招き猫で有名な豪徳寺すぐ!世田谷・宮の坂と界隈史跡めぐり

招き猫で有名な豪徳寺すぐ!世田谷・宮の坂と界隈史跡めぐり

更新日:2020/10/28 12:30

雲本 らてのプロフィール写真 雲本 らて 散歩ブロガー、坂道探検家
世田谷区豪徳寺にある招き猫で有名な豪徳寺のそばにも古くから存在する坂道があります。豪徳寺界隈は知る人ぞ知る地形にも富み史跡も多くあるエリアで、小田急小田原線・豪徳寺駅や東急世田谷線・宮の坂駅からもすぐです。今回はそんな世田谷区豪徳寺にある「宮の坂」とあわせて歩いてみたい界隈の史跡や名所などについても紹介してみたいと思います。

豪徳寺商店街と古道

豪徳寺商店街と古道

写真:雲本 らて

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小田急小田原線・豪徳寺駅の駅前は、交差する南北に伸びる道路沿いに商店が建ち並び商店街となっています。豪徳寺商店街と呼ばれて地域の人にも親しまれています。

実はこの駅と交差する南北に伸びる道路は知る人ぞ知る古くから存在する道で、いわゆる古道です。豪徳寺の北側に位置する甲州街道から分かれて、現在の東急世田谷線・上町駅のあたりで大山道(こちらは有名な古道)に合流する道で、松原大山道とも旧大山道とも呼ばれています。

豪徳寺商店街と古道

写真:雲本 らて

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豪徳寺商店街を駅前から道沿いに南下すると東急世田谷線の線路が見えるポイントにやってきます。道路からは東急世田谷線の車両も見えます。このあたりは東西に滝坂道という古道も通っており、現在は「渋谷経堂線」と呼ばれている道路で、ちょうど松原大山道(南北道路)と滝坂道(東西道路)の交差ポイントは東急世田谷線の踏切になっているところも興味深いところです。

またこのあたりには昭和20年に移転した「宮ノ坂駅」があったことでも知られています。

宮の坂と世田谷八幡宮

宮の坂と世田谷八幡宮

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松原大山道(南北道路)と滝坂道(東西道路)の交差ポイントからさらに道沿いに南にすこし歩くと「宮の坂」があります。宮の坂は世田谷八幡宮と東急世田谷線の間を南北に走っており、古道の松原大山道沿いにあることからも古くから存在している坂道です。

坂名については、隣接する世田谷八幡宮に由来しているという説が有力です。

宮の坂と世田谷八幡宮

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坂名の由来にもなった世田谷八幡宮については、寛治5年(1091年)が始まりといわれ、源義家が奥州の地の帰りに、この地で豪雨に会い先に進めず、天候が回復するまで数十日間滞在することとなったときに、宇佐の八幡大神をお祀りし、この地の人達に郷土の守り神として信仰するように伝えたことに由来しているということです。

ちなみに世田谷八幡宮は江戸時代に描かれた江戸名所図会でも取り上げられています。この歴史から考えても、「宮の坂」はかなり古くからある坂道ということが想像できそうですね。

豪徳寺と豪徳寺橋

豪徳寺と豪徳寺橋

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古道の松原大山道沿いには招き猫でも有名な豪徳寺も隣接しています。

豪徳寺については、語るポイントが多すぎてここでは詳しく取り上げませんが、簡潔にいえば招き猫ゆかりの地であり、境内には国指定史跡の「彦根藩主井伊家墓所」があったりと昔から名所として知られているお寺です。境内では招き猫も売ってますので、訪れたときは記念に購入するのもいいかもしれないですね。

ちなみに現在の城山通りと呼ばれる道がかつての松原大山道と位置が一致している可能性が高いです。

豪徳寺と豪徳寺橋

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豪徳寺参道口からすぐの場所には烏山川緑道も整備されており、地域の散策スポットとしても知られています。ここは川だった場所で、かつて橋があった場所には橋名が書かれた石碑も設置されています。

豪徳寺橋もそんな中のひとつですが、これは豪徳寺が近くにあったためそう名付けられた説が有力です。

このあたりに川が流れていたことは古地図でも知ることができますが、実は世田谷八幡の話でもでてきた江戸時代に描かれた江戸名所図会の「世田谷 豪徳寺」でも取り上げられています。江戸名所図会には川を渡る橋も描かれており、位置的にも現在の豪徳寺橋とかぶっています。ただ江戸名所図会に描かれている橋は諸説ありますが、「清涼橋」と呼ばれていることがわかっています。なお清涼橋についても現在の烏山川緑道沿いに石碑がありますが、昔の位置とは違っており、そういう意味でもミステリアスな話ともいえます。

知る人ぞ知る世田谷城跡

知る人ぞ知る世田谷城跡

写真:雲本 らて

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豪徳寺の南側には、世田谷城阯公園もあります。現在の城山通りにも隣接している公園です。ここは名前の通り、かつて世田谷城があった場所が公園になったためです。

世田谷城は清和源氏・足利氏の支族である吉良氏の城として知られています。当時はかなりの規模だったそうですが、天正18年(1590年)に廃城となっています。

現在の「宮の坂駅」

現在の「宮の坂駅」

写真:雲本 らて

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現在の東急世田谷線「宮の坂駅」は、「宮の坂」の坂下あたりに位置しています。駅名はまさに坂道の「宮の坂」に由来していることも知る人ぞ知ることかもしれません。

なおホームに隣接したところには、江ノ島電鉄で使用された車両が展示されており、車内も見学できます。また駅と隣接した世田谷区の宮坂区民センターは建築家の野沢正光氏が設計したことでも知られる有名建築ですので、建築好きの方は一見の価値があるでしょう。

ちなみに建築といえば、近くには建替えが計画されている世田谷区役所もあります(2020年10月時点)。現区役所は建築家の前川國男氏の設計による貴重な建築でもあります。今のうちにあわせて訪れてみることをおすすめします。

この界隈は、江戸名所図会でも取り上げられている歴史的な場所もあり、そんな予備知識を持って坂道とあわせて商店街や新旧スポットを歩いてみると新たな発見もあると思います。ぜひ試してみてください。

「宮の坂」の基本情報

住所:東京都世田谷区宮坂1
アクセス:東急世田谷線・宮の坂駅より徒歩1分



2020年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。

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