コンフェッティは、アーモンドを糖衣で包んだお菓子です。日本では“ドラジェ”という名前でピン!とくる人も多いはず。
イタリアでは結婚式などのお祝いの席に欠かせない縁起もので、その起源は古代ローマ時代。当時はまだ砂糖がなかったため、蜂蜜と小麦粉で子孫繁栄・幸福の象徴とされるアーモンドを包んだものでした。
砂糖が民間にも普及した15世紀に、現在のようなコンフェッティがアブルッツォ州スルモーナの修道院で生産されるようになったのです。
贈る人と贈られる人の両者に幸せが訪れるといわれるコンフェッティは、人生のシーンごとに色が決まっています。
結婚式には白、出産や洗礼式には男の子なら水色、女の子ならピンク、大学卒業は赤、婚約は緑、銀婚式なら銀、金婚式なら金。
ちなみに、イタリアの結婚式では幸福、健康、富、子孫繁栄、長寿を意味する5粒をひとまとめにして配る習慣があります。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る今回ご紹介する「ムッチ社」があるのは、コンフェッティの故郷スルモーナから離れた南伊・プーリア州のアンドリアという街。
街の郊外には、フェデリーコ2世が建てた世界遺産の城「カステル・デル・モンテ」があります。ムッチ社を訪れる前後に城見学を旅のスケジュールに組み込んではいかが?
石畳が続く白い旧市街の一角にムッチ社があります。
1894年にニコラ・ムッチがこの地で創業。20世紀半ばに息子ジョヴァンニが屋号を「ムッチ・ジョヴァンニ」に改名。全国販売に乗り出し、名声と地位を築きました。
この店は、創業当時から隣町に大型工場ができる1987年まで大切な生産拠点でした。現在は1階がショップ、地下1階が博物館になり、「ロカーレ・ストーリコ」(歴史的に重要な足跡を残した店)に認定されています。
現在、会社はジョヴァンニの息子と孫が担っています。
製造するコンフェッティのバリエーションは幅広く、オリジナルのアーモンド入りからチョコレートやヘーゼルナッツ入りなど、その数は70種類以上。さらに、チョコレート製品やマジパン菓子、キャンディも製造。
そして、“全ての人にこの美味しさを味わってもらいたい”という願いから、グルテンフリーの商品をはじめ、ユダヤ教徒やイスラム教徒、ヴィーガンに対応した商品も製造しています。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る2012年には、ガンベロ・ロッソが主催する「イタリアで美味しいコンフェッティ」のコンクールで第1位に輝き、その名を改めて国内外に知らしめました。
今では、年間2,000組以上のカップルが結婚式のお供にムッチ社のコンフェッティを選んでいます。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る店内に足を踏み入れると、一瞬にして優しい甘さに包み込まれます。砂糖やチョコレートの香りで、気分はたちまちお菓子の国へ。
奥行きのある店内は、メルヘンなピンク色の壁と水色の天井で囲まれ、左右には商品がずらり。創業当時を偲ばせるアンティークなレジがこの魔法の空間に磨きをかけています。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る天井にはフレスコ画風の絵が描かれ、中心には“コンフェッティの女神”が鎮座。お店オリジナルの可愛いアイデアです。
空からコンフェッティが降り注ぐ店内で、旅の美味しいお土産を探すひととき。女神様の力添えで素敵な一品と巡りあえるかも。
カラフルなコンフェッティが並んだ商品棚には、思わず誰もが目を見張るはず。用途に応じて色を使い分ける祝祭菓子だけに圧巻の迫力です。
店内に併設された「コンフェッティ博物館」の見学は、事前予約制(ホームページから予約可)。ひとり5ユーロで所要時間は45分。ガイドは伊語・英語・仏語・西語のいずれかで、ピンク×茶色の可愛い制服を着た店員さんが案内してくれます。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る1階のショップでお店の紹介とコンフェッティの概要を聞いた後は、いよいよ!見学のはじまりです。
地下1階の「コンフェッティの部屋」には、創業当時に使われていた道具がきれいに陳列。大きな銅鍋から小さなお菓子の型まで、製造に必要なさまざまな道具がひと目で見て取れます。
ガイドからは種類ごとの製造方法を詳しく聞くことができ、さらには、うれしい試食も。案内される3つの部屋で1種類ずつ魅惑の甘さが楽しめます。
さまざまな展示の中には、創業当時からの商品パッケージを紹介するコーナーも。昔のアンティークな様相は会社の歴史を感じさせるとともに、あまりにも可愛くて「コレクションしたい!」と思う女性も多いはずです。
さらに奥の映像室では、ムッチ社の歴史と隣町の工場でコンフェッティを製造する様子をまとめたビデオを観賞します。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る続いては、「チョコレートの部屋」へ。年間47トンのチョコレートを扱うムッチ社。主軸のコンフェッティをはじめ、実に幅広い製品に使用されています。
ここでは、カカオの実からチョコレートができるまでを説明。さらに、ミルク・ダーク・ホワイトと3種類のチョコレートの製造工程の違いなど、知っているようで知らなかった興味深い内容を学ぶことができます。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る最後は、「キャンディの部屋」です。ここでは、果汁入りキャンディの作り方を知ることができます。
試食では、珍しいスミレのシロップが入ったキャンディが選べます。これは、土地の英雄フェデリーコ2世の側室ビアンカが大好きだった味。現在は市販されてなく、見学者のみが堪能できるのでぜひお試しを。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る3つの部屋の見学が終わると「書斎の間」に着きます。
映画のワンシーンに登場しそうな光景ですが、ここは2代目社長ジョヴァンニの書斎を再現した空間です。当時、実際に注文を受けていた電話や伝票を作成したタイプライターなどを展示。先代が築いた歴史を大切にしたいという想いが伝わってきます。
博物館の見学が終わったら、最後はお土産選びを!オススメは2つ。
1つ目は、1930年に誕生した看板商品「テネレッリ」。プーリア産アーモンドと2種類のチョコレートが織り成す豪華な味わいが魅力。カラフルな見た目も可愛いですね。
2つ目は、イタリアNo.1に輝いた「コンフェッティ・コン・マンドルラ・ピッツゥータ・ダーヴォラ」。シチリア産の大粒で平たいアーモンドをバニラ風味の糖衣で包んだシンプルなタイプ。どちらも小袋入りなら3〜5ユーロ程度とお手頃です。
住所:Via Museo del Confetto 12,76123,Andria
電話番号:+39-0883-58-6935
営業時間:8時30分〜13時/17時〜21時(日曜のみ10時〜13時)
定休日:なし
料金:5ユーロ
アクセス:アンドリア駅から大聖堂を目指した後、案内板に従い旧市街へ。駅から徒歩15分
備考:博物館はショップと同じ建物に併設されています。
2020年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/4/18更新)
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