写真:旅人間
地図を見る日本仏教の母山とも称される、天台宗総本山「比叡山延暦寺」は、 天台宗の開祖伝教大師最澄により開かれ、1200年の歴史と伝統はユネスコ世界文化遺産にも登録されています。
そんな比叡山延暦寺へのアクセス方法は、ドライブウェイ、ケーブルカーやロープウェイなどとなります。ただ、やはり一番のおすすめは滋賀方面から「坂本ケーブル」を利用して東塔エリアに到着する方法でしょう。
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地図を見るその理由としては、まず車では味わえない風情があること、秘境駅での途中下車や、山頂に到着してから歩いて東塔エリアに行ける気軽さです。
ちなみに、ご存知でしょうか?穴太衆積みの石が美しい坂本の街に佇む「ケーブル坂本駅」は1925年(大正14年)に建てられた国の登録有形文化財に登録されている洋風木造建築の駅舎になります。「坂本驛」と旧駅名が記されている点も見逃してはいけません。
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地図を見るケーブル坂本駅からケーブル延暦寺駅までは約11分。その長さは日本一の2025mとなります。「日本一」と聞けば、それだけでもワクワクして来ますね。ちなみに、このケーブルカーは30分間隔で稼働していますので、待ち時間も苦になりません。
終点の「ケーブル延暦寺駅」の他、途中で「ほうらい丘駅」と「もたて山駅」の中間駅があります。どちらも乗降客がなければ通過となりますが、もし戦国時代に興味があるなら「ほうらい丘駅」での下車は必須と言えるでしょう。
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地図を見るこの「ほうらい丘駅」は誰もいない静かな秘境駅。聞こえるのは風に揺られた木々の音、鳥たちの鳴き声のみ。そして小さなホームの裏には霊窟があります。
1571年、比叡山延暦寺は織田信長の比叡山焼き打ちにより、坂本の街を手始めに、根本中堂以下三塔十六谷の二千といわれた堂塔伽藍は三日三晩かけ全て焼き尽くされました。そして数千人がことごとく焼殺、惨殺されたとも伝わっています。
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地図を見るこの霊窟の中でお祀りしている地蔵群は、ケーブル建設時に発掘されたもので、信長による比叡山焼き打ちで犠牲になった人達の冥福を祈ったものと伝わっています。
誰もいない駅には霊窟のみ。中に入るのは少し勇気が必要かもしれませんが、灯りもあって中はキレイに管理されています。尚、この地蔵群は「蓬莱丘地蔵」と呼ばれ、中国の蓬莱山にならい名付けられた縁起の良さから良縁を叶えて下さると評判だそうです。
提供元:坂本ケーブル
https://www.sakamoto-cable.jp/坂本ケーブルの車両はヨーロピアン調のデザインの「縁」「福」と名付けられた2タイプあります。橋梁7カ所、トンネル2カ所、そして「ターンアウト」と呼ばれる単線のケーブルカーが中間地点ですれ違う場面は見所の一つと言えるでしょう。
山の中を走るケーブルカーは一般の鉄道のようなポイント(分機器)は使われず、片側の車輪をH状字状に一方のレールに挟み込むことで、2台の車両は同じ側を進行し正面衝突が起きないように設計されています。
このターンアウトの瞬間は見逃してはいけません。
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地図を見る自然あふれる木立の中、急勾配を進むケーブルカーは心地よい振動と共に景色を変えてゆきます。緑に包まれた山の中から雄大なびわ湖の景色へと変わる様は幻想的です。
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地図を見るケーブル坂本駅とケーブル延暦寺駅は約11分。たった11分で麓から山上駅に到着します。一般的には移動に使う乗り物は早く着いて欲しいものですが、このケーブルカーは違います。きっと「えっ、もう着いたの?」と言ってしまう寂しさを感じるでしょう。
この旅情を盛り上げるケーブルは、往復で利用すると2度楽しめるのが良いですね。
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地図を見るケーブル延暦寺駅に着くと、山麓とは異なる空気に包まれています。まるで天界に来たかのような不思議な錯覚も、ここが仏教の聖地だからかもしれません。
さて、「ケーブル延暦寺駅」で注目したいのは、ケーブル坂本駅と同様に大正14年に建てられた登録有形文化財の駅舎です。
外観は趣ある黄色の洋風で、極端に縦長の窓、出入り口の庇(ひさし)を支える金属製持送りの特異なデザイン、珍しい模様のレリーフなど、当時の駅舎としては画期的なデザインだったことでしょう。
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地図を見るまた、待合室の内部は白壁塗りで、天井や出っ張り角や壁面の隅々に「金茶のビード繰り出し状になる陶器の装飾」にも注目です。モダンな洋風建築の粋が詰まった建築美を今に見ることが出来ます。
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地図を見るちなみに、このビード状の模様は、その当時に欧米で盛んに使われていたバロック建築によく見られた室内装飾で、一見数珠を思わせる感じから比叡山の駅に取り入れられたとか。そんな背景を知ると、ますます粋に感じてきますね。
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地図を見る比叡山延暦寺とは、比叡山一山を境内として、東塔、西塔、横川の3つの寺域内に点在する約150の堂塔の総称です。坂本ケーブルで到着した東塔は、延暦寺発祥の地として総本堂である根本中堂を中心に重要な堂宇の集まる寺域になります。
2016年から10年をかけ大改装中の根本中堂では、普段目にすることが出来ない貴重な光景が見られます。もちろん、伝教大師が灯された「不滅の法灯」も拝観できます。
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地図を見る坂本ケーブルで「ほうらい丘駅」に寄った方は、延暦寺バスセンターの売店前にある「元亀の兵乱殉難者鎮魂塚」にも行ってみましょう。
ここは焼き打ちで殉教した人々の供養のために建てられた塚です。そしてまた、攻め込んだ信長軍の戦没者、本能寺で火に焼かれた織田信長の霊も同様に祀られています。
恩讐を超え、怨親平等の心を持ち祀られ追善供養を施す比叡山延暦寺の心の大きさを感じることでしょう。
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地図を見る坂本ケーブル延暦寺駅はびわ湖を広く見ることが出来る絶景スポット。大津港や近江大橋、長浜方面を望めば、遠くに竹生島、伊吹山まで見ることが出来ます。
かつて、この麓に明智光秀の坂本城があったように戦国頃は湖を囲むように多くの城がありました。「近江を制するものは天下を制す」といわれた戦国時代、京へ立地、湖上交通の便、この風景を見ていると、その意味がよく分かる気がしてきます。
住所:大津市坂本本町4244
電話番号:077-578-0531
営業時間:8:00〜17:30(初発〜終発)
※12月〜2月は8:30初発、17:00終発
運賃:片道870円、往復1,660円
(小児の場合、片道440円、往復830円)
2020年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2025/2/15更新)
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