谷王墓の時代にこの形が地域のシンボルとして山陰を中心に大流行したのです。
写真:村井 マヤ
地図を見る3号墓の方丘部は、東西40m、南北30m、高さは4mです。写真はそのほぼ中央部分の埋葬施設があった場所です。3号墓の方丘部には8つの墓穴がありましたが、写真の赤い長方形の墓穴は、それぞれ「第1主体」「第4主体」と名付けられた特別大きな墓穴です。
とくに写真の向かって右側の「第4主体」は、当時の王の墓とみなされています。墓穴の周りには、巨大な4つの柱穴も発見されており、王墓の上で参列者たちが、王を偲んで飲食をしていたと考えられます。その証拠に、大量(230点以上)の土器が出土しています。
写真:村井 マヤ
地図を見る3号墓からは、北に隣接する2号墓も見渡せます。当時の姿に復元された2号墓は、「よすみ」の形を観察するのに最適です。また、2号墓の内部は展示室になっており、発掘当時の写真や墓に眠る王の姿を展示しています。9時から16時30分まで見学可能ですので、ぜひご覧ください。
写真:村井 マヤ
地図を見る2号墓は、南北35m、東西24m、高さ3.5mの方丘部に突出部がつく「よすみ」です。突出部を含めると長辺40mを超える巨大な墳丘でした。墳丘上部は大半が削られていましたが、方丘部の南側に墓壙が確認されました。
写真:村井 マヤ
地図を見る写真は、2号墓内部展示室の出雲王の埋葬状態の復元模型です。2号墓の築造過程がわかる土層を再現したパネルもあります。また、3号墓の発掘調査の様子を撮影した写真パネルの展示もあり、大変興味深いものばかりです。
写真:村井 マヤ
地図を見る2号墓の展示室入口付近には、2号墓の復元工事の様子も写真付きで説明されており、そちらも見逃さないでくださいね。写真は、3号墓西側から2号墓方面を撮影しています。眺めも素晴らしく、ここに出雲平野を支配した王たちが葬られたのも納得ですね。
写真:村井 マヤ
地図を見る史跡公園「出雲弥生の森」から道を挟んですぐのところに出雲弥生の森博物館があります。こちらでは、古代を深く知る体験コーナーなどがあり、体験しながら歴史を学ぶのに適した施設となっています。もちろん、今回ご紹介してきた「よすみ」についても深く知ることができますので、お時間があれば立ち寄って下さいね。
写真:村井 マヤ
地図を見る写真は、出雲弥生の森博物館の駐車場にある「西谷横穴墓群3支群」と呼ばれる遺跡です。古墳時代の終わりごろに造られたお墓です。
この旅では、四隅突出型墳丘墓を中心にご紹介しましたが、この「西谷の丘」周辺は、古墳時代以降も古墳や横穴墓が造られ続けました。弥生時代終わりごろから約500年間も墓地であり続けた「西谷の丘」は、出雲平野の権力者にとって重要な場所だったのでしょうね。この地を訪れて、しばし古代ロマンに身を委ねてみませんか?
住所:島根県出雲市大津町2760番地
電話番号:0853-25-1841
アクセス:JR出雲市駅から路線バス(出雲三刀屋線)で約17分「出雲弥生の森博物館前」降車。一畑電鉄大津町駅下車、徒歩約20分。自動車で山陰道斐川ICから出雲ロマン街道経由で約10分。
2020年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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この記事を書いたナビゲーター
村井 マヤ
1972年、宮崎県生まれ、5歳まで兵庫県尼崎で暮らす。その後熊本に。高校3年生まで熊本で過ごす。歴史が好きで、考古学を学びたくて別府へ。温泉生活を満喫。大学卒業後、広島でさらに勉強するため学生生活を送…
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