宮城の歴史を語る「サン・ファン・バウティスタ号」その最後の雄姿を

宮城の歴史を語る「サン・ファン・バウティスタ号」その最後の雄姿を

更新日:2020/11/03 17:40

やた 香歩里のプロフィール写真 やた 香歩里 鈍足の旅人、地域の魅力発掘人、花火鑑賞士
宮城県石巻市渡波に係留されている「サン・ファン・バウティスタ号」は、江戸時代初期の慶長年間に、仙台藩主伊達政宗が欧州に派遣した使節の船を復元したもの。

仙台藩の先進的な外交を今に伝える美しい船ですが、残念ながら老朽化のため、2021年3月末をもって公開を終了することとなりました。2020年11月からは最後のライトアップも開催されます。その美しい姿をぜひ目に焼き付けてください。

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慶長使節船の復元船「サン・ファン・バウティスタ号」

慶長使節船の復元船「サン・ファン・バウティスタ号」

提供元:宮城県慶長使節船ミュージアム

https://www.santjuan.or.jp/地図を見る

「サン・ファン・バウティスタ号」は、1613年に仙台藩からヨーロッパに向けて派遣された慶長遣欧使節を乗せた西洋式の帆船。1993年に復元が完成し、1996年からは宮城県石巻市の「宮城県慶長使節船ミュージアム」(通称「サン・ファン館」)にて係留・展示されています。

一帯は「サン・ファン・バウティスタパーク」として、かつて慶長遣欧使節が訪問したイタリアの庭園をモチーフにした公園となっています。

慶長使節船の復元船「サン・ファン・バウティスタ号」

提供元:宮城県慶長使節船ミュージアム

https://www.santjuan.or.jp/地図を見る

復元船「サン・ファン・バウティスタ号」は、サン・ファン館のドック棟に係留されており、パークの高台から全体像を見下ろすことができます。

復元船は、全長約55m、幅約11m、メインマストの長さは約32m。元の船を可能な限り忠実に再現しており、現存する木造の帆船としては国内最大級のものですが、巨大客船などを見慣れた現代人の感覚からすれば、これで大海を渡るというのはなんとも頼りなく思われます。

だからこそ、当時の航海技術の高さと、命がけの航海に出た人々の情熱をその姿に見ることができるのかもしれません。

慶長使節船の復元船「サン・ファン・バウティスタ号」

写真:やた 香歩里

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高台からの観賞は無料ですが、サン・ファン館に入館すると、さらにその船体を間近に見ることができます。

サン・ファン館内にはサン・ファン・バウティスタ号や慶長遣欧使節についての詳しい資料もあるので、ぜひ入館してみてください。

中段野外広場からより近くで美しい船体を

中段野外広場からより近くで美しい船体を

写真:やた 香歩里

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高低差30mのエスカレーターを降り、中段野外広場に出ると、より近くでサン・ファン・バウティスタ号を見ることができます。

昭和から平成にかけて、宮城県では県を挙げてこの船の復元計画を立て、1992年より、石巻市の造船業者が建造に着手。1993年に復元船が完成しました。仙台港や気仙沼港、東京湾での公開を経て、1996年8月に開館したサン・ファン館にて係留・公開されています。

以前は船を取り囲むドック棟の内部も見学可能でしたが、2011年の東日本大震災の津波による被害が大きく、現在は野外広場から眺めるのみとなっています。サン・ファン・バウティスタ号も、震災の津波とその後の強風により大きなダメージを受けました。それでも、カナダからの木材の提供を受けるなど、多くの人の力を集めて、2年8か月後に修復を果たしました。

中段野外広場からより近くで美しい船体を

写真:やた 香歩里

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今から400年ほど前の慶長年間は、安土桃山時代と江戸時代にまたがる、日本が大きく動いた時代。まだ日本が海外の大きな世界を知らない頃に、仙台から欧州へと向かい、世界との橋渡しという需要な役割を担ったのがサン・ファン・バウティスタ号でした。

その最初の出航は1613年10月28日。時の仙台藩主・伊達政宗が、ノビスパニア(現メキシコ)との直接交易を目的に、支倉常長を中心とする慶長遣欧使節を派遣したのです。ノビスパニアを経てイスパニア(現スペイン)へ、さらにローマ教皇のもとへと向かう一大プロジェクト。一行はサン・ファン・バウティスタ号で太平洋を越えました。

江戸時代に大海原を越えた船は、現代に蘇り、大きな災害を超えたのです。

中段野外広場からより近くで美しい船体を

写真:やた 香歩里

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外側から眺めているだけなら、まだまだ美しい姿を保っているように見えます。ですが木造船の常として、腐食などの劣化は避けられず、また震災のダメージも深刻でした。かつては船内の見学も可能でしたが、現在は危険防止のため中止されています。

修復するにも今はその技術を持つ職人がほとんどいないことなどから、惜しまれながらも2021年3月末をもって公開は終了、その後は解体されることとなりました。

船が金色に輝く感動的なライトアップ

船が金色に輝く感動的なライトアップ

写真:やた 香歩里

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サン・ファン・バウティスタ号は、毎年秋〜冬にかけて、ライトアップを行っています。そのライトアップも2020年11月6日〜2021年1月24日が最後となります。

ライトアップ開始は16:30頃から。まだほんのり空に日没の明かりが残るうちからライトが灯ると、一気に幻想的な光景に。

船が金色に輝く感動的なライトアップ

写真:やた 香歩里

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日が完全に落ち、真っ暗な海の上、金色に輝く船が浮かびあがるさまは、吸い込まれるような美しさ。船体だけでなく、ドック棟やパークも含め、約4万個の明かりが船とその周辺を鮮やかに彩ります。

通常はパーク内の高台から見ることになりますが、12月中の土日(26・27日を除く)にはサン・ファン館の夜間特別開館(16:30〜19:30)が行われ、サン・ファン・バウティスタ号を中段野外広場から見ることができます。

サン・ファン館でその歴史をさらに深く知ろう

サン・ファン館でその歴史をさらに深く知ろう

提供元:宮城県慶長使節船ミュージアム

https://www.santjuan.or.jp/地図を見る

こちらを訪れた際には、サン・ファン館の展示もぜひじっくりご覧になってください。

館内では多彩な資料を用いて、400年前の慶長遣欧使節がなぜ欧州に向かったのか、そこでどのような体験をしたのかを詳しく紹介しています。この時代の日本人が海外に行くというのは命がけの長旅。欧州での体験も、いかにそれまでの価値観を覆すものであったかが伝わってきます。

サン・ファン館でその歴史をさらに深く知ろう

提供元:宮城県慶長使節船ミュージアム

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館内でぜひ見ておきたいのがサン・ファンシアター。大型のハイビジョンでサン・ファン・バウティスタ号に関する映像プログラムを見ることができます。室内には船をイメージさせる装飾もあって、ちょっとしたアトラクション気分が味わえますよ。

2020年11月現在のプログラムは「サン・ファン・バウティスタ VR船内ツアー」。現在は見ることができなくなってしまったサン・ファン・バウティスタ号の船内を、バーチャルリアリティーという形で見ることができる、約20分間のプログラムです。上空から眺めてみたりと、普通では見ることができないアングルもあるので、必見です。

サン・ファン館でその歴史をさらに深く知ろう

提供元:宮城県慶長使節船ミュージアム

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サン・ファン・バウティスタ号公開終了後も、サン・ファン館はリニューアルを続けながらも公開を続ける予定です。新たな後継船にバトンタッチする計画もありますが、まだ詳細は未定となっています。

2020年11月現在、サン・ファン館では、復元船内に展示されていた資料を館内展望棟ロビーにて展示しています。復元船を眺めるだけでなく、その内部の構造や歴史を知ることで、サン・ファン・バウティスタ号との出会いがさらに感慨深いものとなるでしょう。

<宮城県慶長使節船ミュージアム(サン・ファン館)の基本情報>
住所:宮城県石巻市渡波字大森30番地2
電話番号:0225-24-2210
開館時間:9:30〜16:30(8月中は17:30まで)
※最終入館は閉館の30分前まで
休館日:毎週火曜日(祝日を除く)、年末年始
入館料:一般350円、高校生以下無料

サン・ファン・バウティスタ号最後の雄姿をその目で

復元されてから約30年でその役割を終えることとなったサン・ファン・バウティスタ号。

その雄姿が伝えるのは、400年前の歴史であり、復元を実現した多くの人の情熱や技術であり、また、震災を乗り越えた人々の強さでもあります。その力強く美しい姿を、ぜひご自身の目に焼き付けてください。

2020年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2019/11/29 訪問

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