平安時代、戸隠は比叡山延暦寺末寺の戸隠山顕光寺(とがくしさんけんこうじ)と称し戸隠十三谷三千坊と呼ばれ、比叡山、高野山と共に修験道の霊山として栄えました。明治時代の神仏分離令により、寺は切り離され戸隠神社となり、衆僧は還俗して神官となりました。
戸隠神社の神官のことを特に聚長(しゅうちょう)と呼び、聚長家は(宿坊を示す)今も参拝者などの宿泊施設として歴史を刻んでいます。極意は、中社に最も近く、戸隠神社に伝わる神話がある宿坊です。
戸隠神社には、中社と、宝光社周辺の2ヶ所に宿坊街があります。中社周辺には18件の宿坊があり、観光やスキーなどにも利用できます。
極意のある中社宿坊街は、江戸時代から街並が変わっていないそうです。原山竹細工店は、150年以上の歴史がある竹細工のお店。材料は、戸隠の山に自生するチシマザサ。戸隠特産の、竹細工の蕎麦ざるは、極意の夕食にも登場します。
極意は、1400年代(室町時代)に能海坊(のうかいぼう)の名で創始、江戸時代に寺格昇進に伴い徳善院(とくぜんいん)となり、明治時代の廃仏毀釈以降に、極意となりました。厚さが、1メートル半もある茅葺屋根の建物は、火事で焼失した建物を1815年(文化12年)に再建、2005年(平成17年)に、国の登録有形文化財に登録されています。建物は葺屋根の、内神殿と大広間のある、「極意家神殿」と、客室の「庫裏(くり)」があり、近代中小寺院の造りになっています。また、庭園には戸隠に伝わる神話の1つ「かまど池」があります。
「かまど池の話」とは、調度品不足に悩んでいた能海坊の住職の為、庭園のかまど池に住む「さらかし姫」が調度品を用意しました。ある日、近くの坊が割った皿を黙って返したため、さらかし姫は姿を消した。という戸隠の神話。(残念ですが「かまど池」は現在未公開)
さらかし姫が去った後も、かまど池から湧き出る水は絶えることはありません。かまど池の湧水は、極意庭園の池に注いでいます。絶え間ない水が流れる音は心を和ませてくれます。
隣接している徳善院蕎麦極意は、江戸時代に寺格昇格に伴った「徳善院」を称しています。ざる蕎麦や、季節の料理と頂く蕎麦御膳など、こだわりの味が楽しめます。
極意の客室は、茅葺屋根の2階建ての庫裏に、10〜12畳の和室を中止に、庭園に面した二間続きの和室1室、洋室1室があります。建物の構造から2階の部屋は大人のみの宿泊となっています。また、部屋によって、バスや洗面所、トイレの有無があるので、極意のホームページ等で確認願います。
室内のアメニティー類は、浴衣・バスタオル・フェイスタオル・歯ブラシなど、一般の宿泊施設と変わりません。また、お風呂は大浴場ではありませんが、麦飯石と神宿石を使用したミネラル風呂。体がとても温まり、翌朝も利用できます。
二間続きの和室は、2方向が庭園に面する客室。エアコンや暖房器具があり、サッシは2重になっているので、外気の寒暖は気になりません。
部屋に面する庭園は、夜になるとライトアップされます。かまど池の湧水が流れ込む池は趣があります。
戸隠そばは、岩手県の「わんこそば」、島根県の「出雲そば」と並び、日本三大そばの1つとされています。修行僧が、持ってきたそば粉を、水で溶き食べていたことから広まり、各坊で「そばきり(現在のおそば)」が振舞われるようになり「そば」が名物となりました。
夕食は、精進料理を基本に、季節の料理と戸隠そばの会席料理。会場は神殿がある大広間。神前に祀られたお神酒が振舞われます。料理は、もずく酢や、ソーメンカボチャの和え物、信州サーモンと帆立のお造りに、烏賊、海老と野菜や茸の陶板焼きなど、素材を生かした味付けです。
料理は季節によって変わります。旬の食材をお楽しみください
そばの実は、血糖やコレステロールの抑制などの効能があります。揚げ蕎麦と蕎麦の実のお吸い物は、パリッと揚がったお蕎麦と、もちもちとした蕎麦の実の二つの触感が味わえます。
戸隠そばは、水を切らずに数個の束をざるに置く「ぼっち盛り」。徳善院流の細打ちの蕎麦は、天然醸造の醤油を使ったつゆで頂きます。
極意宿泊の朝は、参拝者も少ない早朝に中社参拝。中社に祀られている、天八意思兼命は、天照大神がお隠れになった天岩戸を開くため、岩戸神楽を創案した知恵の神。そのため、学業成就や、開運、商売繫盛などに、ご神徳があります。早朝の中社は澄んだ空気と凛とした気配があります。さざれ滝は中社のパワースポット、写真を、携帯電話のホーム画面などにして持ち歩くと運気が上がるそうです。
極意の内神殿には、戸隠神社の五社に祀られる神々と、釈迦如来が祀られています。朝の御祈祷は、原則、毎日営まれ、宿泊者だけが参加できます。
朝の御祈祷の合図は、神殿を清め、参加者の心を静めるための太鼓の号鼓(ごうこ)。神社の祭神に対する祝詞(のりと)と、お経が、唱えられます。その後の講話では戸隠神社や、宿坊の歴史などのお話を聞くことができます。
朝食は、徳善院蕎麦極意の店を朝食会場として利用。艶々に炊かれたご飯と、ワカメと油揚げのお味噌汁を中心に、チーズと木の実の茶碗蒸しや、焼き鮭、がんもどきと、お麩の煮物などが、半月盆に配膳されます。一品々丁寧に味付けされた朝食は、ご飯が進みます。
神社や寺院参拝の証としての御朱印を頂くのも旅の楽しさの1つ。戸隠神社の五社参拝と御朱印を受けると、非売品の「五社参拝記念しおり」が頂けます。また、「戸隠雪中酒」は、戸隠地区限定で販売される日本酒。加熱殺菌、加水調整をしていない生原酒を、中社や宝光社の境内の雪室で熟成される特別なお酒。どれも戸隠のお土産にお勧めです。
中社に最も近くにある宿坊極意は、重厚な茅葺屋根の庫裏(客室)や、季節の食材を使った戸隠そばの会席料理、戸隠五社の神々と釈迦如来を祀る神殿など、戸隠の歴史に触れられる宿坊です。また、朝の御祈祷は宿坊の宿泊者だけが参加できる貴重なもの・・・。ぜひ体験してください。
2020年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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