世界的建築家アントニン・レーモンドの建築を群馬県・高崎で!

世界的建築家アントニン・レーモンドの建築を群馬県・高崎で!

更新日:2020/11/29 11:39

成瀬 康子のプロフィール写真 成瀬 康子 現代アートウォーカー
日本一のだるま産地として知られ、新幹線の停車駅でもある高崎。

そんな高崎に国際学術組織「DOCOMOMO」でも保存すべき、とされる世界的建築家アントニン・レーモンド氏の名建築「群馬音楽センター」があるのをご存知ですか?しかも駅から徒歩10分というアクセスの良さ。更に、駅から徒歩3分の所にはそのレーモンドの自邸と関係が深い貴重な建物「旧井上房一郎邸」もあり、こちらも見学可能!

早速ご案内します!

催し物がない時こそ!「群馬音楽センター」

催し物がない時こそ!「群馬音楽センター」

写真:成瀬 康子

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「群馬音楽センター」は、1961年にアントニン・レーモンド氏の設計で高崎城跡地に建てられました。氏はその歴史を尊重してデザインしており、敷地をぐるりと周ると今でも残る石垣や土塁からここに高崎城があった事が分かります。建設時には市の予算だけでなく、市民から多くの寄付が集めらた事でも有名なホールです。また、長らく群馬交響楽団の拠点でもありました。

アントニン・レーモンド(1888-1976)は、帝国ホテルを建設するフランク・ロイド・ライト(1867-1959)の助手として来日したチェコ出身の建築家です。トータルで44年も日本で過ごし、彼の事務所からは日本を代表する建築家、前川國男、吉村順三などが巣立っています。

催し物がない時こそ!「群馬音楽センター」

写真:成瀬 康子

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まずは事務室で簡単な手続きをし、隣のメモリアルルーム「アントニン・レーモンドギャラリー」に立ち寄りましょう。「群馬音楽センター」が建てられた経緯やレーモンドの人となりを知る事が出来ます。その後に内部見学するのがお薦め!

催し物がない時こそ!「群馬音楽センター」

写真:成瀬 康子

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2階も見学出来るので行ってみましょう。モダンなデザインの階段を上がると開放感溢れるラウンジが現れ、一面のガラス窓から差し込む光の美しい事!また、レーモンドのデザインを元に地元の芸術家や高校生が制作した巨大壁画も見事です。

ところで、高崎市はなぜこの世界的に有名な建築家に設計を依頼したのでしょう?実はそこには高崎出身の実業家、井上房一郎氏(1898-1993)との深い関係があります。井上氏が経営する店「ミラテス」を訪れたレーモンドは、自身が設計した「軽井沢聖パウロカトリック教会」の椅子を発注します。それを機に2人は親交を深め、「群馬音楽センター」の設計者にレーモンドを推薦したのは井上氏でした。 

<基本情報>
住所:群馬県高崎市高松町28-2
電話番号:027-322-4527
アクセス:高崎駅西口より徒歩約10分
保守点検・催し物がある日は内部見学不可な場合があるので、電話で確認を。

高崎で「旧井上房一郎邸」を見過ごすな!

高崎で「旧井上房一郎邸」を見過ごすな!

写真:成瀬 康子

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そんな井上房一郎氏の旧自邸が高崎駅から徒歩3分のところにあり、それがなんとレーモンドの麻布の自邸の写しだ、というのですから気になるではありませんか。

レーモンドと親交を深めた井上氏は、レーモンドの東京・麻布の事務所併設の自宅に魅せられ、自分の為に同じ家を建てる許可を得ます。それがこちらの旧井上邸です。大元のレーモンド邸は事務所移転とともに居間以外取り壊された為、現在ではこちらが当時のレーモンド邸を知る貴重な建物となっています。

高崎で「旧井上房一郎邸」を見過ごすな!

写真:成瀬 康子

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山小屋風の素朴な一軒家です。天井は無く屋根裏が見え、丸柱を2本の梁で挟みボルトで締める「鋏状(はさみじょう)トラス」という手法や、引き戸を開け放すと庭と一体化し自然をより身近に感じられる典型的なレーモンドスタイルを体感出来ます。

また、レーモンドの妻でデザイナーだったノエミ・レーモンド氏(1889–1980)がデザインした椅子、テーブル、ライトなどもあり、こちらも必見ですよ。

高崎で「旧井上房一郎邸」を見過ごすな!

提供元:高崎市美術館

https://www.city.takasaki.gunma.jp/docs/2014011000…地図を見る

写し、と言えども居室の配置が若干異なったり、藤棚だった中庭の屋根がガラスであるなど違う点もありますが、レーモンドが拘った庭と家の一体化をここで味わえるのは貴重な体験です。

井上氏は、農民美術の提唱者として知られる山本鼎(かなえ)氏や来日中のドイツの建築家ブルーノ・タウト氏とも交流があった文化人であり、レーモンド邸の写しは、そんな井上氏だからこそ許された産物とも言えるでしょう。

<基本情報>
住所:群馬県高崎市八島町110-27(高崎市美術館内)
電話番号:027-324-6125
アクセス:高崎駅西口より徒歩3分
現在、邸内観覧は事前予約制。

お得感あり!「高崎市美術館」

お得感あり!「高崎市美術館」

提供元:高崎市美術館

https://www.city.takasaki.gunma.jp/docs/2014011000…地図を見る

旧井上邸は隣に建つ「高崎市美術館」の敷地内に併設されており、公開日は美術館の開館日に連動します。また、見学料は美術館観覧料に含まれています。

「高崎市美術館」はその建物デザインも楽しく、駅近なのはもちろん、比較的コンパクトで鑑賞しやすい美術館なので、同じ観覧料で2倍楽しめるのは嬉しいですね!

<基本情報>
住所:群馬県高崎市八島町110-27
電話番号:027-324-6125
アクセス:高崎駅西口より徒歩3分
休館日:月曜日(祝日の時はその翌日)。展示替期間なども休館となるのでHPで確認を。

アントニン・レーモンドと高崎を繋げたのは井上房一郎!

世界的建築家アントニン・レーモンドの建築がなぜ高崎に建てられたのか?そこには大事なキーパーソン、井上房一郎氏の存在があったんですね。また井上氏の自邸がレーモンドの自邸の写しである、というのも2人の仲を象徴する話です。

「群馬音楽センター」でレーモンドの建築を観て、「旧井上房一郎邸」でレーモンドと井上氏の交流に思いを馳せる、そんな高崎での寄り道旅はいかがですか?

2020年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。

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