写真:島塚 渓
地図を見る島根県出雲市にある康国寺は元亨2年(1322年)に、当地の豪族が弧峰覚明(こほうかくみょう)という高名な僧侶を招いて開山した寺院です。木造平屋建ての本堂には釈迦如来像が安置され、広大な境内には山門や鐘楼などが整備されています。
写真:島塚 渓
地図を見る開山後、寺院の勢力はしだいに衰微していきましたが、江戸時代の天明年間(1781年から1788年)に再び寺域を拡大し、これを機に庭園の造営も本格的に始まることとなります。
着工から約3年半の歳月をかけて完成した庭園は256坪の広さがあり、雄大な広がりを感じさせる独特の雰囲気を備えています。
写真:島塚 渓
地図を見る康国寺の庭園は「出雲流庭園」と呼ばれる、この地方独特の様式となっています。一般的に日本庭園は、「池泉(ちせん)庭園」「枯山水(かれさんすい)庭園」「露地(ろじ)庭園」の3つに分けられますが、出雲流庭園は枯山水と露地の要素を組み合わせたものです。
水を使用せず岩や砂などで表現した枯山水と、樹木や苔、石灯籠などで構成された露地庭園の特徴を融合させた出雲流庭園は、江戸時代に松江藩の藩主であり茶人としても名の知れた松平不昧(まつだいらふまい)から大きな影響を受けています。
写真:島塚 渓
地図を見る出雲に茶の湯文化を根付かせた松平不昧は、薬用人参や櫨蝋の栽培をはじめとする産業振興策で、藩の財政を立て直した名君としても知られています。
康国寺の出雲流庭園は、松平不昧のお抱え庭師であった沢玄丹(さわげんたん)が考案したため玄丹流とも呼ばれています。沢玄丹は不昧が熱中していた茶の湯の路地に利用される飛び石を効果的に配置することで、繊細ながらも躍動感のある庭園を作り上げました。
写真:島塚 渓
地図を見る康国寺庭園の特徴は、枯山水の雰囲気のなかに露地の影響を受けた飛び石を配置している点です。小ぶりの丸石を多く並べながらも、アクセントとして短冊状に加工された石が2カ所打たれています。
また、飛び石の周囲は真っ白な小石に覆われているので、光を反射し全体的に明るい印象を与えてくれます。これは、電気のない時代に外部の明かりを室内に取り入れるための効果もあったようです。
写真:島塚 渓
地図を見る康国寺の庭園は3万坪もある貯水池(錦鏡池)と標高456メートルの旅伏山(たぶしさん)の山並みを借景にしています。
借景を取り入れえることにより、庭園に広がりを持たせ、自然美に溢れた雄大な景色を楽しむことができます。山裾の樹木の繁りと丁寧に刈り込まれた園内の植物とのコントラストもこの庭園の見どころです。
住所:島根県出雲市国富町1301
参拝可能時間:9:00〜18:00
観覧料:300円(庭園のみ)
2020年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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島塚 渓
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(2025/2/9更新)
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