豆知識と共に楽しむ箱根登山鉄道の旅

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豆知識と共に楽しむ箱根登山鉄道の旅

豆知識と共に楽しむ箱根登山鉄道の旅

更新日:2014/06/16 17:09

池口 英司のプロフィール写真 池口 英司 フリーライター、フォトグラファー 日本写真家協会(JPS)会員

「天下の嶮」箱根に登る箱根登山鉄道は、神奈川県の小田原駅と強羅駅を結ぶ本格的な登山鉄道です。近年は沿線に数多くのアジサイが植えられていることから「アジサイ電車」の名前でも親しまれるようになりました。そんな箱根登山鉄道の、他の鉄道にはない大きな特徴を紹介しましょう。豆知識を頭の片隅に入れておけば、鉄道の旅がもっと楽しくなりますよ。

全線に3カ所のスイッチバックがあります

全線に3カ所のスイッチバックがあります

写真:池口 英司

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箱根登山鉄道の大きな特徴とされているのが、急な勾配があることと、3カ所のスイッチバックがあること。それでは、スイッチバックとは何かというと、列車が急な勾配を登る時、所々で進行方向を変えて、斜面をジグザグに登ってゆくというものです。
現代の最新の電車は、強力なモーターを搭載し、スイッチバックなどはなくても、一気に坂を駆け登ってしまいますが、箱根登山鉄道が開通したのは、1919(大正8)年6月1日のこと。当時の電車に現代のようなパワーはなく、加えて、箱根登山鉄道の線路は、温泉脈に悪影響が出ないよう、トンネルの掘削も制限されていたといいます。スイッチバックは、建設のルートにも自由な選択肢がなかった箱根登山鉄道を開通させるために、不可欠の存在となったのです。
写真はスイッチバック構造の大平台駅。坂道を登ってきた電車は、写真の左側にある駅で、走る向きを変え、次に写真右手に写っている線路を登ってゆくというわけです。

日本の鉄道で2番目に急な坂道を登る

日本の鉄道で2番目に急な坂道を登る

写真:池口 英司

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箱根登山鉄道の、もっとも急な勾配は80パーミル。これは1000メートル走る間に、高低差80メートルを登るというもので、ケーブルカーなどをのぞく日本の鉄道では大井川鐵道井川線の90パーミルに次ぐ、日本第2位のもの。ただし、井川線の急勾配区間は、機関車に取り付けられた歯車を、歯形を刻んだ3本目のレールにかみ合わさせて坂道を登る「アプト式鉄道」として建設されているので、鉄のレールと鉄の車輪の組み合わせによる一般的なスタイルの鉄道としては、ここが日本一の急勾配ということになります。
パーミルという言葉は聞き慣れませんが、千分率の単位。1パーミルが0.1パーセントにあたります。写真は湯本駅近くの80パーミル区間を登る電車の姿です。

人間優先の踏切がある

人間優先の踏切がある

写真:池口 英司

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通常の踏切とは逆に、電車が踏切を通過する人を待って一旦停車する踏切があるのが、箱根登山鉄道。とは言っても、もちろんこれが一年中行われているわけではありません。毎年1月2〜3日に行われる「箱根駅伝」で選手が通過する時だけ、レースのコースの一部となっている小涌谷駅近くの踏切の前で、電車が一旦停車をして、選手の通過を待つのです。
レースの時には箱根登山鉄道の係員が踏切に立ち、手信号で列車に指示を出したり、随時、運転司令所に無線連絡を取って列車の位置を確認し、レースの中継を現場で受信して選手の位置も確認。ダイヤをなるべく乱さず、けれどもレースに支障が出ないよう、運転の工夫がなされています。テレビ中継には絶対に映らない緊張の現場が、こんな所にもあるのです。

深さ43メートルの谷を渡る鉄橋がある

深さ43メートルの谷を渡る鉄橋がある

写真:池口 英司

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箱根登山鉄道の建設工事で、最難関となったのが、塔ノ沢駅と大平台駅の間にある早川の流れに鉄橋を架ける工事でした。線路からの谷の深さは43メートル。当時は画期的な工法もなく、河原から線路の高さまで、壮大な大きさの木製の矢倉が組まれています。緑色のトラス橋は、東海道本線の天竜川に架けられていた橋を譲り受け、一部を改良して使用しています。明治生まれのオールドタイマーですが、今もしっかりと線路を守っています。

強羅駅から先への延長計画もあった

強羅駅から先への延長計画もあった

写真:池口 英司

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写真は終着駅の強羅。この駅の海抜標高は553メートル。小田原駅の海抜標高は26メートルですから、それだけで3度強の気温の差があるということになります。
現在は、早雲山方面へのケーブルカーへの乗り換え駅となっている強羅駅ですが、遠い昔には、鉄道を御殿場方面に延ばす計画もあったのだそうです。この計画が実現することはありませんでしたが、もし線路が御殿場駅まで延ばされていたら、箱根登山鉄道の姿も、今とはずいぶん違ったものになっていたのかもしれません。

短い路線に長い歴史が

箱根登山鉄道の全長は15キロ。箱根湯本駅から強羅駅までの所要時間は、およそ40分足らず。そんな短い鉄道にも長い歴史があり、様々なエピソードで、私たちを楽しませてくれます。
この鉄道の建設が計画されたのは、スイスの登山鉄道を視察した明治の実業家が、その有益性にいたく感心し、このような鉄道をぜひ我が国にも、と働きかけたことがきっかけなのだそうです。実業家の夢は大きな実りとなって、現代に生き続けています。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2010/01/02−2014/06/01 訪問

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