令和をことほぐ、御即位記念 特別展『皇室の名宝』(京都国立博物館)

令和をことほぐ、御即位記念 特別展『皇室の名宝』(京都国立博物館)

更新日:2020/11/05 13:38

いずみ ゆかのプロフィール写真 いずみ ゆか ライター
歴代の皇室に代々受け継がれてきた美術品類や御物を収蔵する「宮内庁三の丸尚蔵館」。令和の世を迎え、御即位から1年を記念して、その所蔵品約80件を中心とした約100件を京都国立博物館での特別展『皇室の名宝』で観ることができます(会期は2020年11月23日まで)。皇室の名宝の数々が、東京以外の地でこれだけまとまって公開されるのは初めてのこと。京都御所や皇室ゆかりの地を巡る旅と一緒にいかがですか?

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別格の至宝を京都で!見どころと後期展示の注目作品

別格の至宝を京都で!見どころと後期展示の注目作品

写真:いずみ ゆか

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11月23日まで開催中の京都国立博物館『皇室の名宝』展。皇室に納められた美術工芸品や御物は、文化庁が指定する国宝や重要文化財の枠から外れており、別格の存在として扱われています。

本展の見どころは、皇室とご縁を結んだ書、絵画を中心としたそれらの貴重な名宝の数々を堪能できる点。そして、明治天皇が東京へ遷都するまで、皇室文化の中心地であった京都御所でかつて執り行われていた儀式などの光景を作品から追体験できる点です。
前期と後期で大幅に展示作品が入れ替わるのも特徴で、11月3日から後期展示がスタートしました。

令和の即位礼で、今上天皇陛下が高御座(たかみくら)に登壇されたお姿を覚えていますか?『黄櫨染御袍』(こうろぜんほう)と呼ばれる赤みがかった黄茶色の束帯(そくたい)の袍(ほう)を身に着けていました。

これは、明治天皇の御代より即位礼に用いられるようになったもの。江戸時代最後の孝明天皇の御代までは、即位礼には礼服(らいふく)として袞冕(こんべん)※十二章の御服を身に着けていました。後期展示では、江戸時代以前の即位礼が分かる展示も。

写真は、大正天皇御料『黄櫨染御袍』通期展示

※袞衣 (こんえ) と冕冠 (べんかん) と からなる天子の礼服。天子の衣冠

別格の至宝を京都で!見どころと後期展示の注目作品

提供元:京都国立博物館

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後期の注目作品は、江戸時代の『霊元天皇即位図屏風』(狩野永納筆)。作品から、京都御所で執り行われた当時の即位礼の様子が分かります。高御座の中の冕冠(べんかん)を被り、赤い装束を身に着けた10歳の霊元天皇のお姿にご注目を。現代とは異なり、当時の装束は中国の影響を受けた古代日本の装束です。江戸時代以前の即位式は、身につけた装束も異なる上、見物人が描かれていることから、儀式の様子が庶民にも公開されていました。

天皇のお顔を明確に描く即位図は他に類例がないため、江戸時代の人々のような気持ちで、当時の即位礼を実際に見たかのような追体験を味わってみて下さい。

霊元天皇即位図屏風(部分)狩野永納筆
江戸時代・17世紀、京都国立博物館、後期展示(11月3日〜11月23日)、
紙本著色、6曲1双のうち、96.0×270.8cm

教科書でおなじみのあの絵も、実は皇室コレクション

教科書でおなじみのあの絵も、実は皇室コレクション

写真:いずみ ゆか

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それでは、各展示室の大まかな見どころを見ていきましょう。
本展は、第1章『皇室につどう書画 三の丸尚蔵館の名宝』と第2章『御所をめぐる色とかたち』の二部構成。

皇居東御苑内にある博物館施設「宮内庁三の丸尚蔵館」は、現在改修工事中で、令和7年にリニューアルします。そのため、その所蔵品をより多くの方に観て頂こうと本展が開催されました。

第1章では、多様な来歴を持つ「宮内庁三の丸尚蔵館」皇室コレクションの書画類を堪能しましょう。書は、三蹟として知られる小野道風、藤原佐理、藤原行成など、名高い書家の作品が出陳されています。

教科書でおなじみのあの絵も、実は皇室コレクション

提供元:京都国立博物館

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そして、え!?実は皇室コレクションだったの?と驚く、教科書でお馴染みの『蒙古襲来絵詞』も。

鎌倉時代の絵巻物で、文永11年(1274)と弘安4年(1284)の2度にわたる元寇の合戦に出陣した肥後国御家人・竹崎季長が自らの戦功を中心に描かせたものです。

蒙古襲来絵詞 後巻(部分)
鎌倉時代・13世紀、宮内庁三の丸尚蔵館、通期展示(後巻は後期展示;11月3日〜11月23日)、紙本著色、2巻のうち、35.5~39.8×2013.4cm

教科書でおなじみのあの絵も、実は皇室コレクション

提供元:京都国立博物館

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注目は、二十巻すべてがそろっている鎌倉時代の奇跡の絵巻物『春日権現験記絵』(高階隆兼筆)。藤原氏の氏神である春日神(春日権現)の霊験を描いた作品で、なんと全巻そろっているだけでなく、製作の背景を記す目録まで伝わっています。

日本的な絵画様式「やまと絵」による細かい描写が当時の風俗を知る1級史料としても価値があり、必見です。

痛みやすい絹地の絵巻にも関わらず、保存状態が非常に良く、約700年もの間、完全な姿で残っている事に驚きを隠せません。

春日権現験記絵 巻一(部分)高階隆兼筆
鎌倉時代頃、延慶2年(1309)、宮内庁三の丸尚蔵館、通期展示(巻一は後期展示;11月3日〜11月23日)、絹本著色、20巻のうち、41.7×981.5cm

狩野永徳や若冲など、皇室とご縁を結んだ近世絵画の数々

狩野永徳や若冲など、皇室とご縁を結んだ近世絵画の数々

写真:いずみ ゆか

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実は、江戸期の絵画収蔵で有名な三の丸尚蔵館。狩野永徳、海北友松、俵屋宗達、狩野探幽、尾形光琳、円山応挙、伊藤若冲といった桃山から江戸期の名だたる画家の近世絵画もたくさん収蔵しており、本展で観ることができます。

なかでも、伊藤若冲の代表作の一つ『動植綵絵』(どうしょくさいえ)は、30幅のうち前期・後期あわせて8幅出陳されるので注目です。
後期では、若冲が画業に専念することになった40歳の記念碑的な大作『旭日鳳凰図』も。

写真は、前期の『動植綵絵』の『老松白鳳図』と『薔薇小禽図』。

狩野永徳や若冲など、皇室とご縁を結んだ近世絵画の数々

写真:いずみ ゆか

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また収蔵されている近世絵画の巨匠たちの作品の多くが屏風であることも特徴。製作当初から宮中や宮家で実際に鑑賞され、使用されてきたことが分かります。他にも明治以降にかつての公家や門跡寺院、大名家から皇室に献上された品々も収蔵されています。

※本記事は内覧会を取材したものです。撮影する報道陣が映り込んでいますが、一般の撮影は一切禁止されています。

在りし日の京都御所での儀式や日常を追体験

在りし日の京都御所での儀式や日常を追体験

写真:いずみ ゆか

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第2章では、在りし日の京都御所での儀式や日常を追体験してみましょう。
その時代ごとで、天皇の立場は変わっていきましたが、「学問」に総称される書道・歌道・楽器の演奏、典籍の学習などに勤しむ姿は今日まで変わりません。

正倉院宝物の中に琵琶があるように、歴代天皇は幼少期から何かしらの楽器演奏を学んだとされ、歌人・能筆家として知られる天皇もたくさんいます。天皇は日本文化をけん引してきた存在でもありました。

在りし日の京都御所での儀式や日常を追体験

写真:いずみ ゆか

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本展では、肖像や日記、宸翰(しんかん)と呼ばれる天皇自筆の文書などが展示され、各時代を生きた天皇の息づかいを感じることができます。

王朝物語の舞台を追体験

王朝物語の舞台を追体験

写真:いずみ ゆか

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なかでも、本展最後を締めくくる京都御所『飛香舎』(ひぎょうしゃ)のしつらいが甦った展示は見逃せません。

飛香舎は、皇后立后の儀式の場であり、後宮の中心的な殿舎。別名を『藤壺』とも呼ばれ、王朝文学の代表作『源氏物語』で主人公の光源氏が恋焦がれた永遠の女性「藤壺女御」が暮らす場所と言えばイメージしやすいかもしれません。後宮でも中宮や有力な女御が住まう、私達が目にすることができない場所でした。

千年の都、京都での開催だからこそ!オンラインでの事前予約を

本展は、巡回せず京都だけの開催。皇室文化(御所文化)をこれだけ追体験できる展示なのも宮内庁の全面協力による展覧会だからこそ。そして、かつて天皇がおわした京都の地での開催だからこそです。こんな機会はまたとありません。日本文化の本流ともいえる皇室文化を味わい、京都御所など皇室ゆかりの地を巡ってみませんか?

2020年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2020/10/09 訪問

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